かそけきサンカヨウ

10月15日(金)公開予定 テアトル新宿ほか全国ロードショー

言葉にならない思いを丁寧に描いた青春ドラマ

■あらすじ

 高校生の国木田陽は、もうずいぶん長く母親のいない父娘二人暮らしをしている。ある日、父の直から「恋人ができた」と打ち明けられる。それから間もなく父は再婚し、新しい母となった美子と幼い妹のひなたが一緒に暮らすようになった。

 陽と同じ美術部に所属している清原陸は、心臓の病気があって中学まで打ち込んでいたバスケを卒業と同時に辞めた。父は仕事で世界中を飛び回り、家では母と父方の祖母の三人で暮らしている。ある日、陸は陽に誘われてあるギャラリーで開催されている個展を訪れるのだが……。

 それは陽の母・佐千代の個展だった。画家として活躍している佐千代は、高校生になった陽の顔を見ても我が子だとは気付かない。そのことにショックを受けて、陽はギャラリーを飛び出してしまう。母はまだ幼い自分を置き去りにして家を出てしまった。自分は母に愛されていなかったのではないだろうか? 陽はそんな思いに苦しめられていた。

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100日間生きたワニ

7月9日(金)公開 全国ロードショー

ワニの死からはじまる喪失の痛みの物語

■あらすじ

 満開の桜の下。花見の席に揃った、ネズミ、センパイ、モグラ、イヌは、友人のワニがなかなか来ないことにやきもきしていた。「ちょっと迎えに行ってくる」とバイクで走り出すネズミは、途中で見事な桜並木を見つけて写真を仲間たちに送る。だがその写真を見たワニは……。

 花見の日の100日前。ワニは事故で入院したネズミを見舞っていた。くだらないギャグで笑い合う二人。「命に別状がなくて良かった」というワニに、「そんな簡単に死なねぇよ」とネズミは笑う。退院したら一緒にラーメンを食べに行く。ワニの日常はごく平凡なもの。バイト先のセンパイに恋をして、ちょっとした誤解からバイトを辞めて、思い切ってセンパイに告白して……。そして季節は冬から春になり、ワニは友人たちと花見に行く計画を立てたのだ。

 花見の日から100日後。長い雨が続く季節。以前ワニとセンパイが勤めていたカフェに、新しいバイトのカエルがやって来た。

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Arc アーク

6月25日(金)公開 全国ロードショー

永遠の命と引き替えに人は何を失うのか?

■あらすじ

 19歳のリナはダンサーの仕事をしていた際、ボディワークス社の社長エマにスカウトされる。会社はプラスティネーションという技術を使って、人や動物の遺体を生きていた頃の姿のまま保つことを売りにしている。それから10数年後、リナは会社でトップクラスのプラスティネーション技術者に成長していた。

 エマの弟アマネは、姉とはまったく別の方法で「永遠の命」を手にする研究を進めていた。老化物質の生成を抑制する物質を体内に注入することで、人間は老いない身体を手に入れることができる。アマネはリナに最初の被施術者になることを求め、リナは人類で初めて不老不死を手に入れた。アマネも同じく不老化処置をし、二人は結婚した。

 それから20年ほどたった頃、アマネの身体に異変が起きた。彼の肉体は遺伝子情報の不具合から不老化処置が完全には行えず、急速な老化の末に亡くなってしまう。ひとり残されたリナは、ある決断をする……。

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ヒノマルソウル ~舞台裏の英雄たち~

6月18日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

予想を裏切る実録傑作ヒューマンドラマ

■あらすじ

 1994年のリレハンメル冬季オリンピック。日本のスキージャンプ団体チームは、2位に大差を付けて1位をキープ。金メダルはほぼ確実だと思われたが、原田雅彦が最後のジャンプで失敗。日本は銀メダルに終わった。代表のひとり西方仁也は、次期長野オリンピックでの雪辱を誓う。

 「今度こそ金メダル」と意気込む西方だったが、無理がたたってオリンピックの前年に腰を痛めてしまった。治療とリハビリに励んで大会直前に競技復帰を果たしたが、結果は無念の代表落ち。現役を引退することを考えていた彼に、代表コーチの神崎が「大会のテストジャンパーをやってくれ」と声をかける。

 オリンピックのテストジャンパーは、競技の開始前にジャンプ台の雪をならし、安全を確認する裏方の仕事だ。「元代表の俺がやることじゃない」と渋る西方だったが、現場には「どんな形であれオリンピックに関わりたい」と願う若いジャンプ選手たちの姿があった……。

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空白

9月23日(木・祝)公開予定 全国公開

少女の死が大人たちの弱さをあぶり出していく

■あらすじ

 地方都市の小さなスーパーが事件の発端だった。

 店内を巡回していた店長の青柳は、中学生の少女が化粧品の棚の前で不自然な行動をしている様子を目にする。間違いない。万引きだ。青柳は彼女の手を引いて事務室に連れて行くが、彼女は事務室から逃げ出した。青柳は慌てて後を追うが、彼の手を振り切って車道に飛び出した少女は、通りかかった車にはねられ即死する。

 少女の名は添田花音。漁師をしている父の充は妻と別れた後、男手ひとつで娘を育ててきた。なぜ娘は死ななければならなかったのか。スーパー側の対応に問題はなかったのか。娘は化粧品を万引きしたと言うが、自分は娘が化粧をしている姿など見たことがない。もし万引きしたのだとしたら、それは自分のためではなかったはずだ。学校でイジメがあったのではないか。

 娘を失った充は、その怒りと悲しみを関係する人々に容赦なくぶつける。青柳はその攻撃をまともに食らってしまう。

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親愛なる君へ

7月23日(金)公開予定 シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開

愛することが生み出した悲劇

■あらすじ

 ジエンイーは幼い少年ヨウユーと、その祖母シウユーと一緒に暮らしていた。ジエンイーと二人の間に血の繋がりはない。彼らは数年前に亡くなった、ジエンイーの同性パートナーの家族なのだ。

