ドクター・スリープ

11月29日(金)公開 全国ロードショー

こうして物語は受け継がれていく

 ダン(ダニー)・トランスはアル中の中年男だ。父親もアル中だったが、彼が5歳のときに山間部のリゾートホテルで冬季管理人の仕事を引き受け、孤立した環境の中で精神を病んで死んだ。だがダンは知っている。父ジャックは、ホテルに巣食っていた悪霊に取り憑かれたのだ。ダンは子供の頃から「シャイニング」と呼ばれる不思議な力を持っており、悪霊たちはその力を自分たち側に引き込むため、父を使って彼を殺そうとした。父の手を逃れたダンだったが、悪霊は彼につきまとい続ける。ダンは自分を守る黒人の霊に指導され、悪霊たちを一人ずつ自分の頭のなかにある箱の中に閉じ込める。悪霊は去ったが、安らぎは訪れない。彼はアルコールまみれの生活を立て直すため、ニューハンプシャー州の小さな町に転居してホスピスで仕事を始める。ようやく手に入れた安らかな生活。しかし彼はそこで、アメリカ各地で起きる少年少女誘拐殺人事件に巻き込まれていくのだった。

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アイリッシュマン

11月15日(金)公開 全国ロードショー

デ・ニーロがスコセッシ映画に帰ってきた!

 これはひとりの男の回想だ。トラック運転手のフランク・シーランは、車のエンジン不調で立ち往生しているところで、たまたま通りがかった男に声をかけられた。立派な身なりの男は、手が油まみれになるのも厭わずエンジンに手を突っ込み、不調の原因をピタリと言い当てる。これがフランクとラッセル・ブファリーノの出会いだった。積み荷の横領で小遣い稼ぎをしていたフランクは、雇い主に訴えられたところを組合の弁護士に助けられ、彼の紹介でラッセルと再会する。すっかり意気投合した二人は家族ぐるみの付き合いをはじめる。ラッセルは裏社会で名の知れた顔役のひとりで、いつしかフランクはその右腕として、頼まれた「ペンキ塗り」の仕事を手掛けるようになった。「ペンキを塗る」は裏社会の隠語で、人を殺すことだ。そんな中でラッセルが自分の仕事仲間としてフランクに紹介したのが、全米トラック運転組合「チームスター」の会長ジミー・ホッファだった。

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失くした体

11月22日(金)公開 全国ロードショー

体は消えても触れた手の記憶は残る

 冷蔵庫の中に保管されている、切断された人間の右手首。それは1人の青年の体から切り離されたものだった。手首は冷蔵庫を脱出すると、自分の身体を探す長い長い旅に出る。そこで思い出されるのは、青年の過ごしたこれまでの人生だ。そこにはいつも、右手首が一緒だった。両親と共に過ごした、幼い頃の幸せな暮らし。家族で出かけた海水浴。家族で出かけたドライブ。だがその幸せな暮らしは、交通事故で一変してしまう。天涯孤独の身の上になった少年は、やがて青年になる。そんな彼の暮らしを変えたのは、バイト先で出会った一人の女性への恋心。彼は彼女と親しくなるため仕事を変える。口下手だった青年は、この恋をきっかけにして積極的になるのだ。だが一体なぜ、手首は切断されてしまったのだろう。手首を失った青年の体はどこにあるのだろう。手首は青年の元に無事たどり着くことができるのだろうか。やがて物語は、思いがけない結末を迎えることになる。

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ターミネーター:ニュー・フェイト

11月8日(金)公開 全国ロードショー

シリーズ1・2作目の変奏曲

 1998年。新型ターミネーターとの死闘を制して無事に未来を救ったサラとジョンの親子だったが、未来改編前に現代に送り込まれていたターミネーターは、与えられた命令を遂行するためジョンを射殺する。それから22年。人類と機械の戦場となった未来から、またもや人間とターミネーターが現代に送り込まれてくる。液状金属で自由自在に姿を変えられる新型ターミネーターREV-9と、ターミネーターとの戦いのために全身を強化したサイバネティクス戦士グレイスだ。ターミネーターが追うのはダニー・ラモスというメキシコ人女性。グレイスは彼女を守るのが使命だ。だがREV-9の圧倒的な戦闘力の前に、グレイスも防戦一方。そこに登場したのが、重武装したサラ・コナーだった。彼女は何者かに送られて来たメッセージに導かれて来たのだ。その謎を探るため、3人はメッセージの発信元へ。だがそこで待っていたのは、ジョンを殺したターミネーターだった。

