アルプススタンドのはしの方

 7月24日(金)公開 シネマカリテほか全国順次公開

舞台劇を映画化した青春群像劇

 夏の高校野球全国大会。埼玉県立東入間高校は念願の甲子園出場を果たし、教員や在校生有志がバスで応援席に送り込まれていた。その中には、野球のルールがよくわからないままやってきた演劇部の生徒や、野球を諦めた元野球部員、ガリ勉タイプでスポーツと縁のなさそうな女子生徒なども混じっている。試合はピッチャーの好投もあって接戦だが、相手チームが甲子園常連の優勝候補とあって一瞬も気が抜けない。そんな試合を冷ややかに見ていた元野球部員の藤野は、自分が野球を辞めた理由を演劇部の安田に話す。その安田も、打ち込んできた演劇部での活動を引退するにあたって、胸の中に大きなわだかまりを抱えていた。試合は相手チームが先制。炎天下の甲子園球場応援席で、高校生活最後の夏が、悔いを残したま終わろうとしている。そんな中、試合では味方チームが相手に食い下がり、得点差を少しずつ詰め始める。そして9回。試合は一打逆転のチャンスを迎えた。

続きを読む

イップ・マン 完結

7月3日(金)公開 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

ドニー・イェン主演の人気シリーズ完結!

 1964年の香港。詠春拳の達人として多くの弟子たちを育てた葉問(イップ・マン)は、医師から悪性腫瘍の診断を受ける。武術の達人も病気には勝てない。今の彼にとって唯一の心残りは、高校生の息子が学校に馴染めず喧嘩騒ぎばかり起こし、ついには退学になってしまったことだ。「息子さんには海外の学校の方が合うかもしれません」と言われた葉問は、アメリカで道場を開いて成功している弟子・小龍(シウロン/英名ブルース・リー)の招きに応じて米国を訪れる。だがロサンゼルスの中国人拳法家たちの中で、小龍は問題児扱いされていた。彼が広く道場の門戸を開き、中国伝統の武術をアメリカ人にも教えていたからだ。息子をアメリカに留学させるには、現地での身元引受人となる中華総会の紹介状が必要だ。だが総会の代表ワンは、小龍をかばう葉問に紹介状を渡そうとしない。手詰まりの中、葉問は学校でクラスメイトからいじめを受けているワンの娘を助ける。

続きを読む

グレース・オブ・ゴッド 告発の時

7月17日(金)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほかロードショー

神父の性犯罪と教会の偽善を告発する実録映画

 アレクサンドルは、フランスのリヨンで妻や5人の子供と暮らす40歳代の銀行幹部だ。彼は友人のひとりから、少年時代にボーイスカウト活動を指導していたプレナ神父が、再びリヨンに戻ってきたことを知らされる。「君もプレナ神父に触られたかい?」と言う友人は、プレナ神父から性的虐待を受けた被害者だった。アレクサンドルが心の中で封印していた思い出が蘇る。自分も同じように、プレナ神父の性虐待の対象になっていた。しばしば個室に呼び出され、体をなで回されてキスされた。神父の性癖は当時ボーイスカウトに参加していた子供たちにとって公然の秘密で、同じような被害を受けた子供は大勢いるはずだ。その神父が、今もまだ教会で聖職者を続け、聖書クラスで子供たちを教えているのだ。アレクサンドルは30年前の性被害を、教会に告発することにした。神父を子供たちから遠ざけ、聖職を剥奪しなければならない。アレクサンドルの戦いが始まった……。

続きを読む

悪人伝

7月17日(金)公開 全国劇場公開

マ・ドンソクの存在感にしびれる!

 夜道で人が刺され、金を奪われる事件が発生した。警察は強盗殺人事件として捜査開始。だが刑事のチョン・テソクは、これが近隣で起きている他の殺人事件と同一犯だと直感する。上司は「他の管轄の事件に首を突っ込むな」と釘を刺すが、テソクは独自に捜査を進めていく。そんな中、しばしばテソクと対立している大物やくざのチャン・ドンスが、何者かに刺されて病院に担ぎ込まれた。犯人は逃亡したが、テソクはこれも連続殺人犯の仕業だと確信する。だとすれば、ドンスは一連の事件の唯一の生存者だ。ドンスは犯人の顔を見て、会話も交わしている。だが警察は一連の事件が同一犯だという見立てにはとらず、テソクは自由に使える人手がない。一方ドンスも復讐のために犯人を追うが、多くの部下が動いても雲をつかむような話。警察の調査分析能力と、やくざの人海戦術を組み合わせるしかない。こうしてテソクとドンスは、一時的に手を組むことになったのだが……。

続きを読む

三島由紀夫 vs 東大全共闘/50年目の真実

3月20日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

そこでは言葉がまだ生きていた

 1969年(昭和44年)5月13日火曜日。東大全共闘は駒場キャンパス900番教室に、作家の三島由紀夫を招いて討論会を行った。革命を主張する左翼学生と、前年に右翼学生を集めて「楯の会」を作り、時代錯誤な保守反動の親玉のように見られていた文学者の直接対決だ。学生たちは三島を「近代ゴリラ」と笑い、「三島を舞台上で論破して切腹させる!」と息巻いた。一方で一人敵地に臨む三島は、懐に短刀と鉄扇を忍ばせていたという。壇上での討論は幾つかのテーマで区切られ、三島はそれに対して誠実に答えていく。それは学生たちの前で披露される、三島の思想のエッセンスだった。討論会は事前の思惑を裏切るように、友好的で和気藹々としたムードで終わる。この映画は当日の様子を撮影したTBSの記録映像を中心に、討論会にいたる当時の日本の世相と三島の足跡、討論会後の三島の自決、討論会に関わった人たちの現在のインタビュー等で構成されている。

続きを読む

エジソンズ・ゲーム

6月19日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

巨人ウェスティングハウス!

