ONODA 一万夜を越えて

10月8日(金)公開予定 TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

ルバング島の旧日本兵・小野田寛郎の実話を映画化

映画『ONODA 一万夜を越えて』のチラシ画像

■あらすじ

 1974年(昭和49年)2月。ひとりの日本人青年がフィリピンのルバング島にやってくると、ジャングルの中にテントを設営する。彼はジャングルに潜む旧日本軍兵士と会うため、ひとりこの地にやって来たのだ。その兵士の名は小野田寛郎。彼はなぜこの地でひとり、とうの昔に終わった戦いを続けているのだろうか……。

 1944年。若き日の小野田寛郎は、遊撃戦(ゲリラ戦)の専門教育を行うために開設された陸軍中野学校二俣分校にいた。当時の日本軍は「生きて虜囚の辱を受けず」という戦陣訓や、「上官の命令は天皇陛下の命令である」という絶対服従の規律に支配されていたが、中野学校の教えはそれとは正反対の「卑怯と言われても必ず生き延びよ」「自分の頭で柔軟に考えて行動せよ」だった。

 ルバング島に派遣された小野田だったが、アメリカ軍の猛攻に日本の兵隊たちは浮き足立っている。彼は何人かの兵隊を集めて、ゲリラ部隊を組織する。

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エイト・ハンドレッド ―戦場の英雄たち―

11月12日(金)公開予定 全国ロードショー

第二次上海事変の激戦「四行倉庫の戦い」を映画化

映画『エイト・ハンドレッド ―戦場の英雄たち―』のチラシ画像

■あらすじ

 1937年(昭和12年)8月にはじまった第二次上海事変は、日本軍が市内の主要部を占拠し、中国軍が撤退していくことで10月には大勢が決していた。爆撃と砲撃で市内は瓦礫の山。しかしそんな上海でも、ほぼ無傷で残っているのが、外国人居住区である共同租界だった。

 日本軍は国際社会からの批判を恐れ、租界を巻き込む砲撃などを避けてきた。そのため租界から蘇州河をはさんだ北岸にある四行倉庫は、砲撃を免れて崩壊を免れている。ここに中国国民政府軍の第88師第524団が入ったのは10月。北岸に残った一般市民は日本軍の総攻撃を避ける難民として、租界へと脱出した。

 今や蘇州河の北側には日本軍と中国軍しかいない。日本軍は周囲の建物に立てこもる中国軍を殲滅した後、いよいよ倉庫を奪取のための猛攻撃を仕掛けてくる。だがこれは租界の人々にとって、まさに対岸の火事。租界の人々が見守る中で、上海戦最後の抵抗がはじまった。

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ホロコーストの罪人

8月27日(金)公開予定 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

忘れられかけたノルウェーのホロコースト

■あらすじ

 1930年代後半。チャールズ・ブラウデは、ノルウェーで最高のボクサーの一人だった。ブラウデ家はリトアニアから亡命してきたユダヤ人だが、この時代のノルウェーにユダヤ人差別はほとんどない。チャールズは非ユダヤ人のラグンヒルと結婚し、周囲もそれを祝福する。ナチスがノルウェーを占領したのは、そんの時だった。

 国王ホーコン7世の亡命やレジスタンス活動もあったが、ナチスの理論で「優良な北方人種」とされたノルウェー国民をナチスは緩やかに扱った。だが1941年にはユダヤ系住民の登録制度が始まる。翌年10月には、国中のユダヤ人男性が一斉に逮捕され、国内2ヶ所の収容所に集められる。チャールズも父や兄弟たちと収容所へ。そこで待っていたのは、強制労働と看守たちによる陰惨なリンチだった。

 そして翌月。警察に国内のユダヤ人を全員逮捕せよとの命令が下った。ラグンヒルはチャールズの母を匿おうとするのだが……。

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アウシュヴィッツ・レポート

7月30日(金)公開予定 新宿武蔵野館ほかにて公開

死の収容所から脱走した男たち

■あらすじ

 1944年4月。二人のユダヤ人が、アウシュヴィッツの強制収容所から脱走した。その夜の点呼で脱走はすぐに発覚したが、看守のドイツ兵たちの捜索にもかかわらず、二人の行方はついに見つからなかった。

