七日

第28回 東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ

全編モノクロ台詞なしのアヴァンギャルド映画

7 Days

  男の生活は毎日がほぼ同じ作業の繰り返しだった。朝早く起きて歯を磨く。着替えて近所の集積所にゴミを出す。朝刊を読みながら飯を食い、洗濯物と布団を干す。年老いた祖母と二人暮らしだが、会話らしい会話はない。家での仕事が終われば、歩いて牛舎に向かう。牛の乳を搾り、餌を与え、牛舎を隅々まで清潔に掃除する。そうした作業の合間に、簡単な昼食を取る。牛の世話が終わればまた歩いて家に戻り、祖母とふたりでテレビを見ながら飯を食う。使い終わった食器を洗い、祖母の入れ歯を掃除し、布団に潜り込んで少し本を読んでから寝る。晴れても雨でも、やることは変わらない。たまには酒を飲むこともある。だが大きく羽目をはずすことはない。すぐちかくに街もあるが、遊びに出ることもない。牛の世話に休みはないからだ。朝起きると顔を洗って歯を磨き、ゴミを出し、朝飯を食い、牛舎に通って仕事をし、晩飯を食って寝る。こうして男の時間は過ぎていく。

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草迷宮

第28回 東京国際映画祭 寺山修司生誕80年 TERAYAMA FILMS

寺山修司が描く母と子の禁断の関係

TERAYAMA FILMS

 ひとりの青年が、子供の頃に聴いた手まり歌の歌詞を訪ね歩いている。それは母が口ずさんでいた歌。その旋律はかすかに記憶の中に残っているが、歌詞の内容は忘却の彼方に消え去ってしまった。そもそも母を知らない人たちに母の歌を教えてもらおうというのだから、どこの誰を訪ねたところでこれは雲をつかむような話だ。旅の中で思い出されるのは、美しかった母の面影。父のいない家庭で、母は女手ひとつで自分を育ててくれた。家の土蔵で暮らす千代女という名の若い狂女に襲われ、大あわてで逃げ出したこともあった。そのことを話すと、母は厳しく自分を叱りつけたものだ。脱走兵と心中した少女の面影。その脱走兵の姿は、なぜか自分の父の姿とだぶるのだ。手まり歌の手掛かりは、追いかけていくと手もとから逃げ出してしまう。ひょっとして、すべてが夢だったのではないかと思うほどだ。母との思い出は、どこまでが本当なのだろう? 青年の旅は終わらない。

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