 1880年代のアメリカ。列車用空気ブレーキの発明で事業家としても成功していたジョージ・ウェスティングハウスは、エジソンの白熱電球に注目していた。白熱電球は世界を変える素晴らしい発明だ。しかしエジソン社が供給している直流電源システムでは、大規模な電力供給網を作ることができない弱点がある。この弱点を克服した交流発電機を入手・実用化させていたウェスティングハウスは、エジソンと手を結ぶことで全米規模の電気事業を作り上げられると考えた。だが直流にこだわるエジソンはこの提携話を拒む。こうして直流のエジソン方式と、交流のウェスティングハウス方式が、市場の覇権を争う「電流戦争」が勃発した。当初はエジソンの名声でリードしていた直流陣営だが、エジソン社で交流の研究を阻まれた天才科学者ニコラ・テスラがウェスティングハウス陣営に参加する頃から、徐々に劣勢に立たされるようになる。市場は交流派に大きく傾いていく……。

続きを読む

デッド・ドント・ダイ

6月5日(金)公開 全国ロードショー

スクリーンの中の芸能人隠し芸大会

 でっかいアメリカのど真ん中にある、ちっちゃな村センターヴィル。事件らしい事件のほとんど起きないこの村には、警官が3人しかいない。だがそこに、前代未聞の事件が起きる。村で唯一のダイナーで、店員2人が惨殺されたのだ。より正確に言うと、2人は何者かに食い殺されていた。野生動物のしわざか、それとも変質者か。若い警官のロニーは、「ゾンビかもしれない」と言う。墓地に行ってみると、確かに墓から何かがはい出したらしい穴があるではないか。やがて小さな村は、ゾンビだらけになるのだった。通りを死者が歩き回り、葬儀社でも死人が蘇り、警察でも保管中の死体が歩き始める。

 ゾンビはノロノロ歩き出し、頭部を破壊すれば死ぬ。そうとわかっていても、何しろ小さな村では生きている人より死んだ人の方が多い。次々やってくるゾンビたちが相手では、多勢に無勢。村人たちは次々ゾンビの餌食になり、あるいは新たなゾンビになってしまうのだ。

続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

6月12日(金)公開 全国ロードショー

名作「若草物語」の最新映画版

 ニューヨークで作家修業中のジョーは、マーチ家四人姉妹の次女だ。長女のメグは既に結婚して二児の母。三女のベスは身体が弱くて、実家で母と暮らしている。四女のエイミーは資産家の伯母に連れられて、パリで絵の勉強をしている。必死の売り込みでようやく作家としての入口に立ったジョーは、まだ姉妹が実家で一緒に暮らしていた頃のことを思い出す。

 北軍の従軍牧師として出征し、長く家を留守にしている父。不在の父にかわって、一家の大黒柱となっている母。隣人ローレンス氏の思いやり。ローレンス氏の孫、ローリーとの友情。そんな中で、ベスが猩紅熱にかかったのは家族にとって大きな事件だった。しかし家族の必死の看護もあって、ベスは一命を取り留める。他人が見れば何でもない出来事も、姉妹たちにとってはかけがえのない日々だった。しかしそれから7年たった。四姉妹の少女時代は終わったのだ。時の流れは、否応なしに家族の姿を変えていく。

続きを読む

AKIRA [IMAX]

4月3日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

1980年代日本アニメの到達点と限界

 1988年。東京で新型爆弾が炸裂し、都心部は壊滅した。それから31年。東京湾を埋め立てた新首都・ネオ東京は、空前の繁栄を謳歌している。だがそこにあるのは、反政府運動の街頭デモとテロ行為、それを暴力的に鎮圧しようとするアーミー、行き場を失った若者たちのバイクによる暴走だった。そんな暴走族グループを率いる金田は、弟分の鉄雄が事故を起こして軍の施設に収容されたことに衝撃を受ける。一度は施設を抜け出した鉄雄だったが、彼は金田たちの目の前で再び軍の施設に収容されてしまった。金田は鉄雄を救出するため、反政府テログループのメンバーであるケイたちと軍の施設に潜入するが、強大な力を目覚めさせた鉄雄は自力で施設を脱出。身に着けた能力で自我を肥大させ尊大に振る舞うようになった鉄雄は、かつての仲間だった山形を惨殺。強烈な頭痛とともに頭の中で響く「アキラ」という声の正体を求め、今は廃墟となっている旧市街へと向かう。

続きを読む

Fukushima 50

3月6日(金)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

脚本の構成が腑に落ちない残念な作品

 2011年3月11日午後2時46分。東北地方太平洋沖で、マグニチュード9.0、最大震度7の巨大地震が発生する。だが東北各地に甚大な被害を与えたのは、自身による揺れそのものより、地震によって発生した記録的な大津波だった。福島第一原子力発電所も津波の被害を受け、主電源だけでなく予備電源まで喪失してしまう。防災マニュアルでは想定していない、まったく不測の事態だ。こまままでは熱暴走した原発内で燃料が溶け出して格納容器に穴があき、周囲に放射能をまき散らすことになる。この日原発に勤務していた職員や作業員たちは、最悪の事態を防ぐために全力で作業を開始する。全員がそれぞれ、やれることをやるだけだ。格納容器の内部圧力が設計強度の1.5倍に達し、所長の吉田昌郎は圧力を外に逃がすベントを決定。そのために必要な2箇所のバルブを手動で動かすために、作業員は二人一組の決死隊を作って放射線濃度の高い施設内に飛び込んだ。

続きを読む