RRR

10月21日(金)公開 全国ロードショー

映画の面白さだけがギッシリ詰まった3時間!

■あらすじ

 20世紀初頭。大英帝国に植民地支配されたインドの山間部で、ひとつの事件が起きる。小さな村を訪れていたインド総督夫妻が、まだ幼い村の娘を強引に連れ去ったのだ。

 それからしばらくして、デリーの総督府を藩王国の特使が訪れ、とある噂話を告げる。誘拐された少女を連れ戻すため、村の守護者がデリーに送り込まれた。少女を解放しなければ、総督を大きな不幸が襲うだろう……。総督の側近はこれを一蹴するが、念のため警察にデリー市内の警備を強化させる。この任務に手を上げたのが、青年警官のラーマだ。彼は仲間と共に反英活動家の集会に潜入する。

 少女を奪還するためにデリーにやって来たビームは、身分と名を偽って町の修理工場で働いている。ある日彼は、大きな事故で一人の少年が命を落としそうになる現場に遭遇。そこで出会った男と協力して、見事少年を救出することに成功した。

 こうしてラーマとビームは出会い、二人は親友同士になった。

■感想・レビュー

 『バーフバリ』二部作で世界中の映画ファンを熱狂させたS・S・ラージャマウリ監督の新作は、物語の舞台を古代インドから20世紀のインドに移した大冒険活劇だ。

 主人公のラーマとビームは実在した独立運動家がモデルらしいが、映画自体は『バーフバリ』ばりの勧善懲悪アクション大作で、史実とかは正直どうでもいいような気がする。とてつもなく悪い奴が、巨大な権力と暴力を使って善良な人々を苦しめ、それに抗う主人公たちが力を合わせて戦い勝利する。歴史とか政治とか無関係に、いつの時代、どんな場所でも通用する、「少年ジャンプ」的なエンタテインメントなのだ。(それでもエンドロールの演出では、この映画がインド独立運動家たちへのリスペクトであることをアピールしている。)

 二人の主人公の生い立ちや動機を、一人は順を追って描き、もう一人は回想形式を使って後から小出しに明らかにするという構成。この回想部分は説明として中だるみしそうな部分だが、それをこの上もない胸熱展開にしてしまう手腕は見事。考えてみれば『バーフバリ』にしても、第二部はほとんど過去の経緯を描いた回想シーンみたいなものだった。この話法は、ラージャマウリ監督の得意なものなのかもしれない。

 この映画を一言で表現するなら、「何もかもが過剰」ということになると思う。例えば悪役は徹底的に悪辣非道のとんでもない奴で、それだけでもお腹いっぱい。しかしそこに、妻もトンデモねぇ女だというエピソードをぶち込んでくる。主人公たちの性格付けも明瞭で分厚い。これに比べるとヒロインのキャラクターが少し弱いような気もするが、この映画にそこまで求めるのは欲張りというものだろう。

 香港アクション映画からバスビー・バークレーのミュージカルまで、古今東西の面白映画要素を際限なく詰め込んだ3時間のエンタテインメント大作。映画の面白だけを徹底的に堪能できる、誰もが大満足間違いなしの作品だ。

(原題:RRR)

109シネマズ木場(シアター5)にて 
配給:ツイン 
2022年|2時間59分|インド 
公式HP: https://rrr-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt8178634/

『RRR』公開記念/S.S.ラージャマウリ監督映画『バーフバリ 伝説誕生〈完全版〉』 [Blu-ray]

プラバース(出演), ラーナー・ダッグバーティ(出演), タマンナー(出演), サティヤラージ(出演), S.S.ラージャマウリ(監督)

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