2月11日(祝・金)公開 全国ロードショー
名作ミュージカルの現代版アップデート
■あらすじ
1950年代後半のニューヨーク、ウエスト・サイド地区。貧しい白人少年たちのギャンググループ「ジェッツ」は、プエルトリコからの新移民グループ「シャークス」と小競り合いを繰り返していた。このままではらちがあかない。ジェッツのリーダーであるリフは、決闘で決着を付けることを決める。
だがそのために、リフが頼みとしている男がいる。それは彼と共にジェッツを作った親友であり、過去の抗争で名だたる武勇伝を残しているトニー。昨年の抗争は相手を半殺しにして刑務所に1年食らい込んだが、今は刑務所から出てきている。
決闘を申し込むのは、中立地帯で開かれるダンスパーティに決まった。ジェッツとシャークスのメンバーが勢揃いし、リフに呼び出されたトニーも合流する。だがここで、トニーは一人の少女と運命的に出会ってしまう。相手はシャークスのリーダー、ベルナルドの妹マリアだ。二人は目が合った瞬間恋に落ちるのだが……。
■感想・レビュー
1957年に初演され、今も世界中で上演されている人気ミュージカルを、スピルバーグ監督が改めて映画化した話題作。舞台版の製作スタッフがそのまま参加してた1961年の映画が決定版として存在するのに、なぜ今この作品を改めて映画化しなければならないのか? それは60年前の映画が、今では時代感覚では受け入れがたい作品になっているからだ。
1961年の映画では、シャークスのメンバーをほとんど白人が演じていた。リーダーのベルナルドを演じたジョージ・チャキリスはギリシャ系で、妹マリアを演じたナタリー・ウッドはロシア系だ。アニタ役のリタ・モレノは実際にプエルトリカンだったが、それ以外は白人が顔に褐色のドーランを塗って演じていたのだ。
ブラックフェイスという言葉がある。白人の俳優が顔に黒いドーランを塗って黒人を演じることだが、これは人種差別的だと考えられるようになり、1950年代以降のハリウッド映画からは消えていく。しかし他の人種はどうなのか。1961年の時点では、白人が顔を茶色く塗ってプエルトリカンを演じることに、ほとんど誰も問題を感じていなかった。でも今はそれが許されない。
これを「ポリコレだ」などと言う人もいるだろうが、そんな難しい話ではない。観客の目が肥えて、それを不自然だと感じるようになっただけなのだ。舞台の上で許される約束事は、かつては映画でも許されていた。「ウエスト・サイド・ストーリー」を日本で舞台上演するときは、日本人の俳優がそれらしい扮装で演じるし、誰もそれを人種差別だとは考えない。でも映画はダメだ。もはら観客がそれを受け付けない。
そんなわけで21世紀仕様にアップデートされた本作だが、最初の映画化に負けない魅力的な作品になっていると思う。もし1961年版の映画をまだ観ていないなら、まずこの2021年版から観るのが正解。何なら、今後もこれだけでいいと思うぞ。
(原題:West Side Story)
ユナイテッド・シネマ豊洲(1スクリーン)にて
配給:ディズニー
2021年|2時間37分|アメリカ|カラー|2.39 : 1
公式HP: https://www.20thcenturystudios.jp/movies/westsidestory
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt3581652/
West Side Story (Original Soundtrack) (2021)
posted with AmaQuick at 2022.02.19
Rachel Zegler(アーティスト), Leonard Bernstein(作曲), Steven Sondheim(作曲), Gustavo Dudamel(指揮), Los Angeles Philharmonic(オーケストラ), New York Philharmonic(オーケストラ)
Hollywood Records (2021-12-10T00:00:01Z)
¥1,897 (中古品)