 逃げ出した囚人アルフレートとヴァルターは、収容所近くの材木置き場に隠れていたのだ。看守たちが捜索をほぼ諦めたのを見極めて、二人は材木の下の穴から抜け出すと、国境を目指して歩き始めた。昼間は人目を避けて草むらに隠れ、暗くなってからひたすら歩く。

 国境まであと数日の距離になった時、二人は森の中で地元の女性に見つかってしまう。通報されれば万事休す。だが女性は持っていたパンを二人に分け与え、親戚の男を呼んできて国境までの道案内に立てる。二人は空腹と疲労に倒れそうになりながら、国境を越えることに成功する。

 赤十字に無事保護された二人。だがここから新たな戦いが始まる。収容所の実態を世界に知らせるのだ!

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復讐者たち

7月23日(金)公開予定 ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開

知られざるホロコースト後日談の映画化

■あらすじ

 1945年。ホロコーストを生き延びたユダヤ人マックスは、家族の手掛かりを追って難民キャンプに向かう。そこで待っていたのは、妻子が殺されたという悲しい知らせだった。

 彼はイギリス軍ユダヤ人部隊の士官ミハイルに声をかけられ、彼らが秘かに行っているナチス残党狩りに合流する。ユダヤ人を収容所に送った者たちや収容所の責任者を探しだし、闇から闇に葬り去るのだ。この活動の中で、マックスは「ナカム(復讐)」と名乗るユダヤ人過激派グループと接触する。

 それから間もなく、ミハイルたちの部隊は別の地域に転属が決まる。マックスはミハイルたちと別行動を取り、ナカムに潜入して内情を探るスパイ任務を与えられる。かなり強引に組織にもぐり込んだマックスは、ナカムがドイツ人600万人の殺害という、前代未聞の大規模テロを計画していることを知る。

 マックスはこの計画を止めるのか? それとも、計画の遂行に加担するのか?

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地獄の黙示録 ファイナル・カット

2月28日(金)公開 全国ロードショー

これは長い長い罪の告白の物語

 1969年。米国陸軍のウィラード大尉は、待機を命じられたサイゴンのホテルから軍上層部地呼び出され、ある秘密任務を命じられる。元グリーンベレーの隊長カーツ大佐が独断で軍を離脱し、ジャングルの中に自分の王国を築いているというのだ。ウィラードに命じられたのは、カーツを暗殺することだった。ウィラードは小さな哨戒艇と、任務を知らされていない4人の部下を与えられて川を遡る。そこで彼が見たのは、戦場の混乱と狂気、そして徹底した暴力だった。ヘリコプター部隊を率いる第一騎兵隊のキルゴア中佐は、サーフィンをしたいという理由だけで海岸沿いの村やジャングルを焼き払う。ジャングルの中には突然巨大ステージが組み上げられ、プレイメイトたちが前線慰問にやって来る。国境に近い最前線の基地では、指揮官さえいない中で、ドラッグ漬けの兵士たちが見えない敵相手に発砲を繰り返している。哨戒艇は少しずつ、カーツの王国に近づいていった。

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1917 命をかけた伝令

2月14日(金)公開 全国ロードショー

ドラマの欠如した戦争スペクタクル

1917

 第一次大戦中のフランス。1917年4月6日。前線で束の間の休息を取っていた若いイギリス兵スコフィールドとブレイクは、司令部に呼び出されて別の部隊への伝令任務を与えられる。退却中のドイツ軍を追って、現在1600人の部隊が敵陣深くに侵入している。だがそれはドイツ軍の罠で、このまま進めば部隊が全滅するかもしれないというのだ。その部隊には、ブレイクの兄も参加している。明朝には総攻撃が開始される。残された時間は少ないが、この伝令任務の成否いかんに1600人の命が委ねられているのだ。二人の兵士は命令書とわずかばかりの荷物を持って、塹壕から危険な戦闘地帯に踏み出して行く。行く手に待つのは打ち捨てられた塹壕と腐乱した兵士の死体の山。退却するドイツ軍が残していった仕掛け爆弾にも気が抜けない。かつてはのどかな農村地帯だった場所だが、退却中のドイツ軍はあらゆるものを破壊した。二人は廃墟になった農家にたどり着く。

