運び屋

3月8日(金)公開 全国ロードショー

イーストウッド10年ぶりの監督・主演作

 デイリリーの栽培農家として、世界中の愛好家たちに名前を知られていたアール・ストーン。自慢の花や苗を持って各地の品評会や即売会を駆け回っていた彼だったが、インターネット販売に押されて売れ行きは低迷。やがて自慢の農園や家も手放す羽目になった。妻とはもうだいぶ前に離婚し、子供や孫とも音信不通状態。だが結婚する孫娘のために、何もしてやれないのは心残りだ。そんな彼に、ひとつの仕事が舞い込んでくる。ある場所から別のある場所に、荷物を運ぶだけの仕事。荷物の中身については、見ざる、聞かざる、言わざるのお約束だ。仕事の依頼主は麻薬組織のメンバーたち。長年無事故無違反で安全運転を心がけてきた高齢のアールが、オンボロのトラックで荷物を運んでも警察に疑われることはまずなかろうと見込んでのことだ。目論見は大成功。組織は無事に荷物を運び、アールも思いがけない大金を手にした。彼はすっかり、この仕事に味を占めてしまう。

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グリーンブック

3月1日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

古典の風格が漂う実話ベースの感動作

 1962年の秋。ニューヨークの一流ナイトクラブ「コパカバーナ」で用心棒をしていたトニー・リップは、店の改装でしばらく無職の身となった。そんな彼に、運転手の仕事が舞い込んでくる。雇い主は黒人ジャズ・ピアニストのドン・シャーリー。当時まだ露骨な黒人差別が行われていたアメリカ南部を巡る、8週間の演奏旅行だ。レコード会社の担当者から黒人旅行者用のホテルガイド「グリーンブック」を手渡され、トニーとドンの旅がはじまる。演奏するのは一流のクラブやコンサートホール、レストランなど。観客は金持ちの白人ばかりだ。ドンの華麗な演奏テクニックと洗練された物腰に、行く先々の観客たちは大喝采。生まれも育ちも人種も違う二人の会話はまるで噛み合わないが、トニーが妻に書く手紙をドンが手伝うようになったことから、二人の距離は急速に縮まっていく。やがてトニーは、ドンが危険で屈辱的なこの演奏ツアーを企画した意味を知るのだった。

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ファースト・マン

2月8日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

カリスマ宇宙飛行士の孤独な世界

 1961年。NASAのテストパイロットであるニール・アームストロングは、ロケット機X-15のテスト飛行中、制御できなくなった機体を何とか着陸させることに成功した。だが現在彼を悩ませているのは仕事のことではなく、幼くして脳腫瘍を患う娘カレンのことだ。家族の祈るような願いと治療のかいもなく、カレンは2歳半の短い生涯を閉じる。このことは、ニールの心を深く傷つけることになった。彼はその後ジェミニ計画の飛行士に応募して、苛酷な訓練の日々を送るようになる。1966年。ニールが船長を務めるジェミニ8号は、無人衛星とのドッキングに成功。一時は操作不能になる危機的な状況となったが、ニールの的確な処置で無事帰還を果たした。その翌年、悲劇的な事故が宇宙飛行士たちを襲う。発射台のアポロ1号が火災事故を起こし、飛行士3人が死亡したのだ。それでも計画は進んで行く。ニールは月着陸を目指すアポロ11号の船長に選ばれた。

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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

2018年12月28日(金)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

大泉洋主演の実録難病ドラマ

 1994年の札幌。医学生の田中と交際中の美咲は、彼がしばしば「ボランティア」と称して約束をすっぽかすことに不信感を募らせる。ひょっとして彼は、浮気しているんじゃないだろうか? 予告なしに田中のボランティア先を訪ねた美咲は、そこで大勢の若い女性ボランティアに囲まれてご満悦の、鹿野という男に出会う。筋ジストロフィー(全身の筋力が衰えていく難病)患者である彼の自立生活を支えるため、大勢の生活支援ボランティアが無償で働いている。田中もそんなボランティアのひとりなのだ。美咲を田中が勧誘した新しいボランティアだと勘違いした鹿野は、一目で彼女を気に入り夜中のシフトにも強引に入れてしまう。自分のために働くボランティアを当然のようにこき使い、あれこれ命じて好き放題に振る舞う鹿野に、美咲のイライラは募るばかり。田中が自分のことを、交際相手だと紹介しないことにも腹が立っている。その怒りがある日ついに爆発する。

