ONODA 一万夜を越えて

10月8日(金)公開予定 TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

ルバング島の旧日本兵・小野田寛郎の実話を映画化

映画『ONODA 一万夜を越えて』のチラシ画像

■あらすじ

 1974年(昭和49年)2月。ひとりの日本人青年がフィリピンのルバング島にやってくると、ジャングルの中にテントを設営する。彼はジャングルに潜む旧日本軍兵士と会うため、ひとりこの地にやって来たのだ。その兵士の名は小野田寛郎。彼はなぜこの地でひとり、とうの昔に終わった戦いを続けているのだろうか……。

 1944年。若き日の小野田寛郎は、遊撃戦(ゲリラ戦)の専門教育を行うために開設された陸軍中野学校二俣分校にいた。当時の日本軍は「生きて虜囚の辱を受けず」という戦陣訓や、「上官の命令は天皇陛下の命令である」という絶対服従の規律に支配されていたが、中野学校の教えはそれとは正反対の「卑怯と言われても必ず生き延びよ」「自分の頭で柔軟に考えて行動せよ」だった。

 ルバング島に派遣された小野田だったが、アメリカ軍の猛攻に日本の兵隊たちは浮き足立っている。彼は何人かの兵隊を集めて、ゲリラ部隊を組織する。

■感想・レビュー

 小野田寛郎(1922〜2014)は実在の人物で、この映画は彼が陸軍中野学校で学んでからルバング島を後にするまでの30年を、ほぼ事実に沿って再現している。ただし事実そのものというわけではない。

 映画のプレス資料によれば、監督のアルチュール・アラリはコンラッドやスティーブンソンの冒険小説のような映画を作りたいと考える中で小野田の存在を知り、「物語を動かす架空の人物」として小野田を描いたのだという。この映画の小野田は実在の小野田寛郎がモデルだが、実在の小野田とは別の人物だ。

 これはあらゆる「実録映画」や「伝記映画」に言えることなのだが、こうした映画については「事実と異なる」という指摘が非難の言葉として発せられることがある。だが事実と異なって当然なのだ。それが映画ではないか。

 監督はフランス人だが、映画は全編日本語。出演している俳優も日本人だ。外国人が作った映画は美術や衣装に違和感を感じることがあるが、この映画はそうした違和感がほとんどなかった。それでいながら、ここにある空気感は日本映画ではない。難を言えば台詞が聞き取りにくいところが多いのだが、これは海外だと字幕を入れるから問題ないのだろう。なまじ日本語の台詞だと、日本では字幕が入らないのが残念。もっとも、映画終盤は聞き取りにくい台詞もあまり気にならなくなる。

 3時間近い映画だが、物語は日本人青年・鈴木紀夫のルバング島入りから始まり、小野田が島を去るところで終わるのだから、これはやはり小野田と鈴木の出会いがひとつのテーマなのだろう。しかし一方でこの映画は小野田と戦友たちのサバイバル生活にもたっぷり時間を割いているため、少し焦点が絞り切れていないような気もする。

 小野田と鈴木の出会いについては、NHKドラマ「小野田さんと、雪男を探した男 ~鈴木紀夫の冒険と死~」(2018)が同じ出来事を鈴木の視点から描いてる。

(原題:Onoda, 10 000 nuits dans la jungle)

映画美学校試写室にて 
配給:エレファントハウス 宣伝:フリーストーン 
2021年|2時間54分|フランス、日本、ドイツ、ベルギー、イタリア|カラー|1.85 : 1|5.1ch 
公式HP: https://onoda-movie.com/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt9844938/

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ONODA 一万夜を越えて」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 役所の手続きがようやく完了 | 新佃島・映画ジャーナル

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