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NO SMOKING

11月1日(金)公開 シネスイッチ銀座、ユーロスペースほか全国順次公開

細野晴臣の過去と現在

 ミュージシャンの細野晴臣は1947年東京生まれ。幼い頃は米軍占領時代で、母に背負われて銀座に出かけたとき、米兵にチョコレートをもらったことがあるという。戦争は終わって平和な時代が来ていたが、あちこちにまだ戦争の爪痕が残っていた。そんな中で細野は、戦後大量に流れ込んできたアメリカのポピュラー音楽を聴いて育つ。ドラムのイントロが高らかに響き渡るベニー・グッドマンの「シング・シング・シング」や、ハリウッド映画のサウンドトラック。それらは今でも、彼の音楽のルーツのひとつになっている。大学時代にバンド活動を始め、周囲にはさまざまな人間が集まってくる。エイプリル・フールでメジャーデビューした後、大滝詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成。3枚のアルバムを発表した後、ソロ活動をスタートした。この映画は2018年から翌年までのワールドツアーの様子を軸に、細野晴臣の過去と現在を綴ったドキュメンタリーだ。

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キング

10月25日(金)公開 アップリンク渋谷・吉祥寺にて公開

シェイクスピアの世界を大胆に翻案

 15世紀初頭のイギリス。イングランド王ヘンリー4世の嫡男ハル王子は父親と対立して宮廷を離れ、放蕩無頼の生活に身を落としていた。病身の父王は王子を廃嫡し、弟トマスに王位を継がせると宣言。しかしトマスはウェールズとの戦いで命を落とし、ハル王子は宮廷に呼び戻されて、父王の死後ヘンリー5世として即位する。だが宮廷内にはこれを好ましく思わない者たちも多い。新王に対する暗殺計画は未然に防ぐことができたが、フランスも暗殺者を送り込んで王位を脅かす。ヘンリーはフランス出兵を決めたが、信頼できる側近がいないのは大きな弱味。彼は放蕩時代の仲間だったフォルスタッフを宮廷に召し出して要職に就けたものの、こうした人事を好ましく思わない者たちの心はむしろ離れて行く。フランスに攻め込んだイングランド軍は上陸地点に近い城を落とすと、さらに内陸へと進軍。しかしその行く手には、フランス王太子ルイが率いる大軍が待ち構えていた。

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今さら言えない小さな秘密

9月14日(金)公開 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

この愛はニセモノなのかもしれない

 ラウル・タビュランは、南仏プロヴァンスの山間にある小さな村で自転車修理店を営んでいる。その腕はピカイチで、持ち込まれた自転車のどんな不調もたちどころに見抜き、即座に直してしまうのだ。村人たちは彼を尊敬し、自転車のことを「タビュラン」と呼ぶほどだ。だがラウルには深刻な悩みがあった。彼は家族にも話せない秘密を抱えていたのだ。これまで何とかそれを隠しおおせてきたが、あることがきっかけでそれが白日の下にさらされそうになっている。その秘密とは、彼が自転車に乗れないということ。子供の頃から何度も挑戦したが、どうしてもバランスがとれない。にもかかわらず、村人も家族もなぜかラウルが自転車の名手だと思っている。これまでは上手くごまかしてきたのだが、村に有名な写真家のフィグーニュがやって来て、ラウルが自転車に乗っている姿を取りたいと言いだしたから絶体絶命。しかもこの話に、家族もすっかり乗り気になってしまった!

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