男はつらいよ50 お帰り 寅さん

12月27日(金)公開 全国ロードショー

満男と泉の物語にピリオドを打つ完結編

 脱サラして小説家になった諏訪満男は、病気で亡くした妻の七回忌法要のため実家の柴又に戻ってくる。久しぶりに懐かしい顔が集まって思い出すのは、以前はこうした場の中心になっていた伯父さんのことだ。テキ屋をしていた寅次郎伯父さんは、惚れっぽくって、人情家で、面倒見がいい親分肌で、でもひがみっぽくて、すぐ怒って、いつも全国をふらふら飛び回って、家族に心配ばかりかけていた。でも満男はそんな伯父さんが大好きだったのだ。書店で行われたサイン会で、満男は久しぶりに懐かしい人に再会する。高校時代に付き合っていた初恋の相手・泉だ。泉は20年ほど前にヨーロッパに渡り、現地で家庭を持ち、今は国連関連の職員として世界中を飛び回っている。満男は泉を神保町のジャズ喫茶に連れて行く。店の女主人は、伯父さんの恋人だったリリーさんだ。「リリーさんはどうして伯父さんと結婚しなかったの?」。満男と泉の思い出をたどる旅は続いていく。

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に

12月20日(金)公開 全国ロードショー

40分の追加で前作の印象は一変した

 昭和18年の暮れ。突然申し込まれた縁談に応じる形で、翌年すずは広島の実家から呉の北條家に嫁いだ。18歳だった。夫の周作は優しく、嫁ぎ先の両親も良くしてくれる。夫を亡くして実家に出戻った周作の姉・径子が、時々すずに嫌味や小言を言うこともあるが、おっとり型のすずはそれを軽くいなしてしまう。戦争は既に始まっている。物資は乏しくなり、生活は苦しくなっていく。そんな中、お使いを頼まれた呉の街で、すずは遊郭で働くリンという女性に出会う。住む世界もまったく違う二人だったが、やがてすずは、リンと夫周作の間にあったある関係に気づいてしまうのだった。翌年、実家の兄が戦死。遠い世界の戦争は、少しずつすずたちの身近なところにもやってくる。各地から伝わってくる空襲の報道。やがてすずたちの頭上も敵機が飛び、高射砲陣地の砲撃音が響き、空襲や機銃掃射に追われる日々がやって来る。舅は空襲で行方不明になり、周作も招集された。

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ウエスト・サイド物語

11月29日(金)公開 午前十時の映画祭10FINAL

青春ミュージカルの金字塔

ニューヨーク、ウエスト・サイド。ポーランド系アメリカ人の不良グループ「ジェット団」のメンバーは、最近になって衝突が絶えないプエルトリコ系の不良グループ「シャーク団」にいら立っていた。ジェット団のリーダーであるリフは、相手との決闘で決着を付けることに決める。そうなれば、ジェット団の創設メンバーであり、リフにとっての親友、兄貴分でもあるトニーに加勢を頼みたい。リフはトニーを説き伏せて、その晩決闘を申し込むパーティ会場にだけは来てくれるよう約束を取り付けた。だが約束通り会場に現れたトニーは、その場にいた一人の少女に恋をする。それはシャーク団のリーダー、ベルナルドの妹マリアだった。マリアも一目でトニーに心引かれ、ふたりはその後、翌日の再開を約束して別れた。そして翌日、ジェット団とシャーク団がその夜決闘すると知ったマリアは、トニーにそれを止めてくれるよう頼む。これが大きな悲劇につながるとも知らずに。

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ライフ・イットセルフ 未来に続く物語

11月22日(金)公開 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

タネも仕掛けもたっぷりのロマンス映画

 ウィルとアビーは深く愛し合っていた。少なくとも、ウィルはそのつもりだった。大学で知り合ったふたりは卒業後に結婚し、やがて子供を授かる。子供の出産を控えた幸せな日々。だがその幸せを無視するように、突然アビーはウィルのもとを去った。この事実を受け入れられないウィルは自殺を図り、精神病院に一時的に入院。退院後は精神科医のカウンセリングに通いながら、傷ついた心を癒やそうとしている。今でもウィルは「なぜ彼女は去ったのか」と自分自身に問い続けている。あれほど愛していたのに。いや、ひょっとすると愛していたのは自分だけで、彼女はそうではなかったのだろうか。自分の気持ちも、愛ではなくただの束縛だったのかもしれない。そんな堂々巡りを続けるウィルに、精神科医は語りかける。「アビーは去ったのではない。あなたの目の前で、交通事故で死んだのだ」と。ウィルが受け入れられないのは、アビーが死んでしまったという事実だった。

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アイネクライネナハトムジーク

9月20日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

悪い話ではないが淡白で薄味

 仙台駅前の大型モニターには、日本人初のヘビー級タイトルマッチの様子が生中継されていた。マーケットリサーチ会社に勤める佐藤は、そんなこととは関係なしに街頭アンケートを行っている。ほとんどの人が見向きもしないまま通り過ぎていく中で、快く協力してくれたリクルートスーツ姿の若い女性。他愛のない会話を交わしただけで別れたが、彼女は佐藤の心に忘れがたい印象を残した。佐藤は仕事もできるし、見た目も性格も悪くない。だが恋人はいない。これまでに、いい出会いがないのだ。早くに結婚した大学時代の友人・織田は、運命の出会いなんてものは言い訳に過ぎないという。誰かを好きになって、付き合って、何なら結婚して、何年もした後に、あの時の出会いは運命だった、この人と出会えて良かったと思うんじゃないか? 織田の説明は、佐藤にはわかったようでよくわからない。それからしばらくして、佐藤はある場所であのアンケートの女性と再会する。

