そして、バトンは渡された

10月29日(金)公開 全国ロードショー

石原さとみと永野芽郁の好演が光る感動作

そして、バトンは渡された

■あらすじ

 みいたんは優しいけれど泣き虫な小学生の女の子。幼い頃に母と死別したが、父の再婚で新しい母・梨花がやって来た。梨花は太陽のような明るさで、みいたんのことを我が子のように愛してくれる。

 だが夢見がちな父は、家族に黙ってブラジルでの新事業立ち上げを決める。梨花はこれに大反対。みいたんも日本に残りたいと言う。結局ブラジルには父が一人で渡り、離婚した梨花がみいたんを我が子として育てることになった。

 高校3年生の森宮優子は、父のことを「森宮さん」と呼んでいる。優子と森宮には、血の繋がりがない。彼女の母は子連れで森宮と結婚したあと、子供を置いてどこかに姿を消してしまったのだ。それでも義理の親子関係は良好。森宮は世界一の父親だった。

 優子は合唱会のピアノ奏者に選ばれた。これは友達のいない優子への、クラスメイトの嫌がらせだ。だがこのことで、優子は他のクラスで伴奏を担当する早瀬賢人と親しくなる。

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アンモナイトの目覚め

2021年4月9日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

化石採集者メアリー・アニングの伝記映画

映画『アンモナイトの目覚め』チラシ画像

■あらすじ

 1840年代。イギリス海峡(英仏海峡)に面したライムレジスの町に、地質学者のロデリック・マーチソンがやって来る。目的はこの町で化石発掘をなりわいにしている女性、メアリー・アニングを訪ねるためだ。学会ではほとんど名を知られていないメアリーだが、マーチソンは彼女の類い希な発掘成果を高く評価し、化石探しの様子を見学させて欲しいと頼み込む。

 数日後にマーチソンは町を離れるが、身体の弱い妻シャーロットを残していった。ライムレジスの気候が、妻の身体にいいと考えてのことだ。シャーロットはしばらくメアリーの発掘に付き合ったりしていたが、慣れない海水浴で身体を冷やして高熱を出してしまう。

 町に専門の看護師はいない。メアリーは止むなく彼女を自宅に引き取り、元気になったシャーロットはすっかりメアリーに懐くようになった。やがてふたりの間に、それまでなかった新しい感情が芽生えていくことになるのだった……。

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少年の君

7月16日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

傷だらけの青春ラブストーリー

■あらすじ

 高校で同級生が自殺した。飛び降り死した遺体を遠巻きに眺めながら、生徒たちはスマホで写真や動画を撮っている。チェン・ニェンはその様子を見るに忍びなく、遺体の上に自分の着ていた上着を掛ける。

 自殺の原因は明らかだった。クラスメイトからの執拗なイジメだ。だがそのことについて、学校側や警察の取り調べがあっても誰も口を開かない。チェン・ニェンも黙っていた。なぜって、今は高校3年生にとって、大学入試を控えた大切なときのだから。

 だが遺体に上着を掛けたチェン・ニェンは、イジメグループの次のターゲットにされてしまうのだった。毎日続くしつこい嫌がらせ。待ち伏せ。暴力。彼女は少しずつ追い詰められて行く。

 チェン・ニェンがシャオベイに出会ったのは、そんな中でのことだった。たまたま通りがかった夜の街で、チンピラに取り囲まれて袋だたきにあっていた彼を見かね、チェン・ニェンは警察に電話しようとしたが……。

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花束みたいな恋をした

1月29日(金)公開 全国ロードショー

ありふれた恋の始まりと終わり

 明大前の駅で終電に乗り損ねたことから知り合った山音麦と八谷絹は、趣味が似かよっていることからすっかり意気投合。その後はデートして終電まで語り合い、何度目かのデートでキスして正式交際スタート。イラストレーター志望の麦が、就活が思うように進まない絹を誘うような形で一緒に暮らし始める。大学卒業後は二人ともフリーターだったが、恐いものは何もない。新居は調布駅から徒歩30分のアパート。駅から一緒に歩く道のりが、そのままデートになるような幸せな日々。二人は誰もが認めるお似合いのカップルだった。だが就職せずにイラストの手間仕事をしている麦の生き方を、田舎の父は認めない。仕送りを止められた麦は、止むなく就職活動を始める。仕事をしながらでも、イラストを描き続けることはできるはずだ。だがいざ仕事に就いてみると、そんな目論見はあっという間に破綻してしまう。絹との関係も、少しずつギクシャクしはじめるのだった……。

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his

恋人同士が出した人生の結論は?

 高校生時代に知り合って恋人同士になった井川迅と日比野渚。だが迅の大学卒業を間近にして、渚は突然別れを切り出して離れて行った。それから8年。都会を離れた田舎町で自給自足に近い生活をしている迅のもとに、突然渚が現れる。しかも小さな女の子・空を連れて。彼女は渚の子供なのだという。プロサーファーを目指して海外に渡った渚は、そこで通訳の日本人女性と知り合って結婚。娘が生まれたが、今は離婚に向けて別居中なのだという。「どうして今さら戻ってくるんだよ。やっと忘れられそうだったのに」「俺にとって、やっぱり迅は特別なんだ」。ぎこちなく、離れ離れだった時間を取り戻していく二人。そこに渚の妻・玲奈がやってきて、強引に空を連れ去ってしまう。渚と玲奈は、離婚後の空の親権を争っているのだ。社交的な渚と同居することで、迅の生活も少しずつ変わっていく。地域の人たちと触れあう機会も増えた。渚も新しい仕事を見つけて働きだす。

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惡の華

9月27日(金)公開 全国ロードショー

お前はド変態のクソムシ野郎だ!

