キング

10月25日(金)公開 アップリンク渋谷・吉祥寺にて公開

シェイクスピアの世界を大胆に翻案

 15世紀初頭のイギリス。イングランド王ヘンリー4世の嫡男ハル王子は父親と対立して宮廷を離れ、放蕩無頼の生活に身を落としていた。病身の父王は王子を廃嫡し、弟トマスに王位を継がせると宣言。しかしトマスはウェールズとの戦いで命を落とし、ハル王子は宮廷に呼び戻されて、父王の死後ヘンリー5世として即位する。だが宮廷内にはこれを好ましく思わない者たちも多い。新王に対する暗殺計画は未然に防ぐことができたが、フランスも暗殺者を送り込んで王位を脅かす。ヘンリーはフランス出兵を決めたが、信頼できる側近がいないのは大きな弱味。彼は放蕩時代の仲間だったフォルスタッフを宮廷に召し出して要職に就けたものの、こうした人事を好ましく思わない者たちの心はむしろ離れて行く。フランスに攻め込んだイングランド軍は上陸地点に近い城を落とすと、さらに内陸へと進軍。しかしその行く手には、フランス王太子ルイが率いる大軍が待ち構えていた。

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CLIMAX クライマックス

11月1日(金)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開

こうしてパーティ会場は地獄に変貌した!

 オーディションで集められた若いダンサーたちが、海外公演に向けた合宿練習の打ち上げパーティを始める。合宿所の広いダンスフロアがパーティ会場になり、この日は少し羽目をはずしてもおとがめなし。だがダンサーたちの様子が少しずつおかしくなる。誰しも感情と行動に歯止めがきかなくなり、ささくれ立った言葉と暴力が交錯する事態に。誰かが飲み物にドラッグを入れたらしい。でも誰が、何のために? ドラッグで抑制が効かなくなった若者たちは、ヒステリックな声上げながら飲み物に手を出さなかった仲間が怪しいと決めつける。だがそれで問題が解決するわけではない。アルコールとドラッグで酩酊状態になった若者たちが生み出すカオス。その中で女性マネージャーの連れて来た幼い子供が、ドラッグ入りの飲み物に口を付けてしまう。母親は子供を安全な場所に隔離するため配電室に閉じ込めるが、これがさらなる事態の悪化を招くことになってしまうのだ……。

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ジョーカー

10月4日(金)公開 全国ロードショー

道化の仮面がひとりの男を救う

 アーサーは病気の母親の世話をしながら、いつかコメディアンになることを夢見ている。今は街頭宣伝のバイトをしているが、彼自身はこの仕事が嫌いではない。むしろ天職だとすら思っている。人を笑わせてハッピーにするのが、彼の生きがいなのだ。少なくとも、彼は自分でそう信じようとしている。そうとでも思わなければやりきれない現実が、彼の目の前にはあるからだ。街は犯罪に満ちあふれ、人々の心は荒んで、貧富の差は開く一方だ。アーサーのような底辺の人間には、上に這い上がるチャンスすらない。母は認知症を患い、アーサー自身は緊張すると笑いが止まらなくなる病気を抱えている。ある日、同僚から護身用にと銃を押し付けられたアーサーは、うっかりそれを仕事先の病院で落として仕事をクビになる。落ち込んだアーサーは地下鉄の中で笑いの発作を起こして3人組のエリート会社員たちに暴行され、とっさに持っていた銃で相手を射殺してしまうのだった。

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時計じかけのオレンジ

10月4日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

辛辣すぎて観客を凍り付かせるブラックコメディ

 高校生のアレックスは暴力に夢中になっている。夜な夜な仲間たちとミルクバー(麻薬入りのミルクを飲ませる店)に集まり、高揚した気分で街に獲物を探しに行く。彼らは薄汚いホームレスを袋叩きにしてウォーミングアップしたあと、他のギャンググループと乱闘して汗を流し、最後はお高くとまったインテリの家を襲撃して鼻歌まじりに女をレイプし、夫を叩きのめすのだ。仮病を使って学校を休み、レコード店で二人組の女の子をナンパして3Pセックスにふける。アレックスの強権体制に反抗的な仲間を暴力で屈服させたまではよかったが、強盗に入った家で女を殺したのはまずかった。仲間はさっさとアレックスを見捨てて逃げ出し、彼はひとり刑務所に入ることになった……。14年の刑を受けたアレックスは、牧師お気に入りの従順な模範囚を演じることで脱出の機会を狙っている。唯一のチャンスは、心理学の理論を応用した最新の矯正プログラムを受けることだった。

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宮本から君へ

9月27日(金)公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー

個人的なトラウマ漫画の劇映画化

 文具メーカーの若い営業部員・宮本浩は、仕事にも恋にも全身でぶつかる熱血漢。そのせいで仕事でも何度かトラブルを起こし、同じだけ周囲の人たちに助けられてきた。そんな彼が、年上の女性・中野靖子と付き合い、結婚することになる。両親に彼女を紹介するため実家に帰った際、食事中に気分が悪くなって席を立つ靖子。宮本の母は彼女が妊娠していることを察して、このことで息子に小言を言う。「どうしてあなたは何も説明してくれないの。靖子さん妊娠してるのね。みんな聞いたわよ」。「聞いたって、何を、どこまで聞いたんだ!」。いきなり血相を変える宮本。じつは靖子の妊娠には、彼女と宮本以外にほとんど誰も知らない秘密があったのだ……。宮本がまだ靖子ときちんと付き合い始める前、彼女の部屋を始めて訪ねたときのことだ。そこにやって来たのは、靖子の元恋人・祐二。宮本は祐二の前に立ちふさがり、「靖子は俺の女だ。俺が守る!」と啖呵を切った。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