 大陸に渡って事業を興したパートナーの弟リーガンが正月に久しぶりの帰国をした日、ジエンイーは家族三人の食卓から少し距離を置くことにした。自分とパートナーの関係は、幼いヨウユーには秘密になっているからだ。彼はただの同居人に過ぎない。

 それから半年後。シウユーが亡くなった。「なぜ死んだんだ。半年前はあんなに元気だったのに!」と問い詰めるリーガンに、ジエンイーは何の反論もできない。リーガンは事情を調べはじめて愕然とする。自分の知らぬ間に、母名義の不動産は孫のシウユー名義になってる。そしてシウユーは、ジエンイーの養子になっていたのだ。

 母は財産目当てに殺されたのではないか? リーガンはシウユーを警察に告発する。

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恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~

8月20日(金)公開予定 シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開

潔癖症カップルのパーフェクトな恋のはじまりと終わり

■あらすじ

 外出するとき、ボーチンはいつも雨合羽と手袋・マスクで完全防備する。彼は病的な潔癖症で、家の外のバイキンに触れるのが嫌なのだ。これがバカバカしいという自覚はあるが、医者からもらった薬を飲んでも行動を変えることはできない。

 生活の大半は家の中の掃除に費やされる。買い物はまとめて月に一度、完全防備で近所のスーパーに出かける。そこで彼は、運命の女性に出会った。自分と同じように雨合羽で完全防備のジンだ。彼女もやはり病的な潔癖症だという。

 ようやく、自分の悩みを分かち合える相手に出会えた喜び。二人で一緒にいれば、周囲から奇異の目で見られても気にならない。今まではコンプレックスだった悩みを、一緒に笑い飛ばせる楽しさ。二人は急速に惹かれ合い、やがて一緒に暮らすようになる。一緒にいれば、部屋の掃除もはかどる。二人は理想的なカップルだった。

 だがある日、突然ボーチンの潔癖症は消えてしまった……。

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くれなずめ

5月12日(水)公開 テアトル新宿ほか全国ロードショー

高校時代の仲間たちが隠している秘密とは?

■あらすじ

 友人の結婚式に参加するため、数年ぶりに勢揃いした高校時代の仲間たち6人。カラオケボックスで余興の練習をし、しこたま飲み、さんざんに酔っ払い、これで当日は大盛り上がり間違いなしと思ったのだが……。

 この世で、酔っ払いの判断ほどあてにならないものはない。高校時代には赤ふんダンスが大ウケだったのに、アラサー男が同じことをやるとダメだったらしい。当日の余興は、招待客たちのドン引きに終わった。

 そんな苦い披露宴の会場を後に、二次会までの時間をどう潰そうかと相談する男たち。結婚式場周囲の喫茶店は似たような客で満席。他の飲食店は夕方にならないと開かず、6人は行き場もなく路上に取り残されてしまう。

 行くあてもないまま、結婚式の引き出物を振り回しながら、思い出話に花を咲かせる男たち。だがその中で、彼らが全員が抱え込みながら、決して口に出さない「ある出来事」が、少しずつ明らかにされていくのだった。

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ファーザー

5月14日(金)公開 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

主人公の目の前で少しずつ世界が壊れていく

■あらすじ
 80歳を過ぎてもアパートで一人暮らしを続ける父アンソニーのもとに、娘のアンがやってくる。通いで身の回りの世話をしていた介護士が、アンソニーの暴言に耐えられないと娘にご注進したのだ。「また代わりの人を探さなきゃならない」と娘は嘆くが、自分は身の回りのことぐらい一人でできる。いつだってデキの悪い介護士を押し付けてくるのは、娘の方ではないか。介護士が時計を盗もうとしていた話だって、娘は本気では取り合ってくれない。そんな娘が突然「私もうじきパリに行くのよ」と言いだす。「なぜ?」。数年前に前夫と離婚したアンは、新しい恋人と出会って、今は自分の幸せをつかみ取ろうとしているのだ。アンの去ったアパートに、人の気配を感じたのはその直後だった。見ると居間で見知らぬ男が、悠然と新聞を読んでいる。「君は誰だね?」「アンの夫ですよ」。そんな馬鹿な。間もなくアンが帰宅したが、その顔を見てアンソニーはギョッとする……。

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王の願い −ハングルの始まり−

6月25日(金)公開予定 シネマート新宿、シネマート心斎橋

まったく新しい文字をゼロから作った男

 1442年夏。李氏朝鮮第4代国王・世宗は、雨乞い儀式にうんざりしていた。神々に捧げる祝詞の文言が漢文なのだ。漢文の祝詞が朝鮮の神々の心に響くだろうか。だが腹立たしいことに、朝鮮には自分たちの言葉を表記する文字がない。王族や役人などは漢文を読み書きできるが、自分たちが日常的に使っている言葉は書き記す術がないのだ。世宗は朝鮮独自の文字を作る必要を感じていた。そんなとき、ある事件をきっかけにして世宗は仏教僧のシンミ和尚と出会う。当時の朝鮮は仏教を弾圧していたが、寺院には漢文資料では手に入れられない梵字(サンスクリット語)の資料がある。ひょっとすると、梵字は朝鮮語表記の参考になるのではないか? 世宗はシンミ和尚に協力を求め、新しい朝鮮語表記用文字の創作に着手する。だがこれは、宮廷の役職を独占支配する儒者たちの反発を招いた。儒者と仏僧は犬猿の仲。だが両者の協力なしに、文字の普及浸透はあり得ないのだ。

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