キネマの神様

これは山田洋次監督版の『影武者』だ

映画『キネマの神様』のチラシ画像

■あらすじ

 物心ついて以来、円山歩は父の郷直(ゴウ)にずっと悩まされている。酒好きで、ギャンブル中毒。周囲に借金してはギャンブルに注ぎ込み、不義理を重ねている。娘の歩も協力して一度全部清算したはずだが、再度得体の知れない業者から借金をしているようだ。

 そんな郷直は、かつて映画撮影所で助監督をしていたことがある。いつか監督になり、誰も観たことがないような映画を撮る日を夢見て、ベテラン監督や技師たちの下で修行の日々。そんな彼にとって気を許せる仲間と言えるのは、撮影所の映写技師・寺林新太郎(テラシン)と、撮影所前の食堂「ふな喜」の看板娘・淑子だった。

 ゴウは親友のテラシンが淑子に思いを寄せていることを知り、彼のために一肌脱ごうと決心する。だが本当のことを言えば、ゴウも淑子に好意を持っていたのだ。そして淑子も……。

 再び現代。ゴウのギャンブルと借金に業を煮やした歩と淑子は、ついに強硬手段に出た。

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CALAMITY カラミティ

9月23日(木・祝)公開予定 新宿バルト9ほか順次全国公開

少女は「女らしさ」の枠組みを軽々と飛び越える

■あらすじ

 1860年代のアメリカ。入植地に向かう幌馬車隊の中に、12歳のマーサ・ジェーンを含むカナリー家の馬車もあった。長い旅の中で母は病死。父と子供3人は、他の家族の支援を受けながら旅を続ける。だがそんな中で父が大ケガをして動けなくなってしまった。

 周囲の助けを借りて旅を続けるカナリー家だったが、女だからと重要な仕事をさせず、自分をバカにする人たちにマーサ・ジェーンは我慢できない。彼女は自分で投げ縄や乗馬、馬車の扱いを覚え、動きにくいスカートからズボンに履き替える。だがこれは、当時の社会の中ではかなり型破りで破廉恥な行動。マーサ・ジェーンは隊の中で、厄介者扱いされるようになる。

 そんな時、彼女は軍の斥候をしているサムソン少尉に出会う。彼は幌馬車隊が予定のルートを大きく離れていることを指摘し、しばらく隊と行動を共にすることになった。だがこのことが、マーサ・ジェーンを窮地に陥れることに……。

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青葉家のテーブル 劇場版

6月18日(金)公開予定 TOHOシネマズ日比谷ほか全国劇場公開

ネット配信された短編ドラマシリーズの映画版

■あらすじ

 高校2年生の国枝優子は、美大予備校の夏季講習に参加するため一人で上京してくる。東京での滞在先は、母の古くからの友人である青葉春子の家だ。

 青葉家には春子の息子で中学3年生のリクの他に、春子の飲み友だちめいこと、その恋人のソラオが同居。何だか不思議な関係だが、優子はこの家にすぐ馴染んでいく。予備校では同い年のあかねや瀬尾ともすぐ仲良くなった。だが瀬尾に誘われてインターン先だというデザイン事務所を訪ねると、優子のことより母・国枝知世の話題で盛り上がってしまうことに複雑な気分を味わう。

 母の知世は長野で小さな街中華を経営しているのだが、おしゃれな内装とユニークなメニュー、そして本人の気さくな人柄から日本中の話題になっている。何冊もの本を出し、テレビ出演でも取り上げられるなど、今や時の人なのだ。

 そんな彼女の姿を、春子も複雑な気持ちで眺めていた。春子と知世の過去に何があったのだろうか?

