マトリックス レザレクションズ

12月17日(金)公開 全国ロードショー

マトリックス三部作の再起動であり最終作

マトリックス レザレクションズ

■あらすじ

 ネオと機械たちの戦いが終わったあとも、マトリックスの仮想現実世界は生きている。

 ムネモシュネ号の船長バッグスは、もう何年もマトリックスの中である人を探している。だが先に見つけたのは、本命とは別の重要人物モーフィアスだった。エージェントとして再生されたモーフィアスに、バッグスは青と赤の二つのカプセルを突きつける。

 世界的に大ヒットしたビデオゲーム「マトリックス」の作者トーマス・アンダーソンは、現実と虚構が区別できなくなる不安定な精神状態に追い込まれていた。新作ゲームの制作は遅々として進まない。上司に呼び出された彼は、「マトリックス」三部作の続編を制作するよう持ちかけられる。

 断ることはできる。だがその場合は、権利を持つワーナー・ブラザース社がトーマスたち不在のまま続編を作るだろう。不本意ながら続編ゲームの制作に取りかかったトーマスの前に、バッグスと新生モーフィアスが現れた……。

■感想・レビュー(ネタバレの可能性があります)

 1999年に1作目が発表され、2003年に三部作として完結していた『マトリックス』シリーズの続編だ。監督・脚本のラナ・ウォシャウスキー(旧作ではラリー・ウォシャウスキー)、主演のキアヌ・リーブスとキャリー=アン・モスは前三部作からの続投。ただし妹のリリー・ウォシャウスキー(旧作ではアンディ・ウォシャウスキー)は今回参加していない。

 モーフィアスは人間としての肉体を失ったあと人格再生され、演じるのはローレンス・フィッシュバーンからヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世に交代。エージェント・スミスはヒューゴ・ウィーヴィングからジョナサン・グロフになって若返った。「続編映画は同窓会」というのが僕の見立てだが、ウィーヴィングは何らかの形で再登場してほしかった。

 全体としては、何だか不思議な映画になっている。旧三部作をフラッシュバックのような形で断片的に引用しつつ、その上にうっすらと新しい物語を重ねてハッピーエンドにした形だろう。ネオは復活し、トリニティと結ばれ、マトリックスは新しい世界に生まれ変わる。

 面白いと思ったのは、この映画では「目覚めること」が人間にとっての救済とはなっていないことだ。ほとんどの人間は、機械が作りだした夢の中で暮らし続ける。虚構の世界であるマトリックスは存在し続けるのだ。だがそこは、ネオやトリニティによってより良い場所へと生まれ変わるだろう。

 生まれ変わったネオとトリニティの関係は、全三部作より対等なものになっている。いやむしろ本作は、トリニティが主だと思う。1作目の『マトリックス』はトーマス・アンダーソンが救世主ネオとして目覚める物語だったが、『マトリックス レザレクションズ』はティファニーがトリニティとして目覚める物語なのだ。

 多くが眠ったままの世界で、真実に目覚めた男女が救世主として世界を救う。現代のグノーシス神話は、ここに完成した。

(原題:The Matrix Resurrections)

109シネマズ木場(シアター2/IMAX)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2021年|2時間28分|アメリカ|カラー 
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/matrix-movie/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt10838180/

Matrix Resurrections (Original Soundtrack)

Matrix Resurrections (Original Soundtrack)

posted with AmaQuick at 2021.12.27Klimek, Johnny / Tykwer, Tom(アーティスト)
Watertower Music (2021-12-17T00:00:01Z)

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マトリックス レザレクションズ」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 外出しないと損した気になる | 新佃島・映画ジャーナル

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