3月20日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
そこでは言葉がまだ生きていた
1969年(昭和44年)5月13日火曜日。東大全共闘は駒場キャンパス900番教室に、作家の三島由紀夫を招いて討論会を行った。革命を主張する左翼学生と、前年に右翼学生を集めて「楯の会」を作り、時代錯誤な保守反動の親玉のように見られていた文学者の直接対決だ。学生たちは三島を「近代ゴリラ」と笑い、「三島を舞台上で論破して切腹させる!」と息巻いた。一方で一人敵地に臨む三島は、懐に短刀と鉄扇を忍ばせていたという。壇上での討論は幾つかのテーマで区切られ、三島はそれに対して誠実に答えていく。それは学生たちの前で披露される、三島の思想のエッセンスだった。討論会は事前の思惑を裏切るように、友好的で和気藹々としたムードで終わる。この映画は当日の様子を撮影したTBSの記録映像を中心に、討論会にいたる当時の日本の世相と三島の足跡、討論会後の三島の自決、討論会に関わった人たちの現在のインタビュー等で構成されている。