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アラビアのロレンス

1月10日(金)公開 午前十時の映画祭 10 Final

異能の人が生み出した歴史

 1935年5月。イギリスの片田舎でオートバイを運転していた男が、事故を起こして死んだ。盛大な葬儀が行われて各界の名士が参列したが、死んだ男の評価については毀誉褒貶相半ばしている。彼の名はトーマス・エドワード・ロレンス。第一次大戦中にアラブのベドウィンたちを率いて、ドイツの同盟国だったオスマン帝国と戦った砂漠の英雄だ。とはいえカイロ勤務の下級士官だったロレンスは、博識だが変わり者、軍隊内では思い切り浮いた存在だった。その彼が上官に割り当てられたのは、オスマン帝国からの独立を目指すハーシム家のファイサル王子に接触してイギリス側に引き込むという仕事。だが現地で王子の客分として迎えられたロレンスは、周囲の誰もが驚く提案を行って周囲の度肝を抜く。オスマン帝国の重要拠点であるアカバ要塞を、ベドウィンのラクダ部隊で急襲しようというのだ。しかしその行く手には、灼熱の砂漠が広がっている。作戦は成功するのか?

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ジョジョ・ラビット

落ちこぼれヒトラーユーゲントが見た戦争

1月17日(金)公開 全国ロードショー

 第二次大戦末期のドイツのとある町。友人や家族から「ジョジョ」と呼ばれている10歳の少年ヨハネス・ベッツラーは、母と二人暮らし。父はイタリア戦線で音信不通になり、姉は最近病気で亡くなったばかり。彼はヒトラーユーゲントに入隊早々、上級生から「ウサギを殺せ」と命じられて実行できず、「ウサギのジョジョ」というありがたくないあだ名を頂戴してしまう。しかも直後、汚名返上で意気込んだ手榴弾投擲訓練で大ケガを負ってしまう。一命は取り留めたが、足の障害と、大きな顔の傷が残った。キャンプの責任者だったクレンツェンドルフ大尉は、事故の責任を取って内勤の閑職に移動。ジョジョの母は退院したジョジョを大尉に預けて、負担の少ない小さな仕事を与えるように依頼する。ジョジョは宣伝ビラの配布や掲示など、大尉から回される小さな仕事を手伝うようになった。ある日のこと、ジョジョは家の屋根裏部屋から不審な物音が聞こえるのに気付いた。

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に

12月20日(金)公開 全国ロードショー

40分の追加で前作の印象は一変した

 昭和18年の暮れ。突然申し込まれた縁談に応じる形で、翌年すずは広島の実家から呉の北條家に嫁いだ。18歳だった。夫の周作は優しく、嫁ぎ先の両親も良くしてくれる。夫を亡くして実家に出戻った周作の姉・径子が、時々すずに嫌味や小言を言うこともあるが、おっとり型のすずはそれを軽くいなしてしまう。戦争は既に始まっている。物資は乏しくなり、生活は苦しくなっていく。そんな中、お使いを頼まれた呉の街で、すずは遊郭で働くリンという女性に出会う。住む世界もまったく違う二人だったが、やがてすずは、リンと夫周作の間にあったある関係に気づいてしまうのだった。翌年、実家の兄が戦死。遠い世界の戦争は、少しずつすずたちの身近なところにもやってくる。各地から伝わってくる空襲の報道。やがてすずたちの頭上も敵機が飛び、高射砲陣地の砲撃音が響き、空襲や機銃掃射に追われる日々がやって来る。舅は空襲で行方不明になり、周作も招集された。

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