サマーフィルムにのって

8月6日(金)公開 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

時代劇ファンは最後の立ち回りに泣け!

映画『サマーフィルムにのって』のチラシ画像

■あらすじ

 高校の映画部に所属しているハダシは、文化祭に向けての映画製作にまったく乗り気になれない。時代劇マニアの彼女は自分の企画が見送られ、映画部がキラキラ系の高校生ラブストーリーを撮っているのが不満なのだ。だが彼女は映画館で自分と同年配の凛太郎に出会い、彼こそ自分の映画の主演俳優にピッタリだと直感する。

 ハダシは仲間たちと映画を作り始める。主演はもちろん凛太郎。内容は当然時代劇だ!

 だが凛太郎にはとんでもない秘密があった。彼は遠い未来からやって来たタイムトラベラー。未来世界では有名映画監督になっているハダシの幻のデビュー作を探し求め、わざわざ過去までやって来たのだ。だが凛太郎が映画に主演してしまうと、タイムパラドックスが起きないか? いや、たぶん平気に違いない。

 若くて馬鹿な楽観主義のもと、ハダシたちの映画作りがスタート。巻き込まれた仲間たちも、やがて映画作りの面白さに目覚めていく。

■感想・レビュー

 乃木坂46の元メンバー、伊藤万理華が主演した青春ドラマ。映画を作る映画という意味では『カメラを止めるな!』(2017)、女子高生を主人公にした青春スケッチという意味では『アルプススタンドのはしの方』(2020)、女子高生がタイムトラベラーに出会うという意味では『時をかける少女』(1983、2006など)、異能の持ち主たちを集めて即席チームを作るのは『七人の侍』(1954)や『特攻大作戦』(1967)などでさんざん使われている手でもある。

 さまざまな映画のさまざまな要素が一つの器に盛り込まれている作品だが、本作はそれをサラッと軽く仕上げているのが特徴だと思う。例えば本作の重要な要素であるタイムトラベルも、かつてこれほどタイムトラベルを軽々しく扱った作品があっただろうか? 主人公たちがタイムトラベラーの凛太郎を未来人としてすぐ受け入れてしまうのには拍子抜けするが、そこからタイムトラベルにまつわるエピソードがまったく発展せず、そのままスルーされてしまうのにはびっくりだ。

 もちろん凛太郎が未来人であることが物語のあちこちに影響を与えることにはなるのだが、この映画の未来人設定は、ハダシと凛太郎の別れを必然とするための要素でしかないような気がする。凛太郎が過去にやって来た理由も含めて、これは『時をかける少女』へのオマージュだろう。物語は「別れ」に向けて動いていく。それがすべての終着点なのだ。

 主演の伊藤万理華を僕はまったく知らなかったのだが、ショートカットで背が低く、それでいてエネルギーの塊みたいなハダシを魅力的に演じている。この映画は前記したようにサラッと軽い仕上げなのだが、それはすべて、この主人公が持つ素顔の魅力を引き立たせるためであったように思う。

 文化祭当日、劇中映画のクライマックスではじまる立ち回りには、映画のリアリズムを思い切って突き抜けた先の感動がある。

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場(5スクリーン)にて 
配給:ハピネットファントム・スタジオ 
2020年|1時間37分|日本|カラー|アメリカンビスタ|5.1ch 
公式HP: https://phantom-film.com/summerfilm/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt14625190/

伊藤万理華写真集 エトランゼ

伊藤万理華写真集 エトランゼ

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サマーフィルムにのって」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: AirTagを購入したのはいいが | 新佃島・映画ジャーナル

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