モアナ 南海の歓喜

9月15日(土)公開 岩波ホール

ドキュメンタリー映画の父が再現した南海の暮らし

 1920年代初頭、世界初のドキュメンタリー映画『ナヌーク(極北の怪異)』(1922)で好評を博したロバート・フラハティ監督は、家族とともにサモア諸島サバイイ島に移り住んだ。北極圏カナダでエスキモーの暮らしを撮影したのに続き、南太平洋の孤島でポリネシア人たちの暮らしを撮影しようとしたのだ。一家は族長の信頼を得て、さまざまな珍しい風習を撮影することに成功した。主人公は島の青年モアナだ。美しい島の風景の中で繰り広げられる、島民の伝統的な暮らし。島の周囲にある豊富な海の幸、ヤシやタロイモを中心にした食生活。植物の樹皮を薄く剥いで作る布と、そこに施される繊細な装飾。島に伝わる勇壮な祭りと、青年が大人の男になるため乗り越えなければならない通過儀礼。それが終われば、モアナと恋人との結婚式がはじまる。映画が完成したのは1926年。それから半世紀たち、フラハティの娘が映画に素晴らしい音声トラックを付けた。

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MIFUNE: THE LAST SAMURAI

5月12日(土)公開 有楽町スバル座ほか全国順次公開

三船敏郎なくして戦後チャンバラ映画なし!

 戦後の1950年代初頭から1970年代にかけて、海外から見た「日本人らしい日本人」「現代のサムライ」と言えば三船敏郎だった。中国山東省で日本人写真館主の息子として生まれた三船は、終戦後復員すると知人の紹介で東宝の撮影部に入社願書を出した。ことろがなぜか、これが東宝ニューフェイスの申し込みに紛れてしまった。こうして三船は、不本意ながら映画俳優になった。1947年のデビュー作『銀嶺の果て』で脚本を書いたのが黒澤明。黒澤はこの後、自身の作品に欠かせない俳優として三船敏郎を起用し続ける。『羅生門』(1950)のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞で、主演の三船も日本を代表する映画俳優になった。以降は黒澤と三船の二人三脚で、『七人の侍』(1954)や『用心棒』(1961)など、映画史に残る数々の作品に出演し続けた。本作はそんな三船敏郎の姿を通して、日本映画の歴史を俯瞰してみせるドキュメンタリー映画だ。

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ボヤージュ・オブ・タイム

3月10日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

テレンス・マリックが描く「いのちの営み」の世界

 「世の中は 何にたとえん 水鳥の嘴(はし)振る露に 宿る月影」と、曹洞宗の開祖である道元禅師は歌に詠んだ。世界の姿は、水鳥のくちばしから滴り落ちた水滴に映る月のようなものだ。それはきらめきながら水に落ち、あっという間に姿を消してしまう。だが月そのものは、その前も、その後も、夜空に輝き続けている。宇宙の誕生以来、星々は生まれては消え、地球の上では生命が生まれては消えて行く。ひとつひとつの命は儚く脆い。だがその背後には、宇宙誕生から一貫している命の営みの法則がある。命は現れては消える。これからも、命は現れ、そして消えて行くだろう。そのすべての命は、宇宙の中でひとつにつながっている。遠い昔に現れて消えた命が、いま生まれる命に力を与える。そしていま消えて行く命が、未来の命につながれていく。世界は命に満ちている。この映画は宇宙に満ちるすべての「いのちの営み」を、ダイナミックな映像で紡ぎ出していく。

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SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女。[2017デジタルリマスター版]