 中学2年生の春日高男は、自分を取り囲む環境にうんざりしていた。ボードレールの詩集「惡の華」の世界に耽溺しながら、自分以外にそんなものを理解する人は誰もいない。友人たちが興味津々にセックスの話ばかりしているのもくだらない。だがそんな春日にも、気になる女子生徒がいる。それは他の男子生徒も憧れている佐伯奈々子。ある日教室に忘れ物を取りに戻った春日は、棚から落ちている彼女の体操着をふと拾い上げ、そのまま家に持ち帰ってしまった。翌日そっと返そうと思ったが、既に「体操着が盗まれた」と大騒ぎでそれどころではない。何もできないまま家路につく春日に、クラスの中でも嫌われ者の女子生徒・仲村佐和が声をかける。彼女は春日が体操着を盗んだことを知っていた。仲村は春日の弱みに付け込んで、強引にひとつの契約を交わす。それは春日が仲村の言うことを、何でも聞かねばならないというもの。仲村の要求は、過激で変態的なものだった。

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アイネクライネナハトムジーク

9月20日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

悪い話ではないが淡白で薄味

 仙台駅前の大型モニターには、日本人初のヘビー級タイトルマッチの様子が生中継されていた。マーケットリサーチ会社に勤める佐藤は、そんなこととは関係なしに街頭アンケートを行っている。ほとんどの人が見向きもしないまま通り過ぎていく中で、快く協力してくれたリクルートスーツ姿の若い女性。他愛のない会話を交わしただけで別れたが、彼女は佐藤の心に忘れがたい印象を残した。佐藤は仕事もできるし、見た目も性格も悪くない。だが恋人はいない。これまでに、いい出会いがないのだ。早くに結婚した大学時代の友人・織田は、運命の出会いなんてものは言い訳に過ぎないという。誰かを好きになって、付き合って、何なら結婚して、何年もした後に、あの時の出会いは運命だった、この人と出会えて良かったと思うんじゃないか? 織田の説明は、佐藤にはわかったようでよくわからない。それからしばらくして、佐藤はある場所であのアンケートの女性と再会する。

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COLD WAR あの歌、2つの心

6月28日(金)公開 ヒューマントラストシネマ有楽町

愛すればこそ苦しむ恋人たち

 第二次大戦直後のポーランド。国内各地の民族音楽を収集しながら、若い歌い手や踊り手を捜し求める人々がいた。彼らは国立音楽舞踊団のメンバーを集めているのだ。スカウト活動に参加していた音楽家のヴィクトルは、オーディションに参加したズーラという歌い手に目を引かれる。彼の推薦で入団したズーラはたちまち花形歌手として脚光を浴びるようになり、ヴィクトルとの間に恋愛関係も芽生えた。だが政府の監視を受けるようになっていたヴィクトルは、舞踏団の東ベルリン公演を機会に西側に脱出。彼はもともとズーラと一緒に亡命するつもりだったが、彼女はなぜか待ち合わせ場所に現れなかった。数年後。パリでジャズピアニストとして活動していたヴィクトルは、公演でパリにやって来たズーラと再会する。その後何度かのすれ違いを経て、ふたりはようやくパリで一緒に暮らすようになった。だが気性の激しいズーラは、頑固なヴィクトルとの衝突も多かった。

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約束

7月12日(金)公開 ミッドランドスクエアシネマ

男と女の映像詩

 公園のベンチで、中年の女がひとり誰かを待っている。だが待ち人は現れない。それでも女は待ち続ける。いったい誰を? 物語は2年前にさかのぼる……。女は列車に乗っていた。日本海沿いを北に向かって走る、混み合った特急列車だ。彼女の前の空席に、若い男がすべり込んでくる。顔の上に新聞を広げて眠りはじめた男。その新聞の見出しにある殺人事件の記事を見て、何かを思いだしたように女の顔が一瞬曇る。女が体を伸ばすため席を立つと、眠った男の顔から新聞が滑り落ちた。あわてて載せ直すがうまくいかない。女は自分の髪からヘアピンを1本抜くと、新聞を男の襟元に留める。やがて男は目を覚まし、新聞を留めていたヘアピンに気付く。「これあんたのかい?」。そんな風にして、男と女は出会った。やけに人懐っこく馴れ馴れしい若い男に女は苦笑しながら、それでもふたりは少しずつ距離を縮めていく。自分たちが恋に落ちるなど、まだ知らぬまま……。

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喜劇 女は度胸

6月21日(金)公開 ミッドランドスクエアシネマ

『男はつらいよ』シリーズの双子の兄弟

 蒲田の町工場で工員として働いている学は、真面目だが不器用な青年だ。仲間たちに連れられて週末の盛り場に乗り出しても、早々に仲間とはぐれてひとりぼっち。そんな学ぶに声をかけてきたのが、大手四ツ星電器で工員をしている愛子だった。二人は不器用な交際をはじめ、一途な学はやがて彼女との結婚を意識するようになる。だがそんな彼を驚愕させる事件が起きる。学が愛子にプレゼントしたゲーテの詩集を、遊び人の兄・勉吉が持っていたのだ。「これは馴染みのコールガールに借りたのよ。美人だぜ。あっちの仕事はアルバイトで、昼間は四ツ星電器に勤めてるんだ」。なんということだ。あの愛子が、学の知らないところで娼婦の仕事をしているのだ。しかも遊び人の兄と馴染みで、もう何度もそういうことをしている。学は愛子とのデートで彼女にこのことを問いただそうとするが、それは学の疑惑をますます深めるだけだった。学は彼女と別れようとするが……。

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