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ミナリ

3月19日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

韓国人一家のアメリカン・ドリームの行方

 農場経営のためアーカンソー州の田舎町に引っ越して来た、韓国人移民のジェイコブ・イと家族たち。トレーラーハウスでの暮らしに子供たちは大はしゃぎだが、妻のモニカは最初からこの計画に乗り気ではない。ヒヨコの雌雄鑑定をしながら必死に蓄えた金を、ジェイコブは投資と称して農場に注ぎ込んでいく。農作物の出荷が始まるまで、一家の現金収入は近くの養鶏場で行うヒヨコの鑑定だけだ。鑑定士としてのジェイコブの能力は高く、それだけでも一家が生活していくのに不自由はない。だが彼にはそれより大きな夢があるのだ。夫が農場の仕事をする間は、モニカの仕事が一家を支えている。子供たちの世話のため、彼女は母を韓国から呼び寄せて一緒に生活することにした。だがジェイコブがいくら力を入れても、農場の仕事はなかなか軌道に乗らない。自力で掘った井戸は収穫前に水が涸れ、コストのかかる水道水を畑にまくことになる。一家の財政状態は綱渡りだった。

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グランパ・ウォーズ/おじいちゃんと僕の宣戦布告

4月23日(金)公開予定 TOHOシネマズシャンテほか全国公開

子供部屋を巡る祖父と孫の大戦争

 長年連れ添っていた妻を亡くしたエドが、娘夫婦の家に同居することになった。娘のサリーにすれば、父の一人暮らしは何かと心配だし、かといって老人ホームに行くほど弱っているわけでもない。ならば自分たちと一緒に暮らすのが一番だ。幸いなことに夫も家族もこれに賛成してくれたが、ひとり不満げな仏頂面をしているのが12歳の息子ピーターだった。彼は自分の部屋をおじいちゃんに明け渡し、自分が屋根裏部屋に追いやられることに立腹しているのだ。「領地を取られたら、実力で取り返すまでだ!」。ピーターは祖父に宣戦を布告する。最初はてんで相手にしていなかったエドだが、孫の攻撃がエスカレートする様子に耐えかねて、ついに応戦することを決意する。「そうと決まったら、まず交戦規定を決めよう」「それなに?」「戦争のルールさ」。二人の戦争は、こんなやり取りと共にはじまった。だがピーターの当初の予想に反し、エドはなかなかの古強者だった。

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春江水暖 〜しゅんこうすいだん

2月11日(木・祝)公開 Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

映画とてし記録された現代の富春山居図

中国杭州市の中でも、古くから風光明媚な土地として知られる富陽。経済発展の激しい杭州市中心部のベッドタウンとして、猛スピードで再開発が進む地域でもある。その富陽の一角で、顧(グー)家の人々が祖母の誕生日を祝う宴会を開いていた。場所は長男の経営するレストラン。そこに漁師をしている次男の家族、ダウン症の息子を男手ひとつで育てている三男、まだ独身の四男が顔を揃える。祖母が子供や孫たちに祝儀を配りはじめたとき、彼女が突然倒れる。軽い脳卒中で命に別状はない。だがこれで、以前から症状の出ていた認知症が一段と進んでしまうだろう。兄弟それぞれの生活もあり、退院する祖母を引き取ったのは長男の家だった。この家では、現在一人娘の縁談話が進んでいる。相手は金持ちだから、これがまとまれば貧しい長男一家の借金問題も解決だ。だが娘には交際中の恋人がいる。父は娘の恋人に会って好印象を持つが、母は徹底的に大反対するのだった。

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ファイティング・ファミリー

11月29日(金)公開 全国ロードショー

実話ベースの家族の愛のドラマ

 ナイト一家はイギリス東部のノリッジを拠点に、WAWという小さなプロレス団体を主催している。父リッキーと母ジュリアもプロレスラー。長男のロイと次男のザックも子供時代からリングに立っていたが、娘のサラヤも13歳でプロレスデビューした。家族の夢は、子供たちが世界一のプロレス団体WWEのレスラーとして、世界の檜舞台に立つことだ。だが長男のロイはトライアウトで選に漏れて脱落。一家の夢を背負って、新たなトライアウトにザックとサラヤが挑む。ザックは今やWAWを支える花形レスラーに育っている。だが、WWEに選ばれたのはサラヤだった。自分は兄の夢を奪ってしまったのではないかと悩むサラヤ。だがアメリカの訓練施設で彼女を待っていたのは、子供時代から鍛えてきた彼女ですら音を上げそうになる苛酷なトレーニングだった。心身共に打ちひしがれたサラヤは、休暇の一時帰省中、兄のザックにWWEを辞めたいと打ち明けたのだが……。

