マリグナント 狂暴な悪夢

11月12日(金)公開予定 全国ロードショー

ホラー風味のエンタテインメント幕の内弁当

マリグナント 狂暴な悪夢

■あらすじ

 シアトルの閑静な住宅地で、レイク夫妻の夫デレクが殺された。外部から侵入した何者かが、恐るべき力で彼の首を捻じ切ったのだ。妻のマディソンも襲われるが、犯人は彼女には危害を加えることなく姿を消した。だが妊娠中の彼女は、子供を流産してしまう。

 一人で家に戻ったマディソンは、恐ろしい夢を見た。それは夢と呼ぶには、あまりにも生々しいビジョン。彼女は夫を殺して自分にも襲いかかった殺人犯が、見知らぬ女性を残忍に殺す場面を「目撃」したのだ。

 その夢は現実になった。殺されたのは外科医のフローレンス・ウィーバー博士。警察は事件の犯人がデレク殺害と同一犯と見て捜査を進める。手掛かりはウィーバー博士の自宅で見つかった膨大な治療記録。その中にあったエミリーという少女の写真に、警察は目を留める。当時8歳だった彼女は、今どこにいるのだろうか?

 マディソンは夢の中で、別の殺人現場を目撃した。その犯人は……。

■感想・レビュー

 『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)や『アクアマン』(2018)のジェームズ・ワン監督の最新作は、『死霊館 エンフィールド事件』(2016)以来のホラー映画。海辺に城塞のようにそびえ立つ巨大な病院から始まる物語は、ゴシックホラー、SF、アクション、サスペンス、スリラー、ミステリー、刑事ドラマなどがミックスされた、ハイブリッド・エンタテインメント作品だ。

 僕はこの映画に、サム・ライミ監督の『キャプテン・スーパーマーケット』(1993)や『スペル』(2009)に通じるものを感じた。ベースとしてはホラーなのだが、物語がそのジャンルを軽々と越境していくのだ。冒頭はゴシックホラー。最初の殺人事件は正統派のサスペンス・スリラー風。それ以降はホラーとしての比率がぐっと下がるが、ホラー映画ではない別のものになるわけでもない。料理で言えば、味の基本はやはりホラーなのだ。

 料理に例えるなら、これは良くできた幕の内弁当みたいな映画だと思う。いろんな味が楽しめる。全体としての味わいの調和や統一感もあり、そこそこボリューム感があって満腹感も得られる。ただし「とにかくここがすごい!」という突出した部分がないのも幕の内弁当。それが映画の狙いだろうけどね……。

 物語の舞台はシアトルで、市の観光名物である「地下都市ツアー」が物語に登場する。シアトルは19世紀の終わり頃に大火に襲われ、街の中心部が広範囲に焼失。その後は街全体をかさ上げする形で新しい街が再建され、地下には古い街が残されているのだ。

 これは物語とまったく無関係に採用されたエピソードかと思いきや、じつは物語の中核にあるアイデアと深く関わっている。平和な日常の足下に、古い悲劇的な歴史が埋もれている。人々は古い歴史を覆い隠すことでそれを見えない部分に追いやったが、それは目に見えぬ場所で姿を変えずに生き続けている。

(原題:Malignant)

ユナイテッド・シネマ豊洲(5スクリーン)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2021年|1時間41分|アメリカ|カラー|2.39 : 1 
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/malignant/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt3811906/

Malignant

Malignant

posted with AmaQuick at 2021.11.28Annabelle Wallis, Maddie Hasson(作曲)
Warner Bros Entertainment (2021-12-23T00:00:00.000Z)

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