2021年12月17日(金)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次公開
世界一有名でマイナーな俳優の現在
■あらすじ
1971年に公開された、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』。その中で、主人公の老作曲家が美の象徴として崇めるようになる美少年タジオを演じたのは、スウェーデン人の15歳の少年ビョルン・アンドレセンだった。映画完成後、監督のヴィスコンティはアンドレセンを「世界で一番美しい少年」と称賛。映画はヒットしてアンドレセンは一躍世界のアイドルとなった。だがこのことが、彼の運命を大きく変えていくことになる。
アンドレセンに父親はいない。母は未婚のまま彼を産み、父親の名を彼や周囲の人の誰にも打ち明けなかった。その母はアンドレセンが10歳の頃に失踪し、やがて森の中で遺体が見つかった。彼は祖母に引き取られて何不自由なく育てられるが、家の中で母の死に関する話はタブーだった。祖母はヴィスコンテのオーディションに孫を応募する。
それから半世紀。アンドレセンはゴミ溜めのようなアパートで暮らしていた。
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