ブレット・トレイン

9月1日(木)公開 全国ロードショー

ハリウッド謹製のエキゾチック・ジャパン!

ブレット・トレイン

■あらすじ

 そろそろ引退を考えているベテラン殺し屋レディバグは、仲介役のマリアから急ぎの仕事を引き受ける。東京発京都行きの新幹線に乗り込み、アタッシュケースをひとつ盗んで品川で降りるだけだ。幾度も修羅場をくぐってきたレディバグにとって、それは簡単すぎる仕事に思えたのだが……。

 息子を何者かに殺されかけた木村は、犯人への復讐のため新幹線に乗り込む。だが示された場所にいたのは、まだあどけなさの残る少女だった。不意打ちを食らって意識を失う木村。目を覚ましたとき、彼は自分が少女の手駒にされていることを知る。

 日本最大のヤクザ組織を牛耳る「白い死神」の息子を誘拐犯から救出し、身代金入りのアタッシュケースを奪い返した兄弟殺し屋のミカンとレモン。だが二人がわずかに目を離したすきに、アタッシュケースは奪われ、救出した息子は殺されてしまった。ミカンとレモンは息子の生を偽装するとともに、盗まれたアタッシュケースを探す。

■感想・レビュー

 ブラッド・ピット主演のアクションコメディ映画。原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」で、舞台になっているのはほぼ新幹線の車内のみという異色作だ。走行中は脱出することのできない動く密室に、何人もの殺し屋が乗り込んできて、奪ったり奪われたり、殴ったり殴り返されたり、殺したり殺されたりのドタバタが繰り広げられる。

 映画に登場する日本の描写はかなりへんてこだが、これは意図的なものだろう。日本でJRに撮影協力を断られて台湾新幹線でも使ったのかと思っていたが(2013年の『藁の楯』方式)、ここに登場するのは100%偽物、架空の新幹線であり、駅であり、街並みなのだ。

 美術スタッフからすれば、新幹線にしろ、駅にしろ、街の様子にしろ、実物を取材してそれらしく再現する方がずっと簡単だったはず。でもこの映画はそれをせず、わざわざ新しい車両をデザインし、社内の調度品をしつらえて、架空の高速鉄道列車「ゆかり」を作り上げた。これは現実の世界の延長にあるリアリズムではなく、現実とはかけ離れた映画的リアリズムの中で、観客に虚構の物語を楽しんでもらおうとする作り手の仕掛けだ。

 徹底的に作り事だから、ここに登場する殺しの場面もさほど陰惨な感じがしない。僕が観ていたのは4DXだったので、客席に血しぶき(水滴)が飛んでくるというオマケはあったが、たぶんそれがなければ全体的にドライでクールなアクションの連続だったはずだ。殺し屋ウルフにまつわる長目の回想シーンなども、CMやミュージックビデオのように手が込んでいてスタイリッシュ。こんだけいわく因縁を見せといて、結果がこれか!というオチも含めて、映像的には贅沢な作りになっている。

 物語として面白いかどうかは正直ビミョーだが、少なくとも退屈はしないはず。美術スタッフの仕事ぶりも、一見の価値があるはず。これは何かの形で、今後の指標になる映画かもしれない。しらんけど……。

(原題:Bullet Train)

ユナイテッド・シネマ豊洲(7スクリーン/4DX2Dにて) 
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 
2022年|2時間6分|アメリカ|カラー 
公式HP: https://www.bullettrain-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt12593682/

マリアビートル (角川文庫)

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