8月30日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

タランティーノが作った夢のハリウッド

 1969年のハリウッド。テレビ西部劇で一世を風靡した俳優のリック・ダルトンは、番組打ち切り後に何本かのB級アクション映画に出演した後、これといっためぼしい役にありつけないまま「往年のスター」扱いされつつあった。時々回ってくる役は、テレビ映画にゲスト出演する悪役ばかり。彼に忠誠を尽くす専属スタントマンのクリフ・ブースも、今では身の回りの世話をする雑用係のようなありさまだ。そんな彼の家の隣に最近引っ越して来たのは、『ローズマリーの赤ちゃん』の大ヒットで時代の寵児となっているロマン・ポランスキー監督と新妻シャロン・テート。成功の上り坂を駆け上がる者と、同じ坂をゆっくり下って行く者の悲しい対比だ。リックにはイタリア製西部劇への出演依頼があるが、ハリウッドで一度は時代の寵児となった男にとって、イタリアへの都落ちはプライドが許さない。同じ頃、ハリウッドでは危険なカルト集団が勢力を伸ばしつつあった。

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ザ・ファブル

6月21日(金)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

豪華で立派なキャスティングが仇になっている

 暴力団のように世間に看板を掲げることなく、裏社会のみでひっそりと仕事を成し遂げる秘密組織。その組織を知る裏社会の人間が、ファブル(寓話)と呼んで恐れる殺し屋がいる。幼い頃より徹底的に殺しの訓練を受け、どんな相手も6秒以内に殺すことができる人間凶器だ。ある大仕事を成し遂げた後、組織のボスはほとぼりを冷ますため、ファブルを関西に潜伏させることにする。その間は誰ひとりとして殺してはならない。ごく普通の一般人として、目立たぬように暮らせという命令だ。「佐藤明」という偽名を与えられた彼は、お目付役で彼の妹を演じる「洋子」と共に大阪の街で暮らし始める。社会に溶け込むためには、ケンカに弱いふりも、度胸のない泣き虫のふりもする。プロフェッショナルとして困難なミッションを次々にこなしてきた彼にとって、今は「普通になりきる」ことが課題なのだ。だがその彼が、否応なしに暴力団内部の抗争に巻き込まれて行くのだ。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ <ディレクターズ・カット>

2月15日(金)公開 午前十時の映画祭9

報われない愛に生きた男の物語

 1933年のニューヨーク。仲間を裏切って殺し屋に追われるヌードルスは、相手を出し抜いて何とか街を抜け出すことに成功する。だが駅のロッカーに隠していた金は、古新聞の束にすり替えられていた。誰かが金を盗んだのだ。追っ手が迫る中で、今から犯人探しをする暇はない。彼は行くあてもないまま、子供時代から過ごした街を後にする。十数年前、ユダヤ人街の不良少年だったヌードルスと仲間たちは、地元ギャングの下働きをして小銭を稼ぐ毎日だった。そんな中で出会ったのが、ブロンクスから越してきたマックスという少年。ヌードルスとマックスは親友になり、仲間たちと共にいっぱしのギャングに成長して行く。敵対するギャングを殺して刑務所に入ったヌードルスが12年後に出所したときも、出迎えたのは親友のマックス。ヌードルスの留守中、仲間たちは酒の密売で大金を稼いでいた。ヌードルスはマックスの相棒として、再び暴力の世界に身を投じていく。

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パルプ・フィクション

2月1日(金)公開 午前十時の映画祭9

1990年代生まれのカルトムービー

 殺し屋のヴィンセントは同じ組織のジュールスと一緒に、ボスに命じられた仕事を片づける。こんな仕事は、文字通り朝飯前だ。それよりヴィンセントが気になるのは、ボスに言いつけられているもうひとつの仕事のことだ。大した内容ではない。ボスの新妻ミアの外出に付き合い、彼女をエスコートすればいいのだ。だがほんの少し前、同じくミアの世話係を命じられた男がヘマをして、ボスから半殺しの目にあわされている。気が短く嫉妬深いボスを少しでも不快にさせれば、自分もただでは済まされない。だがミアは自由気ままに振る舞うじゃじゃ馬で、この夜の出来事はヴィンセントにとって忘れられないものになる……。同じ頃、中年ボクサーのブッチは、ギャングのボスから八百長試合を命じられていた。彼はこの申し出を受けながらボスを裏切り、負けるべき試合に勝ってノミ屋の賭けで大儲けする。ボスがこれを許すはずがない。彼は恋人と二人で逃げ出すのだが……。

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孤狼の血

5月12日(土)公開 全国ロードショー

東映やくざ映画の正統な後継者

 昭和63年。広島県呉原市。県警から赴任してきたばかりの新人刑事・日岡が見たのは、やくざ同士の対立で一触即発状態になっている町と、地元やくざとずぶずぶの関係になっているベテラン刑事・山上の存在だった。山上とコンビを組む日岡は、県警の監督官から山上の不正の証拠探しを命じられていた。だが山上のもとに「兄が行方不明になっている」という女からの相談があったことで、ふたりはやくざ抗争のまっただ中に巻き込まれて行くことになる。消えた男は、地元やくざの尾谷組と対立する広島系やくざ・加古村組のフロント企業で金庫番をしていた男だ。山上はこの男が、何らかの事情で既に加古村組に殺されていると直感する。その確たる証拠が見つかれば、加古村組を一網打尽にできる。山上は拷問・放火・窃盗など、なり振り構わぬ強引な捜査を進めるが、これらはどれも日岡の目に余ることばかりだった。この間にも、やくざ同士の緊張関係は高まっていく。

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