八甲田山

6月14日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

主人公たちの関係はBLである

 明治34年秋。ロシアとの戦争が目前に迫る中、寒冷地での行軍を想定した八甲田山踏破演習が計画される。参加するのは青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊。二隊から同時期に演習に出発し、八甲田山の中で両者がすれ違うという想定だ。弘前連隊側の指揮を任された徳島大尉は、八甲田山を大きく迂回して東南方面から山に入る10泊200キロを超えの計画を立てる。青森連隊の指揮を任された神田大尉も小規模編成の演習を想定したが、大隊本部の山田少佐が弘前隊への対抗意識から大規模編成の演習を提案。山田少佐以下10数名が、大隊からの随行員として演習に参加することになった。翌年1月下旬。一足先に演習を開始した弘前隊は、計画ルートの要所では必ず現地案内人を雇って先に進んでいく。後発の青森隊も事前に案内人の手配をしていたが、同行した山田少佐が独断でこれを追い返し、地図とコンパスだけを頼りに雪の八甲田山に入って行くのだった。

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誰もがそれを知っている

6月1日(土)公開 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

誘拐事件が暴き出していく家族の秘密

 妹の結婚式に参加するため、子供を連れてスペインの実家に帰省したラウラ。家族や親戚、古い友人たちとの再会を喜び合い、結婚式もその後のパーティーも人々の笑顔に包まれる。だがそのパーティーのさなか、ラウラの娘イレーネが行方不明になる。彼女が消えたベッドには、少し前に起きた誘拐殺人事件の記事の切り抜きが置かれ、やがてラウラの携帯電話に「身代金を支払えば娘は解放する。警察に通報したら娘の命はない」という誘拐犯からのメッセージが届く。警察に通報すべきか。だがしばらく前に起きた同様の事件では、警察に通報したことから人質が殺されている。ならば犯人に金を払うのか。ラウラたちは結論が出ないまま右往左往し続ける。奇妙なことに、犯人は脅迫メッセージをラウラだけでなく、彼女の幼なじみで元恋人パコの妻ベアにも送りつけているのだ。やがてこの誘拐事件が、家族の中に隠されていたある秘密を白日の下にさらけ出すことになる。

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長いお別れ

5月31日(金)公開 全国ロードショー

山崎努の熱演に目が釘付け

 父・昇平の70歳の誕生日を祝うため、久しぶりに実家に集まった家族4人。母の曜子は専業主婦で、長女・麻里は結婚して今はアメリカ暮らし。次女の芙美は惣菜店で働きながら、いつか自分のカフェを開くために準備をしている。だが姉妹はこの日、父の認知症が始まったことを母から知らされて驚く。長年教員を勤め、最後は校長をしていた厳格な父。本を読むのが好きで、今も読書を欠かさない父がボケているだなんて。にわかには信じられない話だったが、芙美はその日、父の言動が明らかにおかしいことに気がついた。それがはじまり。父の認知症は少しずつ、しかし確実に進行していった。はじめのうちは、調子の良い時と悪い時がある。だが少しずつ調子の悪い時が多くなり、自分の周囲のあらゆる物事を忘れていく。家族のことを忘れ、自分のいる場所がわからなくなり、やがて言葉も通じにくくなっていく。しかしそんな父を、家族は温かい目で見守り続けるのだ。

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ゴッドファーザー

5月17日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

時代を経ても輝く「家族」の物語

 1945年。ニューヨーク郊外の大邸宅で、盛大な結婚パーティーが開かれている。イタリア系マフィアのゴッドファーザー、ヴィトー・コルレオーネの一人娘コニーが結婚したのだ。こうした晴れの場にも、裏社会でつながりがある強面の面々が集まり、合法・非合法を問わず、さまざまな「相談事」を持ち込む人々がいる。姉の結婚式のため、恋人と一緒に久しぶりに家に帰ってきたビィトーの三男マイケルは、そんな家族のビジネスに少し距離を置いている。大学を出て軍隊に入り、戦場の英雄となった彼は、家族の荒っぽくて血なまぐさい裏家業が嫌いなのだ。同じ年、麻薬ディーラーのソロッツォから取引を持ちかけられたヴィトーはこれを断り、その直後に殺し屋の襲撃を受ける。ソロッツォは話し合いにおとなしそうなマイケルを呼び出すが、家族を守るためにマイケルは会談の場でソロッツォを射殺。こうしてマイケルもまた、マフィア抗争の渦中に巻き込まれて行く。

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希望の灯り

4月5日(金)公開 Bunkamuraル・シネマにて公開

経済成長から取り残された人々

 大型の業務スーパーに飲料担当として雇われた、無口な青年クリスティアン。「それは隠しておけよ。客商売だからな」と職場の責任者に言われて、シャツの襟と作業着の袖口を引っ張る彼の体にはタトゥーがある。荒れた生活をしてきたのだろう。だが誰も、そのことについて彼から話を聞こうとする者はいない。右も左もわからないクリスティアンだが、同じ持ち場担当のブルーノに付いて、少しずつ仕事を憶えていく。例えば台車の引き方。荷を縛る結束バンドの再利用法。賞味期限の切れかけた食品をおやつにすること。そしてフォークリフトの運転だ。職場にこれといった事件はない。だが仕事を終えて帰る冷たく冷え切った部屋と違って、職場には仲間たちがいる。クリスティアンはそこで、マリオンという美しい女性と親しくなった。彼女は自分が担当する飲料から通路を一本隔てた菓子類の担当者。クリスティアンは毎日顔を合わせる彼女に、少しずつ心惹かれていく。

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ROMA/ローマ

3月9日(土)公開 全国順次公開

映画史のエポックとなる話題作

 1970年のメキシコシティ。医者の家で住み込み家政婦をしているクレオの仕事は、家事や4人の子供たちの世話をすることだ。雇い主であるアントニオ医師は研究者として世界中を飛び回り、家を留守にすることも多い。妻ソフィアとの間では口論が増えてきた。だがそんな妻を残して、アントニオは再び海外出張へ。そしてそのまま、帰ってこなくなってしまった。出張という話はでまかせで、秘かに作った愛人とリゾート地へのバカンスに出かけてしまったのだ。一方クレオは恋人フェルミンの子供を妊娠するが、妊娠を告げた途端に恋人は彼女の前から姿を消して待った。妊娠したことがわかれば、勤め先をクビになるかもしれない。意を決してソフィアに事実を告げると、彼女は親身になって家族同然に扱ってくれる。ソフィアはこの家で赤ん坊を生むことになった。同居しているソフィアの母や子供たちも、日に日にお腹が大きくなる彼女をごく自然に受け入れるが……。

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ある少年の告白

4月19日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

実話をもとにした家族のドラマ

 アーカンソーの小さな町で牧師の息子として育ったジャレッドは、大学進学後に自分が同性愛者であることを強く自覚するようになった。だが同性愛は、信仰と両立しない大きな罪だ。思い悩んでいたジャレットだったが、ある事件をきっかけにして、家族に自分の秘密を知られてしまう。父親は教会の長老たちと相談し、息子をキリスト教系の同性愛治療施設に入所させることに決めた。その施設には、ジャレッドと同じような境遇の少年少女たちが多数入所している。施設の指導者に従って、健全な男らしい男になるための努力を始めたジャレッド。しかし間もなく彼は、この施設で行われている指導に疑問を持つようになる。繰り返し施設に入所しているという少年の異様な態度や、「施設を出たければ治ったふりをしろ」と警告する少年。一緒に入所したひとりの少年が折檻じみた「治療」を受け、その後自殺したこともショックだった。ジャレッドは施設を出ようと決意する。

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