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ライフ・イットセルフ 未来に続く物語

11月22日(金)公開 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

タネも仕掛けもたっぷりのロマンス映画

 ウィルとアビーは深く愛し合っていた。少なくとも、ウィルはそのつもりだった。大学で知り合ったふたりは卒業後に結婚し、やがて子供を授かる。子供の出産を控えた幸せな日々。だがその幸せを無視するように、突然アビーはウィルのもとを去った。この事実を受け入れられないウィルは自殺を図り、精神病院に一時的に入院。退院後は精神科医のカウンセリングに通いながら、傷ついた心を癒やそうとしている。今でもウィルは「なぜ彼女は去ったのか」と自分自身に問い続けている。あれほど愛していたのに。いや、ひょっとすると愛していたのは自分だけで、彼女はそうではなかったのだろうか。自分の気持ちも、愛ではなくただの束縛だったのかもしれない。そんな堂々巡りを続けるウィルに、精神科医は語りかける。「アビーは去ったのではない。あなたの目の前で、交通事故で死んだのだ」と。ウィルが受け入れられないのは、アビーが死んでしまったという事実だった。

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存在のない子供たち

7月20日(土)公開 シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

それでも子供たちは生きている

 ゼインはシリア人難民の少年だ。ベイルートの裏路地で家族と暮らしているが、身分証を持たない一家は誰も正規の職に就けず、公的な援助を受けることも出来ない。ゼインは近くの雑貨店を手伝って家計を助け、学校にも通えない。一家はアパートの家賃を滞納しているが、大家でもある雑貨店主がゼインたちを部屋から追い出さないのにはわけがある。雑貨店主はゼインの妹サハルと結婚する気でいるのだ。妹が「おとな」になれば結婚させられてしまう。だがサハルが初潮を迎えて間もなく、彼女は結婚のため大家に無理矢理連れ去られてしまった。ゼインがどれだけ反対しても無駄だった。ゼインは両親を恨み、家を飛び出していく。そんな彼を助けたのは、エチオピアからの不法移民ラヒルだった。家政婦として働いていた彼女は、妊娠したことで雇用主に解雇されて以来、偽造した身分証で働く不法就労者になってしまったのだ。ゼインは彼女の家で暮らし始めるが……。

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若おかみは小学生!

9月21日(金)公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー

子供にとっての「死」を取り上げた意欲的な作品

 「おっこ」こと関織子は、小学6年生の元気な女の子。交通事故で両親を亡くし、母の実家である伊豆の温泉旅館に引き取られた。祖母の峰子が切り盛りする、春の屋という小さな温泉宿だ。そこでおっこを出迎えたのは、クモ、トカゲ、ヤモリ、極めつきは自分と同じ年頃の幽霊・ウリ坊だった。どうやら事故のショックで、おっこには霊感のようなものが身に付いたらしい。「峰子ちゃんを助けたって!」と言うウリ坊の後押しもあり、旅館の仕事を手伝うようになるおっこ。こうして花の湯温泉郷に、小学生の若おかみが誕生した。だが旅館にやって来るのは、くせのある客ばかり。おっこは精一杯のもてなしで、訪問客たちの心を癒やしていく。美少女の幽霊・美陽や、土鈴の魔物・鈴鬼など奇妙な仲間も加わり、学校での友人も増えていく。だがいつも明るく元気なおっこも、心の奥底に隠している大きな傷があった。ある宿泊客の訪問で、それが明らかにされるのだが……。

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