エイト・ハンドレッド ―戦場の英雄たち―

11月12日(金)公開予定 全国ロードショー

第二次上海事変の激戦「四行倉庫の戦い」を映画化

映画『エイト・ハンドレッド ―戦場の英雄たち―』のチラシ画像

■あらすじ

 1937年(昭和12年)8月にはじまった第二次上海事変は、日本軍が市内の主要部を占拠し、中国軍が撤退していくことで10月には大勢が決していた。爆撃と砲撃で市内は瓦礫の山。しかしそんな上海でも、ほぼ無傷で残っているのが、外国人居住区である共同租界だった。

 日本軍は国際社会からの批判を恐れ、租界を巻き込む砲撃などを避けてきた。そのため租界から蘇州河をはさんだ北岸にある四行倉庫は、砲撃を免れて崩壊を免れている。ここに中国国民政府軍の第88師第524団が入ったのは10月。北岸に残った一般市民は日本軍の総攻撃を避ける難民として、租界へと脱出した。

 今や蘇州河の北側には日本軍と中国軍しかいない。日本軍は周囲の建物に立てこもる中国軍を殲滅した後、いよいよ倉庫を奪取のための猛攻撃を仕掛けてくる。だがこれは租界の人々にとって、まさに対岸の火事。租界の人々が見守る中で、上海戦最後の抵抗がはじまった。

■感想・レビュー

 第二次上海事変のクライマックスとなる「四行倉庫の戦い」の映画化だ。この戦いに参加した中国軍兵士は400名ほどだったが、交戦中に取材の記者から日本軍に戦力が知られるのを嫌い、中国側指揮官は「兵の数は800名」と発表。これ以来、この戦いに参加した兵士たちは「八百壮士」と呼ばれるようになった。本作のタイトルは、それにちなんだものだ。

 映画は特定の主人公を立てない群像劇。それでも映画の導入部では、湖北省出身の保安部隊が、上海の国民党軍に合流しようとする場面からはじまる。この保安隊はほとんどが農民出身で、戦場に出るのは今回が初めてだし、そもそも村から出るのすら初めてという素人集団だ。それが瓦礫の山になった上海の景色に驚き、敵襲に逃げ惑って散り散りになり、四行倉庫から眺める煌びやかな租界の様子を夢幻を見るような目でうっとりと見つめ、戦闘の中で兵士たちが血だるまや肉塊になって行く様子を茫然と眺める。この農民兵士たちは、上海戦を見つめる我々の分身なのだ。

 そしてこの映画には、戦いを見つめるもう一つの視点がある。平和な租界から対岸の倉庫を見つめる人たちの目だ。彼らにとって戦争は他人ごと。対岸から租界に逃げてきた難民は厄介者だし、戦争でどっちが勝とうが負けようが自分には無関係だと思っている。

 これは今現在、世界の紛争を見つめる先進国庶民の視点と同じだ。例えば現在のアフガニスタン情勢を見る外国人の視点みたいなものだ。戦争については高みの見物。難民については多少の同情はするにせよ、自分のところに来られれば厄介だと思っている……。

 この映画の素晴らしいところは、地獄のような戦場と平和な租界を隣接させ、対比させるところだ。戦争と平和。平和な世界から戦争を見つめ、戦争の最中から平和な世界を見つめる関係性の残酷さ。これはまさに、我々が暮らしている今現在の世界の姿そのものではないだろうか。

(原題:八佰)

京橋テアトル試写室にて 
配給:ハーク 配給協力:EACH TIME 
2020年|2時間29分|中国|カラー|シネマスコープ|5.1ch 
公式HP: http://hark3.com/800/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt7294150/

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