グレート・インディアン・キッチン

1月21日(金)公開 新宿ピカデリーほか全国順次公開

男たちは女性蔑視や女性差別に気付かない

グレート・インディアン・キッチン

■あらすじ

 結婚したばかりの若いカップル。夫は女学校の社会科教師で、生徒に対して家庭の大切さを語る好青年。妻は高等教育を受けて外国育ちのダンス教師。インド式の伝統的な結婚式が盛大に行われ、二人には幸せな未来が約束されていた。

 妻は夫の家族と同居することになる。家族は新妻を優しい笑顔で迎え、妻も家族の期待に応えようとする。妻の仕事の第一は家事だ。義母を手伝いながら、少しずつ家の仕事を憶えていく妻。戸惑うことも多いが、嫁したからには婚家の流儀を覚えるのも妻のつとめだ。

 そんな中で、義妹の出産を手伝うため、義母がしばらく家を空けることになった。家に残った妻に、一切の家事が重くのしかかる。男たちは家事にノータッチ。義父や夫の家事に対する細かなダメ出しがあるが、それに応えることが妻のつとめ。日々の家事仕事で疲れ切った妻の顔からは、嫁いできたばかりの頃に見せていた明るい笑顔が少しずつ消えて行くのだった。

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春江水暖 〜しゅんこうすいだん

2月11日(木・祝)公開 Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

映画とてし記録された現代の富春山居図

中国杭州市の中でも、古くから風光明媚な土地として知られる富陽。経済発展の激しい杭州市中心部のベッドタウンとして、猛スピードで再開発が進む地域でもある。その富陽の一角で、顧(グー)家の人々が祖母の誕生日を祝う宴会を開いていた。場所は長男の経営するレストラン。そこに漁師をしている次男の家族、ダウン症の息子を男手ひとつで育てている三男、まだ独身の四男が顔を揃える。祖母が子供や孫たちに祝儀を配りはじめたとき、彼女が突然倒れる。軽い脳卒中で命に別状はない。だがこれで、以前から症状の出ていた認知症が一段と進んでしまうだろう。兄弟それぞれの生活もあり、退院する祖母を引き取ったのは長男の家だった。この家では、現在一人娘の縁談話が進んでいる。相手は金持ちだから、これがまとまれば貧しい長男一家の借金問題も解決だ。だが娘には交際中の恋人がいる。父は娘の恋人に会って好印象を持つが、母は徹底的に大反対するのだった。

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に

12月20日(金)公開 全国ロードショー

40分の追加で前作の印象は一変した

 昭和18年の暮れ。突然申し込まれた縁談に応じる形で、翌年すずは広島の実家から呉の北條家に嫁いだ。18歳だった。夫の周作は優しく、嫁ぎ先の両親も良くしてくれる。夫を亡くして実家に出戻った周作の姉・径子が、時々すずに嫌味や小言を言うこともあるが、おっとり型のすずはそれを軽くいなしてしまう。戦争は既に始まっている。物資は乏しくなり、生活は苦しくなっていく。そんな中、お使いを頼まれた呉の街で、すずは遊郭で働くリンという女性に出会う。住む世界もまったく違う二人だったが、やがてすずは、リンと夫周作の間にあったある関係に気づいてしまうのだった。翌年、実家の兄が戦死。遠い世界の戦争は、少しずつすずたちの身近なところにもやってくる。各地から伝わってくる空襲の報道。やがてすずたちの頭上も敵機が飛び、高射砲陣地の砲撃音が響き、空襲や機銃掃射に追われる日々がやって来る。舅は空襲で行方不明になり、周作も招集された。

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ファイティング・ファミリー

11月29日(金)公開 全国ロードショー

実話ベースの家族の愛のドラマ

 ナイト一家はイギリス東部のノリッジを拠点に、WAWという小さなプロレス団体を主催している。父リッキーと母ジュリアもプロレスラー。長男のロイと次男のザックも子供時代からリングに立っていたが、娘のサラヤも13歳でプロレスデビューした。家族の夢は、子供たちが世界一のプロレス団体WWEのレスラーとして、世界の檜舞台に立つことだ。だが長男のロイはトライアウトで選に漏れて脱落。一家の夢を背負って、新たなトライアウトにザックとサラヤが挑む。ザックは今やWAWを支える花形レスラーに育っている。だが、WWEに選ばれたのはサラヤだった。自分は兄の夢を奪ってしまったのではないかと悩むサラヤ。だがアメリカの訓練施設で彼女を待っていたのは、子供時代から鍛えてきた彼女ですら音を上げそうになる苛酷なトレーニングだった。心身共に打ちひしがれたサラヤは、休暇の一時帰省中、兄のザックにWWEを辞めたいと打ち明けたのだが……。

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Girl ガール

7月5日(金)公開 Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー

その気持ちはすごくわかるけど……

 ベルギーの有名なバレエ学校に転校してきた15歳の少女ララ。家族は彼女のために、わざわざ新しい町に引っ越して来た。バレエに対する人並み外れた情熱と才能の片鱗を見せるララだったが、それまで通っていた学校と新しい学校では、生徒に求められる技術のレベルが違う。だがこれに食らいついていかなければ、学校に残ることは出来ないのだ。そんなララには、他の生徒とは違う問題があった。それは彼女がもともとは男の子としてこの世に生まれてきたこと。思春期を迎えて、ララの体は「こども」から「おとなのオトコ」の体へと変化していく。医師の診断でホルモン療法を受け、いずれは性適合手術を受けることになっているが、それを待つ間にもどんどん自分の体が変化しているのがわかるのだ。家族や親戚はもちろん、学校の教師や他の生徒たちも、ララのことを理解してくれている。そのことで差別的な扱いを受けることはない。だがララは満足できないのだ。

