新聞記者

6月28日(金)公開 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

政権批判の話題作だが映画としては落第点

 東都新聞の女性記者・吉岡のもとに、1通の匿名FAXが送られてくる。それは国が進めている大学新設計画に関する資料だった。重大な内部告発だが、情報発信元がわからないのでは情報の裏取りが出来ない。情報の信憑性について検証すると共に、吉村は情報提供者の正体を探り続ける。同じ頃、外務省から内閣情報調査室(内調)に出向中の若手官僚・杉原は、新人時代の上司だった神崎に呼び出される。現在杉崎は内調の上司に命じられるまま、政府のためのネット情報工作に従事していた。そこでは情報の隠蔽や秘匿、敵対陣営へのネガティブ情報の流布、虚偽情報の捏造など、やりたい放題だ。かつて自分に国民のために働く官僚の心構えを説いてくれた神崎を前に、恥ずかしげに現在の自分の境遇をぼやいてみせる杉原。だがそんなかつての部下に、「皮肉なものだ。かつての自分に叱られるとは」と悲しげな笑みを浮かべる神崎。彼はその直後に、自殺してしまった。

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Girl ガール

7月5日(金)公開 Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー

その気持ちはすごくわかるけど……

 ベルギーの有名なバレエ学校に転校してきた15歳の少女ララ。家族は彼女のために、わざわざ新しい町に引っ越して来た。バレエに対する人並み外れた情熱と才能の片鱗を見せるララだったが、それまで通っていた学校と新しい学校では、生徒に求められる技術のレベルが違う。だがこれに食らいついていかなければ、学校に残ることは出来ないのだ。そんなララには、他の生徒とは違う問題があった。それは彼女がもともとは男の子としてこの世に生まれてきたこと。思春期を迎えて、ララの体は「こども」から「おとなのオトコ」の体へと変化していく。医師の診断でホルモン療法を受け、いずれは性適合手術を受けることになっているが、それを待つ間にもどんどん自分の体が変化しているのがわかるのだ。家族や親戚はもちろん、学校の教師や他の生徒たちも、ララのことを理解してくれている。そのことで差別的な扱いを受けることはない。だがララは満足できないのだ。

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凪待ち

6月28日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

香取慎吾が何もかも失うダメ男を好演

 東京の印刷会社を辞めて、恋人の亜弓と彼女の娘・美波と共に、宮城の石巻に引っ越すことになった郁男。石巻で漁師の仕事を続けながら一人暮らしをしている亜弓の父が、最近末期がんの宣告を受けたのだ。郁男は石巻の小さな印刷所で働くようになり、亜弓は小さな美容院を開く。東京では引きこもりがちだった美波も、地元の定時制高校に通うようになった。順風満帆とは言わぬまでも、家族にとってはまず順調な船出。だがそうなればなったで、亜弓はあれこれ小言を言って娘と衝突する。ある日、母とケンカをした美波は家を飛び出して、夜遅くまで戻ってこなかった。電話もつながらない。亜弓はすっかり取り乱し、夜の街で美波を探し歩く。そんな様子を半分呆れたように見つめる郁男。結局美波は郁男がひとりで見つけたのだが、無事を知らせるため亜弓に電話をかけると、電話口には知らない男が出た。相手は警察。郁男と別れた後、亜弓は何者かに殺されたのだ。

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プロメア

5月24日(金)公開 全国ロードショー

この熱さが気持ちいい!

