仮名手本忠臣蔵

1962年9月9日(日)公開 全国松竹系

赤穂義士は過激思想のテロリストだった

 元禄14年3月14日。江戸城松の廊下で、赤穂藩主浅野内匠頭が高家筆頭吉良上野介に斬りかかった。逆上する内匠頭を取り押さえるものがあり、上野介は九死に一生を得る。内匠頭は即日切腹。だがこの一大事のさなか、内匠頭の近習早野勘平は恋人おかると逢い引き中でその場に居合わせることができなかった。一方藩主の刃傷切腹により、赤穂藩は断絶。国を預かる城代家老の大石内蔵助は、幕府による片手落ちの裁定に憤る家臣たちに殉死を誓う。だがその心の中には、主君の本懐を遂げるために上野介を討ち果たすという復讐の決意があった。だがそれから数ヶ月後、内蔵助は京都の遊里で茶屋遊びにふけっていた。赤穂浪人たちの復讐を恐れる吉良方は警戒をゆるめず、内蔵助たちの身辺を疑い深く探っている。それを偽るための偽りの放蕩なのだ。江戸に先着している同志たちからは、次々に吉良方の情報が伝えられてくる。討ち入りの日は、もう目の前に近づいていた。

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AI崩壊

1月31日(金)公開 全国ロードショー

面白いテーマに脚本が追いついていない


 2025年。画期的な医療AIシステム「のぞみ」の開発者・桐生浩介は、共同研究者だった妻を病気で亡くした後、まだ幼い一人娘を連れて日本を去った。それから5年。厚労省認可の医療システムとして各医療機関に導入された「のぞみ」は、診断・診察のサポートから、投薬管理、手術補助、人々の日常の健康チェックまで、幅広く利用される医療や健康のためのインフラになっていた。この功績を表彰しようと、日本に呼び戻された桐生。だがその目の前で、突然「のぞみ」が暴走し始める。「のぞみ」を利用している医療機器も誤作動を起こし、日本中で死者がけが人が続出。社会は大混乱する。間の悪いことに、たまたまデータセンターを訪問していた桐生の娘は、堅牢なサーバールームに閉じ込められてしまった。しかもこのAI暴走を引き起こした容疑者として、警察に追われるようになってしまう。だが今この時、「のぞみ」暴走を止められるのは桐生しかいないのだ。

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テッド・バンディ

12月20日(金)公開 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

殺人鬼は我々の善き隣人だった

 1980年代の終わり。エリザベス(リズ)・クレプファーは刑務所に一人の男を訪ねていた。相手の名はテッド・バンディ。アメリカで30人以上の若い女性を陵辱・殺害した、稀代のシリアル・キラーだ。「なあ、出会ったときのことを覚えてるか?」とたずねるテッド。二人はかつて恋人同士として、何年間か同棲していたことがある。出会ったのは1969年、とあるバーでのことだった。一緒に飲んだあと彼女を自宅まで送ったテッドは、シングルマザーのリズに優しく包み込むような愛情を注ぐ。幼い娘ともすぐに親しくなった。結婚こそしなかったものの、子供を含めた3人は幸せな家庭を築いていたのだ。だが1975年、テッドが逮捕されたことでこの生活は終わる。彼は前年ユタ州で起きていた女性誘拐事件の容疑者として身柄拘束され、裁判を受けることになった。「これは誤解だ。僕は無実だよ」と身の潔白を主張するテッドを、リズは信頼していたのだが……。

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ドクター・スリープ

11月29日(金)公開 全国ロードショー

こうして物語は受け継がれていく

 ダン(ダニー)・トランスはアル中の中年男だ。父親もアル中だったが、彼が5歳のときに山間部のリゾートホテルで冬季管理人の仕事を引き受け、孤立した環境の中で精神を病んで死んだ。だがダンは知っている。父ジャックは、ホテルに巣食っていた悪霊に取り憑かれたのだ。ダンは子供の頃から「シャイニング」と呼ばれる不思議な力を持っており、悪霊たちはその力を自分たち側に引き込むため、父を使って彼を殺そうとした。父の手を逃れたダンだったが、悪霊は彼につきまとい続ける。ダンは自分を守る黒人の霊に指導され、悪霊たちを一人ずつ自分の頭のなかにある箱の中に閉じ込める。悪霊は去ったが、安らぎは訪れない。彼はアルコールまみれの生活を立て直すため、ニューハンプシャー州の小さな町に転居してホスピスで仕事を始める。ようやく手に入れた安らかな生活。しかし彼はそこで、アメリカ各地で起きる少年少女誘拐殺人事件に巻き込まれていくのだった。

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CLIMAX クライマックス

11月1日(金)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開

こうしてパーティ会場は地獄に変貌した!

 オーディションで集められた若いダンサーたちが、海外公演に向けた合宿練習の打ち上げパーティを始める。合宿所の広いダンスフロアがパーティ会場になり、この日は少し羽目をはずしてもおとがめなし。だがダンサーたちの様子が少しずつおかしくなる。誰しも感情と行動に歯止めがきかなくなり、ささくれ立った言葉と暴力が交錯する事態に。誰かが飲み物にドラッグを入れたらしい。でも誰が、何のために? ドラッグで抑制が効かなくなった若者たちは、ヒステリックな声上げながら飲み物に手を出さなかった仲間が怪しいと決めつける。だがそれで問題が解決するわけではない。アルコールとドラッグで酩酊状態になった若者たちが生み出すカオス。その中で女性マネージャーの連れて来た幼い子供が、ドラッグ入りの飲み物に口を付けてしまう。母親は子供を安全な場所に隔離するため配電室に閉じ込めるが、これがさらなる事態の悪化を招くことになってしまうのだ……。