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さよなら、退屈なレオニー

6月15日(土)公開 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

大きな事件の起きないリアルな青春映画

 高校卒業を間近に控えたレオニーは、いつも周囲に馴染めない気分を味わっている。学校の友人たちと一緒に騒いでいても、特に楽しいわけじゃない。母親の再婚相手は地元ラジオ局の人気DJだが、そのことも気に食わなければ、そのことでクラスメートたちからからかわれるのも我慢できない。大人は嫌いだが、自分と同年配の高校生はまるでガキに見えてしまう。そんなレオニーが出会ったのは、自称ギター教師のミュージシャン、スティーブだった。彼女は質屋で中古のギターを買い求め、スティーブが年老いた母親と暮らす自宅兼ギター教室に通い始める。ギターに興味があるわけでも、上手くなりたいわけでもない。地味な反復練習が、面白いわけでもない。でもスティーブと一緒にいれば、暇つぶしにはなる。そんなレオニーにとって唯一の信頼できる大人。それは離れて暮らす父だ。元組合幹部だった父は、工場閉鎖後に母と離婚して、今は遠い土地で暮らしていた。

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ニューヨーク 最高の訳あり物件

6月29日(土)公開 シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

物語の前提に大きな無理がないか?

 ニューヨークの高級アパートに暮らす元モデルのジェイドは、自分のファッションブランドを立ち上げた最初のショーを目前にして夫ニックに去られてしまう。夫は若いモデルに乗り替えたのだ。あまりのショックに取り乱し、仕事も手に付かなくなってしまうジェイド。そんな彼女の前に現れたのは、なんと夫の前妻マリアだった。彼女はジェイドが今住むアパートの半分の権利を、自分が持っていると言う。婚前契約だの離婚時の慰謝料だの財産分与だの、細かな法律論はわからない。しかし弁護士に相談しても、確かにアパートの権利の半分は彼女のもの。押しかけてきたマリアは勝手にジェイドと共同生活を始め、ジェイドの仕事と私生活はますます混乱していく。しかも困ったことが起きた。ジェイドが企画していたショーのための資金が、少し足りなくなってきているのだ。ジェイドはアパートを売却して資金にしたいのだが、同居人のマリアがあれこれ邪魔しはじめる。

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喜劇 女は度胸

6月21日(金)公開 ミッドランドスクエアシネマ

『男はつらいよ』シリーズの双子の兄弟

 蒲田の町工場で工員として働いている学は、真面目だが不器用な青年だ。仲間たちに連れられて週末の盛り場に乗り出しても、早々に仲間とはぐれてひとりぼっち。そんな学ぶに声をかけてきたのが、大手四ツ星電器で工員をしている愛子だった。二人は不器用な交際をはじめ、一途な学はやがて彼女との結婚を意識するようになる。だがそんな彼を驚愕させる事件が起きる。学が愛子にプレゼントしたゲーテの詩集を、遊び人の兄・勉吉が持っていたのだ。「これは馴染みのコールガールに借りたのよ。美人だぜ。あっちの仕事はアルバイトで、昼間は四ツ星電器に勤めてるんだ」。なんということだ。あの愛子が、学の知らないところで娼婦の仕事をしているのだ。しかも遊び人の兄と馴染みで、もう何度もそういうことをしている。学は愛子とのデートで彼女にこのことを問いただそうとするが、それは学の疑惑をますます深めるだけだった。学は彼女と別れようとするが……。

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誰もがそれを知っている

6月1日(土)公開 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

誘拐事件が暴き出していく家族の秘密

 妹の結婚式に参加するため、子供を連れてスペインの実家に帰省したラウラ。家族や親戚、古い友人たちとの再会を喜び合い、結婚式もその後のパーティーも人々の笑顔に包まれる。だがそのパーティーのさなか、ラウラの娘イレーネが行方不明になる。彼女が消えたベッドには、少し前に起きた誘拐殺人事件の記事の切り抜きが置かれ、やがてラウラの携帯電話に「身代金を支払えば娘は解放する。警察に通報したら娘の命はない」という誘拐犯からのメッセージが届く。警察に通報すべきか。だがしばらく前に起きた同様の事件では、警察に通報したことから人質が殺されている。ならば犯人に金を払うのか。ラウラたちは結論が出ないまま右往左往し続ける。奇妙なことに、犯人は脅迫メッセージをラウラだけでなく、彼女の幼なじみで元恋人パコの妻ベアにも送りつけているのだ。やがてこの誘拐事件が、家族の中に隠されていたある秘密を白日の下にさらけ出すことになる。

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長いお別れ

5月31日(金)公開 全国ロードショー

山崎努の熱演に目が釘付け

 父・昇平の70歳の誕生日を祝うため、久しぶりに実家に集まった家族4人。母の曜子は専業主婦で、長女・麻里は結婚して今はアメリカ暮らし。次女の芙美は惣菜店で働きながら、いつか自分のカフェを開くために準備をしている。だが姉妹はこの日、父の認知症が始まったことを母から知らされて驚く。長年教員を勤め、最後は校長をしていた厳格な父。本を読むのが好きで、今も読書を欠かさない父がボケているだなんて。にわかには信じられない話だったが、芙美はその日、父の言動が明らかにおかしいことに気がついた。それがはじまり。父の認知症は少しずつ、しかし確実に進行していった。はじめのうちは、調子の良い時と悪い時がある。だが少しずつ調子の悪い時が多くなり、自分の周囲のあらゆる物事を忘れていく。家族のことを忘れ、自分のいる場所がわからなくなり、やがて言葉も通じにくくなっていく。しかしそんな父を、家族は温かい目で見守り続けるのだ。

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