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宮本から君へ

9月27日(金)公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー

個人的なトラウマ漫画の劇映画化

 文具メーカーの若い営業部員・宮本浩は、仕事にも恋にも全身でぶつかる熱血漢。そのせいで仕事でも何度かトラブルを起こし、同じだけ周囲の人たちに助けられてきた。そんな彼が、年上の女性・中野靖子と付き合い、結婚することになる。両親に彼女を紹介するため実家に帰った際、食事中に気分が悪くなって席を立つ靖子。宮本の母は彼女が妊娠していることを察して、このことで息子に小言を言う。「どうしてあなたは何も説明してくれないの。靖子さん妊娠してるのね。みんな聞いたわよ」。「聞いたって、何を、どこまで聞いたんだ!」。いきなり血相を変える宮本。じつは靖子の妊娠には、彼女と宮本以外にほとんど誰も知らない秘密があったのだ……。宮本がまだ靖子ときちんと付き合い始める前、彼女の部屋を始めて訪ねたときのことだ。そこにやって来たのは、靖子の元恋人・祐二。宮本は祐二の前に立ちふさがり、「靖子は俺の女だ。俺が守る!」と啖呵を切った。

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ブレードランナー ファイナル・カット

9月6日(金)公開 全国のIMAXシアターで2週間限定公開

大画面で観るショーン・ヤングは美しかった

 西暦2019年。人類は外宇宙に進出している。苛酷な環境下で人間を手助けし、時として慰安を与えるのは、遺伝子操作で生まれた人造人間、レプリカントだ。だが人間以上に苛酷な境遇を強いられる彼らはしばしば脱走し、自由を求めて地球に逃れてくる。地球でレプリカントを捜し出して処分するのが、ブレードランナーと呼ばれる特殊刑事たちだった。ブレードランナーのリック・デッカードは、逃亡した最新型レプリカント4体の追跡と処分を命じられる。彼は最新型についての情報を得るため製造元のタイレル社を訪れるが、そこで出会った社長秘書のレイチェルは、幼少時の偽の記憶を植え付けられたレプリカントだった。逃亡したレプリカントの所持品から、ダンサーとして繁華街に潜伏中の個体を発見したデッカードは、雑踏の中で彼女を射殺。その様子を目撃した別のレプリカントに殺されそうになるが、間一髪のところで彼を助けたのはレイチェルだった……。

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天気の子

7月19日(金)公開 全国ロードショー

シンプルな青春メロドラマの傑作

 家出してフェリーで東京にやって来た高校1年生の森嶋帆高。しかし身分証も保証人もない彼はアルバイトもできず、フェリーで知り合った怪しげな中年男・須賀の事務所に転げ込んだ。須賀の仕事はライター。今は事務所に出入りする女子大生の夏美と一緒に、ネット上の都市伝説「100%の晴れ女」の噂を追いかけている。事務所の雑用係として東京中を駆け回るようになった帆高は、天野陽菜という少女と出会った。じつは彼女こそ噂の「晴れ女」だった。最近の異常気象で、ずっと長雨が続いている東京。しかし彼女は祈ることで、短時間に局地的な晴れ間を作ることができるのだ。陽菜は金に困ってアルバイトを探していたのだが、「晴れ女」は商売になるのではないだろうか。帆高が陽菜と一緒に「100%晴れ女」の仕事募集サイトを作ると、仕事の依頼が引きも切らなくなっていく。だがこの仕事を始めるようになってから、陽菜の体には重大な変化が起きていた。

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喜劇 女は度胸

6月21日(金)公開 ミッドランドスクエアシネマ

『男はつらいよ』シリーズの双子の兄弟

 蒲田の町工場で工員として働いている学は、真面目だが不器用な青年だ。仲間たちに連れられて週末の盛り場に乗り出しても、早々に仲間とはぐれてひとりぼっち。そんな学ぶに声をかけてきたのが、大手四ツ星電器で工員をしている愛子だった。二人は不器用な交際をはじめ、一途な学はやがて彼女との結婚を意識するようになる。だがそんな彼を驚愕させる事件が起きる。学が愛子にプレゼントしたゲーテの詩集を、遊び人の兄・勉吉が持っていたのだ。「これは馴染みのコールガールに借りたのよ。美人だぜ。あっちの仕事はアルバイトで、昼間は四ツ星電器に勤めてるんだ」。なんということだ。あの愛子が、学の知らないところで娼婦の仕事をしているのだ。しかも遊び人の兄と馴染みで、もう何度もそういうことをしている。学は愛子とのデートで彼女にこのことを問いただそうとするが、それは学の疑惑をますます深めるだけだった。学は彼女と別れようとするが……。

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きみと、波にのれたら

6月21日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

主題歌の使い方はまるでミュージカル

 大学進学を機に、海辺のマンションに引っ越して来たひな子。部屋の窓からは海が一望でき、波が良ければすぐ海に出てサーフィンができる。そのマンションで火事騒ぎがあったとき、助けてくれたのが消防士の青年・港だ。ふたりは付き合うようになり、ひな子の手ほどきで港もサーフィンの腕をめきめき上げていった。だがクリスマスを過ぎたその年の暮れに、港は海の事故で亡くなってしまう。突然の恋人の死に、何も手に付かなくなってしまうひな子。しかし彼女が港との思い出の歌をふと口ずさんだとき、目の前のコップの水の中に突然港の姿が現れた! それはひな子にだけ見える幻覚なのか? 港はその後も歌うたび彼女の前に現れ、ひな子はそんな彼との時間に安らぎを見出していく。たとえそれが、自分にしか見えない幽霊のような存在だとしても……。だがコップや水筒の水に親しげに、嬉しそうに話しかけるひな子の姿は、友人たちが見ても異様なものだった。

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