1月6日(金)公開 新宿バルト9ほか全国公開

リバイバル公開された伝説の音楽ドキュメンタリー映画

SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女。

 1992年の冬。シンガーソングライターの矢野顕子が、新しいアルバムの制作に取り組んでいた。アルバムタイトルは「SUPER FOLK SONG」。ピアノ弾き語りの一発録りにこだわったこともあり、膨大なNGテイクが出る。完全主義者の矢野はわずかなミスタッチも許さず、何度もリテイクを繰り返す。だが彼女のことをよく知るスタッフたちは、そのことに少しも異議をはさまない。アーティストとしての彼女を100%信頼しているのだ。自ら作詞や作曲も行う矢野だが、今回のアルバムではすべての曲がオリジナルではなくカバーだ。この映画では、はちみつぱいの「塀の上で」、大貫妙子の「横顔」、小室等の「夏が終る」、THE BOOMとの矢野の「それだけでうれしい」、糸井重里の「SUPER FOLK SONG」、THE BOOMの「中央線」、セルフカバーの「PRAYER」などの収録風景と、関係者のインタビューが収録されている。

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ヒッチコック/トリュフォー

12月10日(土)公開 新宿シネマカリテほか全国順次公開

名著「映画術」を補完する作品

ヒッチコック/トリュフォー

 1966年。ヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督のひとりフランソワ・トリュフォーが聞き役となり、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックを相手に長時間の取材を行ったインタビュー本「Hitchcock/Truffaut」が発売された。日本では「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」のタイトルで知られるこの本によって、アメリカでは職人的な娯楽映画の監督と考えられていたヒッチコックは世界的な「映画作家」のひとりとなる。またこの本は、これから映画監督を目指そうとする世界中の若者たちにとってのバイブルとなった。この映画は当時の取材に使われた録音テープや写真をもとにして歴史的なインタビューを再現すると共に、完成した本の中ではスチル写真で取り上げられているヒッチコック作品の名場面を映画の引用という形で補完している。さらにスコセッシを筆頭とする10人の映画監督たちが、この本の影響について語っている。

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シーズンズ 2万年の地球旅行(日本語版)

2016年1月15日(金)公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

生命の歴史をたどるドキュメンタリー映画

シーズンズ 2万年の地球旅行

 今から7万年前にはじまった最終氷期は2万年前に最寒冷期を迎え、地球上から多くの生物が絶滅した。しかし一部の生物はその長く厳しい冬を乗り越え、1万年後の春を迎えることになる。この時生き延びた生命の中には、我々人類の祖先も含まれていた。氷河期を終えた世界では、一斉に植物が芽生えはじめる。氷に覆われていた世界は、驚くほど短い時間の内に生い茂る木々の緑に覆われた。森の黄金時代かはじまったのだ! そこではあらゆる動物と植物が、互いに深くつながりながら調和の取れた暮らしをしていた。人間たちももちろん、そうしたつながりの中にいた。森は多種多様な生命を育み、2万年前にはごくわずかな種類しかいなかった生物は千変万化の進化を遂げる。そこでは人間もまだ、多彩な森の生き物のひとつだった。しかし人間が農業をはじめたことで、森は大きく姿を変えていく。木々は切り倒され、動物は家畜になった。森の黄金時代は終わったのだ。

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お里帰り

第28回 東京国際映画祭 CROSSCUT ASIA #2 熱風!フィリピン

世界初の世界一周達成者エンリケの伝記映画?

BalikBayan#1 Memories of Overdevelopment Redux III.5

 1521年3月16日。フェルディナンド・マゼラン率いるスペイン艦隊は、西回りの世界一周航海を開拓中にフィリピン諸島を発見。マゼランの奴隷でマラッカ出身のエンリケは、ここで自分の母語であるマレー語を話す人と出会った。エンリケは世界一周を達成した、世界で最初の人間になったのだ。フィリピンの映画作家キドラット・タヒミックは、エンリケの伝記映画を作っている。資料ではわからない部分を想像力で補いながら、フィリピン到着で世界一周の一番乗りをした男の一生を描くつもりだ。物語の舞台は16世紀と現代を自由に行き来する。エンリケの物語は、現代の木彫職人の姿と重ね合わされる。マゼランの姿は、ひとりの男を捜し求める現代の画家の姿と重なってくる。過去に撮影された映像と、新しい映像が混ざり合い、現実とフィクションが混ざり合う。エンリケとマゼランはフィリピンに到着し、そこでマゼランは壮絶で唐突な死を迎えることになる。

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