シー・イズ・オーシャン

9月17日(金)公開予定 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

映像は美しいが作り手の狙いがわからない

■あらすじ

 チンタ・ハンセルは、インドネシア出身の女性サーファーだ。幼い頃から父と共に地元の海に親しみ、いつかハワイ・オアフ島のパイプラインに挑むことを夢に見ている。血筋か才能か、やがて彼女は地元の大会で敵なしのサーファーへと成長する。そしていよいよ、サーフィンの聖地ハワイの大会に出場することになった。

 アンナ・バーダーは、断崖絶壁から海に飛び込むクリフダイビングのヨーロッパチャンピオン。飛び込み台から水面まではわずか数秒。だが着水姿勢が乱れれば、命に関わる大ケガをすることもある。飛び込み台への断崖を上りながら、彼女は自分の心を整える。

 オーシャン・ラムジーはサメ保護活動家。映画などを通じて人を襲う危険な生物だと誤解されているサメと親しみ、サメの真実の姿を人々に伝えるためのツアーを主催している。正しく接すれば、サメは決して人を襲わない。

 本作には、海に関わる9人の女性たちが登場している。

■感想・レビュー

 「海と女性」をテーマにしたドキュメンタリー映画。登場する女性たちの経歴や肩書きは多彩で、アプローチの方法もまちまち。例えば少女サーファーのチンタ・ハンセルは幼い頃から何年もかけて取材されているが、サーフボード・アーティストのジニー・チェッサーは短時間のインタビューで参加しているだけだ。

 チンタやジニーの他にも、登場するのはサーフィン関係者が多い。ココ・ホー、アンドレア・モラー、ケアラ・ケネリーがサーファー。他には、あらすじでも紹介したクリフダイバーとサメ保護活動家、さらにダンサーのローズ・モリーナと、海洋生物学者のシルビア・アールが登場する。

 サーフィンやクリフダイビングの映像はダイナミックで、絵としての美しさがある。ただ映画としてはまとまりに欠けて、何が言いたいのか正直よくわからなかった。いろいろな人に取材した断片を、とりあえず1本にまとめただけの雑多な印象を受けるのだ。映像のテイストは統一されているので観ていてちぐはぐな感じはしないのだが、これは「女性サーファー」だけで統一してしまうとか、有名俳優をナレーターに起用して無理矢理ひとつの世界観やテーマを提示してしまうとか、もう少し他のやりようがあったのではないだろうか。

 映画の中で取材に一番時間と手間をかけているのはチンタ・ハンセルのエピソードで、これが映画を貫く一本の縦糸のように機能している。でも他のエピソードは彼女の物語と何らかのつながりを持っているわけではなく、映画のラストシーンも少々強引すぎる気がするのだ。

 監督のインナ・ブロヒナは、本作以前に『オン・ザ・ウェーブ』(2012)というロシア製のサーフィン映画を撮っている。それはどうやら1時間程度の短編だった様子。今回の映画も欲張らずコンパクトにまとめた方が良かったのかもしれないが、この映画の雑多な内容は、この映画の豊かさになっているのかもしれない。

(原題:She Is the Ocean)

日本シネアーツ試写室にて 
配給:レイドバック・コーポレーション 
2019年|1時間38分|アメリカ|カラー 
公式HP: http://www.laidback.co.jp/sito/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt6579888/

深海の女王がゆく

深海の女王がゆく

posted with AmaQuick at 2021.06.30シルビア・アール(著), 伯耆友子(翻訳)
日経ナショナルジオグラフィック社 (2010-07-22T00:00:01Z)
5つ星のうち3.5
¥3,828Amazon.co.jpで詳細を見る

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