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ボヘミアン・ラプソディ

11月9日(金)公開 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

ライブの再現シーンはすごい迫力!

 インドからの難民家庭に育ったフレディは、ライブハウスで見かけたバンド「スマイル」に欠員が出たため、新しいシンガーとしてバンドに参加することになった。間もなくバンドは「クイーン」に改名。試行錯誤して作ったアルバムが注目されてバンドは徐々に売れ始め、4枚目のアルバム「オペラ座の夜」からは6分の大作「ボヘミアン・ラプソディ」がシングルカットて大ヒット! だがこの頃からフレディは自分の同性愛指向を意識するようになり、恋人メアリーとの関係は破綻してしまう。クイーンはさらにヒットを連発するが、バンド成功の裏側でフレディの孤独は深まり、生活は荒んで行くばかりだ。マネージャーであり愛人でもあったポールの斡旋で、フレディはクイーンを離れてソロ活動をはじめる。だがそれ結果として、フレディの孤独をより深めていく原因になってしまった。同じ頃、彼の身体を病魔が蝕みはじめる。それは当時不治の病とされたエイズだった。

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パウロ 愛と赦しの物語

11月3日(土)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

ひたすら地味で、暗く、つまらない

 西暦67年のローマ。ネロ帝は数年前に起きた大火の責任を、当時帝国内に目立ちはじめたキリスト教徒になすりつけ、市内では大規模なキリスト教徒の弾圧が行われていた。ローマ滞在中の使徒パウロも、放火の首謀者として囚われの身。だが今や処刑を待つばかりの彼を、かつて旅を共にした医者ルカが訪ねてくる。最後にパウロの旅と信仰の記録を聞き取って書き写し、迫害の中で苦しむ各地のキリスト教徒たちに伝えるためだ。看守に賄賂を渡し、命がけでパウロの牢獄を訪ねるルカ。だがこのことは、獄舎の長官であるマウリティウスにもすぐ知られてしまう。彼には娘があり、今は重い病に苦しんでいる。だが「ルカは優秀な医者だ。彼なら娘を治せる」と言うパウロの言葉に、マウリティウスが耳を貸すことはない。キリスト教徒の助けを借りることで、ローマの神々の怒りを招くことを恐れているのだ。だが娘が危篤状態になったとき、彼はついにルカに助けを求める。

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万引き家族

6月8日(金)公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

是枝裕和監督のカンヌ映画祭パルムドール受賞作

 路地の隙間から、東京スカイツリーが見える東京下町。高層マンションと昔ながらの小さな平屋が混在するこの地域に、柴田家の人々は肩寄せ合うようにして暮らしている。年金暮らしの祖母を中心に、小さな家に夫婦と息子、叔母が同居する暮らし。だがこの一家には、あまり大っぴらには言えない秘密の稼業がある。彼らは生活費の不足を、万引きで補っているのだ。ある冬の夜、近くのスーパーでその日の「仕事」を済ませた帰り道のこと。父の治と息子の祥太は、近くのアパートの廊下で一人震えている幼い女の子を見つける。「コロッケ食べるかい?」と声をかけた治は、結局その子を自分たちの家に連れて帰ってしまう。「ゆり」と名乗ったその少女には、体中に虐待のあとがあった。翌日女の子を元のアパートに連れ帰ろうとした夫婦は、部屋から聞こえてくる「子供なんて欲しくなかった」という怒鳴り声を聞いて、どうしてもゆりを帰すことができなくなってしまう。

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