 世界各地で突然発生するようになった人体自然発火現象。その原因はバーニッシュと呼ばれるミュータントであり、やがて世界は彼らによる発火と炎上で人口の半数を失う。30年後、人類はバーニッシュの鎮圧にほぼ成功し、世界は再び落ち着きを取り戻した。自治共和国プロメポリスにおいて、バーニッシュによる火災鎮圧のため大活躍しているのが、バーニングレスキューと呼ばれる高機動救命消防隊だ。新米隊員のガロ・ティモスは、ある火災現場で攻撃的なテロ集団マッドバーニッシュのリーダー、リオに出会って一味を拘束する。だがこれは、マッドバーニッシュによる巧妙な作戦のひとつだった。彼らは収容施設から、バーニッシュの仲間たちを救出することが目的だったのだ。逃げ出したバーニッシュたちを追って、ガロは単独でリオと対峙する。しかしそこで知らされたのは、プロメポリスの司政官がバーニッシュを使って人体実験を行っているという事実だった。

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ザ・ファブル

6月21日(金)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

豪華で立派なキャスティングが仇になっている

 暴力団のように世間に看板を掲げることなく、裏社会のみでひっそりと仕事を成し遂げる秘密組織。その組織を知る裏社会の人間が、ファブル(寓話)と呼んで恐れる殺し屋がいる。幼い頃より徹底的に殺しの訓練を受け、どんな相手も6秒以内に殺すことができる人間凶器だ。ある大仕事を成し遂げた後、組織のボスはほとぼりを冷ますため、ファブルを関西に潜伏させることにする。その間は誰ひとりとして殺してはならない。ごく普通の一般人として、目立たぬように暮らせという命令だ。「佐藤明」という偽名を与えられた彼は、お目付役で彼の妹を演じる「洋子」と共に大阪の街で暮らし始める。社会に溶け込むためには、ケンカに弱いふりも、度胸のない泣き虫のふりもする。プロフェッショナルとして困難なミッションを次々にこなしてきた彼にとって、今は「普通になりきる」ことが課題なのだ。だがその彼が、否応なしに暴力団内部の抗争に巻き込まれて行くのだ。

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日本のいちばん長い日

6月28日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

戦争をやめられない日本人たち

 1945年7月26日。アメリカ、イギリス、中国の連名で、日本に対する降伏要求の最終宣言(ポツダム宣言)が発表された。ソ連を仲介に終戦交渉を模索していた日本は、この宣言にソ連の署名がないことから受諾を保留。だがずるずると日を経るうちに、8月6日には広島に原爆投下、9日には中立国だったはずのソ連が日本に宣戦を布告。さらに同日、長崎に2発目の原爆も投下される。軍部はそれでもなおポツダム宣言受諾に強硬に反対していたが、10日未明の御前会議で聖断がくだって宣言受諾の政府方針が確定する。しかしこの後も天皇の地位(国体)を巡って政府内で細かな調整に決着が付かず、14日に再度の御前会議でようやく宣言受諾が確定した。翌日正午から、天皇自らが国民に向けて終戦を宣告する放送が行われることも決まった。だが天皇が読み上げる終戦の詔書の文言確定と録音は14日深夜に及んだが、これはその後の事件の序章に過ぎなかった。

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さよなら、退屈なレオニー

6月15日(土)公開 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

大きな事件の起きないリアルな青春映画

 高校卒業を間近に控えたレオニーは、いつも周囲に馴染めない気分を味わっている。学校の友人たちと一緒に騒いでいても、特に楽しいわけじゃない。母親の再婚相手は地元ラジオ局の人気DJだが、そのことも気に食わなければ、そのことでクラスメートたちからからかわれるのも我慢できない。大人は嫌いだが、自分と同年配の高校生はまるでガキに見えてしまう。そんなレオニーが出会ったのは、自称ギター教師のミュージシャン、スティーブだった。彼女は質屋で中古のギターを買い求め、スティーブが年老いた母親と暮らす自宅兼ギター教室に通い始める。ギターに興味があるわけでも、上手くなりたいわけでもない。地味な反復練習が、面白いわけでもない。でもスティーブと一緒にいれば、暇つぶしにはなる。そんなレオニーにとって唯一の信頼できる大人。それは離れて暮らす父だ。元組合幹部だった父は、工場閉鎖後に母と離婚して、今は遠い土地で暮らしていた。

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