モアナ 南海の歓喜

9月15日(土)公開 岩波ホール

ドキュメンタリー映画の父が再現した南海の暮らし

 1920年代初頭、世界初のドキュメンタリー映画『ナヌーク(極北の怪異)』(1922)で好評を博したロバート・フラハティ監督は、家族とともにサモア諸島サバイイ島に移り住んだ。北極圏カナダでエスキモーの暮らしを撮影したのに続き、南太平洋の孤島でポリネシア人たちの暮らしを撮影しようとしたのだ。一家は族長の信頼を得て、さまざまな珍しい風習を撮影することに成功した。主人公は島の青年モアナだ。美しい島の風景の中で繰り広げられる、島民の伝統的な暮らし。島の周囲にある豊富な海の幸、ヤシやタロイモを中心にした食生活。植物の樹皮を薄く剥いで作る布と、そこに施される繊細な装飾。島に伝わる勇壮な祭りと、青年が大人の男になるため乗り越えなければならない通過儀礼。それが終われば、モアナと恋人との結婚式がはじまる。映画が完成したのは1926年。それから半世紀たち、フラハティの娘が映画に素晴らしい音声トラックを付けた。

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酒中日記

3月21日(土)公開予定 テアトル新宿

坪内祐三のエッセイを本人出演で映画化

酒中日記

 評論家でエッセイストの坪内祐三は、夜な夜なあちこちで飲み歩く。某月某日、新宿ゴールデン街の酒場の2階で読書会。今は小林秀雄の「本居宣長」を読んでいる。読書会のあとはそのまま飲み会になる。これも会のお楽しみだ。夜は新宿の文壇バーで、編集者の都築響一と飲む。外国人が見てみたい日本の風景や、レーザーカラオケの中にある古い日本の風景の話など話題は尽きない。某月某日、昼間は雑司ヶ谷で永井荷風の墓所に立ち寄り、さらに古書店で本を物色。夜は銀座の文壇バーで、亀和田武と杉作J太郎に会い、場に似つかわしくない怪しい安酒を飲みながらバカ話。その後はひとり新宿に移動し、中原昌也と自分たちの友達の少なさについてぼやき合い、さらに店の片隅で飲んでいた重松清のボックス席におぼつかない足取りでなだれ込む。某月某日、新宿のバーのカウンターで南伸坊や康芳夫と飲む。その後は南伸坊と連れ立って場所を変え、中野翠と三人で飲む。

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シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

1月24日(土)公開予定 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー

現代のヴァンパイアは生活をエンジョイしている

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

 ニュージーランドの首都ウェリントンで、とある一軒家をシェアして暮らす4人の男たち。年齢も出身地も異なる彼らには、あまり声を大にしては言えないひとつの共通点があった。それは彼らがヴァンパイアであることだ。本作はその存在をキャッチした取材班が、特別な許可と安全確保にもとづいて製作したドキュメンタリー映画である。太陽光線に弱い彼らは日没と同時にそれぞれの寝床から起き上がり、思い思いのファッションをバッチリ決めると、食事と娯楽を求めて夜の街へと繰り出していく。長い人生経験に裏打ちされたウィットに富んだトークと、少し危険な香りに引き付けられて、今日もまた餌食になる人間たちがヴァンパイアのシェアハウスへと迎え入れられる。だがある日、最年長ヴァンパイアのピーターが、餌食となるはずの人間を新しいヴァンパイアにしてしまった。新米ヴァンパイアの大学生ニックは、自分に備わった超能力に大はしゃぎするのだが……。

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