アンモナイトの目覚め

2021年4月9日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

化石採集者メアリー・アニングの伝記映画

映画『アンモナイトの目覚め』チラシ画像

■あらすじ

 1840年代。イギリス海峡(英仏海峡)に面したライムレジスの町に、地質学者のロデリック・マーチソンがやって来る。目的はこの町で化石発掘をなりわいにしている女性、メアリー・アニングを訪ねるためだ。学会ではほとんど名を知られていないメアリーだが、マーチソンは彼女の類い希な発掘成果を高く評価し、化石探しの様子を見学させて欲しいと頼み込む。

 数日後にマーチソンは町を離れるが、身体の弱い妻シャーロットを残していった。ライムレジスの気候が、妻の身体にいいと考えてのことだ。シャーロットはしばらくメアリーの発掘に付き合ったりしていたが、慣れない海水浴で身体を冷やして高熱を出してしまう。

 町に専門の看護師はいない。メアリーは止むなく彼女を自宅に引き取り、元気になったシャーロットはすっかりメアリーに懐くようになった。やがてふたりの間に、それまでなかった新しい感情が芽生えていくことになるのだった……。

■感想・レビュー

 メアリー・アニングは実在の人物で、本作は彼女の晩年期を描く伝記映画だ。彼女とシャーロット・マーチソンとの恋愛関係は映画の創作だが、主人公の伝記的事実に架空の恋愛要素を織り込んでいくのは伝記映画の常套手段。本作はそれが、女性同士の恋愛になっているのが新しいと言えば新しい。

 僕は主人公のメアリー・アニング(1799-1847)という人をまったく知らなかったのだが、帰宅後に検索すると、日本だけでも何冊も伝記が出ているような有名人だった。それでも一時はまったく忘れ去られていた人のようで、最近になって彼女が注目されたのは「歴史に埋もれた女性の活躍を見直そう」という世界的な機運があってのことだと思う。

 映画は1840年代を舞台にしているので、メアリーの晩年期だ。直接描かれているわけではないのだが、中年のメアリーと若いシャーロットを対比させることで、映画はメアリーの人生が終盤に差し掛かっていることを観客にそれとなく伝えている。新しく出会った恋に夢中になるシャーロットの無邪気さと、人生最後の恋に慎重に振る舞うメアリーの用心深さ。恋に深く傷ついたことのあるメアリーが、その痛みや恐れを乗り越えて前に進もうとする姿には胸を打たれる。それだけに、映画の終盤に描かれたシャーロットの空回りや二人の気持ちのすれ違いは見ていて辛いのだ……。

 原題は『Ammonite』だが、それを『アンモナイトの目覚め』にした配給会社のセンスはなかなかのものだと思う。地中に隠れて眠っていたアンモナイトの化石が、地上に現れて目を覚ます。これをメアリーが押し殺していた恋心の目覚めに重ね合わせているのだろう。

 長く映画ファンをやっている身からすると、ケイト・ウィンスレットは若い頃から脱ぎっぷりのいい女優。今回も大胆なラブシーンで惜しげもなく脱いでいるのは嬉しい。シアーシャ・ローナンの瑞々しさもこの映画の魅力だ。

(原題:Ammonite)

飯田橋ギンレイホールにて 
配給:ギャガ 
2020年|1時間58分|イギリス、オーストラリア、イギリス|カラー|1.85:1 
公式HP: https://gaga.ne.jp/ammonite/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt7983894/

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