クライ・マッチョ

1月14日(金)公開 全国ロードショー

イーストウッドは観られるうちに観ておけ

■あらすじ

 1980年のテキサス。元ロデオスターで、その後は馬の調教師として働いていたマイク・ミロは、元雇い主のハワード・ポークから厄介な持ちかけられる。メキシコにいるポークの息子を、自分のもとまで連れてきてほしいというのだ。息子は現在、元妻と暮らしている。だが元妻は、息子を手放そうとしないだろう。

「それは、誘拐じゃないか」
「だが息子は虐待されてるんだ!」

 ポークに恩義を感じていたマイクは、結局この仕事を引き受けることにした。

 メキシコで暮らすポークの元妻レタは、大邸宅で何不自由のない生活を謳歌しながら、子供への愛情は一欠片も持たない女だった。彼女が息子を手放さないのは「所有欲」によるものだ。13歳の息子ラフォは母やその愛人たちからの虐待を避けるため、闘鶏で日銭を稼ぎながら路上で暮らしていた。

 マイクはラフォを車に乗せて、テキサスへと向かう。だがその後を、レタの手下が追跡していた。

■感想・レビュー

 クリント・イーストウッドの監督・主演最新作。たぶんこの映画の価値はそれが7〜8割で、あとはオマケのようなものだと思う。

 最近のイーストウッドは他監督の作品にはまず出演しないし、自分の監督作品に出演する機会もどんどん減っている。2000年以降彼の監督作は19本あるが、自ら出演しているのは6本しかない。(2012年の出演作『人生の特等席』は他監督作品。)多作の監督だから数年に一度は主演作が公開されるが、それでも御年91歳の高齢だ。生きて動いているクリント・イーストウッドの主演映画が、今後10本も20本も観られるわけではないだろう。

 いつどの映画が遺作になってもおかしくないのがイーストウッド。映画ファンはいつか「その時」がくることを覚悟しながら、イーストウッドの新作を観るため劇場に足を運ぶ。イーストウッドの映画は、もうずっと前から「遺作」や「白鳥の歌」のにおいを漂わせているからたちが悪い。今から30年前、1992年の『許されざる者』の時からそうだった。

 もうずっと長いこと、イーストウッド作品のテーマが「老い」や「世代交代」「継承」になっているからだろう。もう30年間、イーストウッドは舞台に上がると同じ歌を歌っている。でもこれが絶品だから、誰もが唸ってしまうのだ。

 今回の映画も、イーストウッドが得意の歌を披露するワンマンライブ。歌っているのは新曲だが、味付けも節回しもいつも通りのイーストウッド調で、誰もまねの出来ない世界を作り上げている。この世界に酔えるなら、この映画は絶対に観なきゃしょうがない。曲のできはさほどではないが、歌い手の世界がしっかり表現されているので気持ちよく酔える。

 枯れた老人の描く、枯れた老人の世界。よたよた歩く老人が、年相応の「いい女」と手に手を取り、抱き合ってフロアを踊るラストシーンの多幸感。畜生。イーストウッドは、やっぱ最高じゃねぇか!

(原題:Cry Macho)

ユナイテッド・シネマ豊洲(9スクリーン)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2021年|1時間44分|アメリカ|カラー|2.39 : 1 
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/crymacho-movie/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt1924245/

クライ・マッチョ (海外文庫)

クライ・マッチョ (海外文庫)

posted with AmaQuick at 2022.01.22N. リチャード・ナッシュ(著), 古賀 紅美(翻訳)
扶桑社 (2022-01-13T00:00:01Z)
5つ星のうち5.0
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