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去年マリエンバートで

10月25日(金)公開 YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

過去の迷宮に捕らえられた人々

 周囲から隔絶された広大なリゾートホテル。そこに集まるのは、夜会服で着飾った富裕層の人々。彼らは取り立てて何をするでもなく、演劇を観たり、ゲームをしたり、他愛のないおしゃべりをして時間を過ごしている。そのホテルを訪れた男Xは、美しい女Aと出会い恋をする。だが翌年同じホテルを訪れたXは、他人行儀な振る舞いを見せるAに戸惑うばかり。XはAに向かって、ふたりの間に何が起きたのかを語っていく。少しずつ、過去を思いだしていく女。だがその記憶は、男の記憶とどこかですれ違う。ふたりの間に、一体何が起きたというのか。ふたりの間に立ちふさがるのは、Aの夫であるM。彼は妻とXの関係を知ってか知らずか、ゲーム版の上の勝負でXをさんざんに打ち負かす。Xは何度もMに挑むがまるで歯が立たない。XはAをホテルの庭園に連れ出した。夜の庭園には、ふたりの他に誰もいない。恋人たちの回想は、いよいよこの問題の核心へと迫っていく。

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スティング

10月18日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

詐欺師映画の古典であり最高傑作

 1936年、イリノイ州ジョリエット。昔ながらのすり替え詐欺で小金を稼いでいるルーサーとフッカーの詐欺師コンビは、かすめ取った封筒の中に思わぬ大金が入っていて驚いた。それは大物ギャング、ロネガンの賭場の売上金だ。ロネガンは見せしめのためルーサーを殺し、フッカーにも追っ手を放つ。辛くも逃げ出したフッカーはルーサーの詐欺師仲間ゴンドーフに会うためシカゴに向かい、そこでロネガンに報復するための計画を練り始める。ゴンドーフが声をかければ、昔の詐欺師仲間が集まってくる。情報屋曰く、「ロネガンは一か八かの博奕はせず、勝てるとわかる堅実な勝負しかしない。ポーカーをやっても最後はイカサマで必ず勝つ!」。ならば引っかける方法はある。コンドーフはロネガンのポーカー勝負にまぎれ込むと、ロネガン以上のイカサマ手口で見事に相手から大金をせしめた。だがその直後、フッカーは「あれはイカサマです」とロネガンに密告する……。

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ジョーカー

10月4日(金)公開 全国ロードショー

道化の仮面がひとりの男を救う

 アーサーは病気の母親の世話をしながら、いつかコメディアンになることを夢見ている。今は街頭宣伝のバイトをしているが、彼自身はこの仕事が嫌いではない。むしろ天職だとすら思っている。人を笑わせてハッピーにするのが、彼の生きがいなのだ。少なくとも、彼は自分でそう信じようとしている。そうとでも思わなければやりきれない現実が、彼の目の前にはあるからだ。街は犯罪に満ちあふれ、人々の心は荒んで、貧富の差は開く一方だ。アーサーのような底辺の人間には、上に這い上がるチャンスすらない。母は認知症を患い、アーサー自身は緊張すると笑いが止まらなくなる病気を抱えている。ある日、同僚から護身用にと銃を押し付けられたアーサーは、うっかりそれを仕事先の病院で落として仕事をクビになる。落ち込んだアーサーは地下鉄の中で笑いの発作を起こして3人組のエリート会社員たちに暴行され、とっさに持っていた銃で相手を射殺してしまうのだった。

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ジョン・ウィック:パラベラム

10月4日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

マーク・ダカスコスに目が釘付け!

 殺し屋たちの聖域・コンチネンタルホテルで宿敵サンティーノを射殺し、1,400万ドルの賞金首になってしまったジョン・ウィック。追っ手がかかるまでの猶予1時間をあっという間に使い果たした彼は、個人的なつてを頼ってモロッコに渡る。モロッコのコンチネンタルホテルで支配人を務めているのは、血の誓印を交わした元殺し屋のソフィア。彼女の手引きで誓印や金貨の管理人ベラーダに接触したジョンは、世界中の殺し屋組織を束ねる首領に会うため砂漠に向かった。一方、組織はニューヨークに組織の裁定人を送り、かつてジョンに協力した者たちに情け容赦の無い制裁を加えていく。タブーを犯したジョンに1時間の猶予という温情を示したウィンストンも、ホームレスたちの地下組織に君臨するキングも、組織に地位を奪われることになった。ジョンはもはや孤立無援。彼を助ける力を持っているのは、謎めいた組織の首領だけ。ジョンは彼に接触できたのだが……。

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ブレードランナー ファイナル・カット

9月6日(金)公開 全国のIMAXシアターで2週間限定公開

大画面で観るショーン・ヤングは美しかった

 西暦2019年。人類は外宇宙に進出している。苛酷な環境下で人間を手助けし、時として慰安を与えるのは、遺伝子操作で生まれた人造人間、レプリカントだ。だが人間以上に苛酷な境遇を強いられる彼らはしばしば脱走し、自由を求めて地球に逃れてくる。地球でレプリカントを捜し出して処分するのが、ブレードランナーと呼ばれる特殊刑事たちだった。ブレードランナーのリック・デッカードは、逃亡した最新型レプリカント4体の追跡と処分を命じられる。彼は最新型についての情報を得るため製造元のタイレル社を訪れるが、そこで出会った社長秘書のレイチェルは、幼少時の偽の記憶を植え付けられたレプリカントだった。逃亡したレプリカントの所持品から、ダンサーとして繁華街に潜伏中の個体を発見したデッカードは、雑踏の中で彼女を射殺。その様子を目撃した別のレプリカントに殺されそうになるが、間一髪のところで彼を助けたのはレイチェルだった……。

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