ファースト・マン

2月8日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

カリスマ宇宙飛行士の孤独な世界

 1961年。NASAのテストパイロットであるニール・アームストロングは、ロケット機X-15のテスト飛行中、制御できなくなった機体を何とか着陸させることに成功した。だが現在彼を悩ませているのは仕事のことではなく、幼くして脳腫瘍を患う娘カレンのことだ。家族の祈るような願いと治療のかいもなく、カレンは2歳半の短い生涯を閉じる。このことは、ニールの心を深く傷つけることになった。彼はその後ジェミニ計画の飛行士に応募して、苛酷な訓練の日々を送るようになる。1966年。ニールが船長を務めるジェミニ8号は、無人衛星とのドッキングに成功。一時は操作不能になる危機的な状況となったが、ニールの的確な処置で無事帰還を果たした。その翌年、悲劇的な事故が宇宙飛行士たちを襲う。発射台のアポロ1号が火災事故を起こし、飛行士3人が死亡したのだ。それでも計画は進んで行く。ニールは月着陸を目指すアポロ11号の船長に選ばれた。

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パウロ 愛と赦しの物語

11月3日(土)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

ひたすら地味で、暗く、つまらない

 西暦67年のローマ。ネロ帝は数年前に起きた大火の責任を、当時帝国内に目立ちはじめたキリスト教徒になすりつけ、市内では大規模なキリスト教徒の弾圧が行われていた。ローマ滞在中の使徒パウロも、放火の首謀者として囚われの身。だが今や処刑を待つばかりの彼を、かつて旅を共にした医者ルカが訪ねてくる。最後にパウロの旅と信仰の記録を聞き取って書き写し、迫害の中で苦しむ各地のキリスト教徒たちに伝えるためだ。看守に賄賂を渡し、命がけでパウロの牢獄を訪ねるルカ。だがこのことは、獄舎の長官であるマウリティウスにもすぐ知られてしまう。彼には娘があり、今は重い病に苦しんでいる。だが「ルカは優秀な医者だ。彼なら娘を治せる」と言うパウロの言葉に、マウリティウスが耳を貸すことはない。キリスト教徒の助けを借りることで、ローマの神々の怒りを招くことを恐れているのだ。だが娘が危篤状態になったとき、彼はついにルカに助けを求める。

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未来を花束にして

1月27日(金)公開 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

100年前のイギリスで女性の参政権を求めて戦った人たち

未来を花束にして

 20世紀初頭のイギリス。子供の頃から洗濯工場で働くモーラは、配達の途中で過激な婦人参政権活動家たちのデモに巻き込まれる。当時のイギリスでは女性たちに参政権がなく、社会的な権利もほとんど保障されていない。権利を求める女性たちの声は、政治家たちに無視され、社会からも無視され、マスコミも完全に沈黙していた。活動家たちが時に暴力的な示威行動を起こすのは、自分たちの主張を「社会的な事件」として認知させるための作戦だ。モーラにとってこうした活動は他人ごとだったが、働いている工場で活動家の女性と知り合いったことで変化しはじめる。下院の公聴会で、工場労働の実態を証言することになったのだ。彼女の言葉に、議員たちも深い同情を示す。だが、結果は何も変わらなかった。変わったのは、モーラも活動化の一員として警察にマークされるようになったことだ。モーラは逮捕され、夫とは離婚。子供は奪われ、工場もクビになってしまう。

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沈黙 ーサイレンスー

1月21日(土)公開 TOHOシネマズ 日本橋ほか全国ロードショー

神は沈黙し、主人公は饒舌に語る

沈黙 ーサイレンスー

 17世紀初頭。キリスト教が禁じられた日本では宣教師たちが海外に追放され、あえて日本に残ろうとした宣教師たちは棄教を迫られ殉教していった。ポルトガルのイエズス会修道会に、フェレイラ神父棄教の知らせが届いたのはそんな時代だった。彼の教え子であるロドリゴ神父とガルペ神父には、そのことがまったく信じられない。ふたりは真相を調べ、孤立した日本のキリスト教徒の信仰を途絶えさせないため日本に向かう。途中マカオで日本人漁師のキチジローと出会い、彼の手引きで長崎の寒村に上陸した神父たちは、そこで潜伏キリシタンたちの素朴で力強い信仰に感動するのだった。だが奉行所の詮議が厳しくなる中で、間もなくふたりは捕らえられてしまう。ロドリゴは牢の中でも日本人キリシタンたちのために神父としての勤めを続けるが、棄教しないキリシタンに対する奉行所の処置は情け容赦が無い。やがてロドリゴの前に、日本人になったフェレイラが現れる。

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アイヒマンを追え ナチスが最も畏れた男

1月7日(土)公開 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

ナチス高官アイヒマン逮捕の舞台裏

アイヒマンを追え ナチスが最も畏れた男

 1950年代後半のドイツ・フランクフルト。自宅の風呂場で眠りこけた検事長のフリッツ・バウアーは、浴槽で溺死する寸前に運転手に救出されて病院に搬送される。命に別状はなく、1週間後には仕事に復帰するバウアー。だが表向き彼に見舞の言葉をかけながら、彼が死ななかったことを残念に思う者たちも多い。戦後12年で目覚ましい復興を遂げたドイツだが、政府や官公庁の主要ポストに座っているのはかつてのナチス幹部たちなのだ。彼等の旧悪は隠蔽され、罰せられることはない。そんな中で、ナチスの高官たちを追うバウアーの捜査は厄介な存在なのだ。ひとりのナチス高官の逮捕で、他の元幹部たちまでが芋づる式に検挙される可能性がある。そんなわけで、バウアーは他の検事たちの妨害や、有形無形の脅迫にさらされているのだ。そんな彼のもとに、アルゼンチンから1通の手紙が届く。それは逃亡中のナチス高官アドルフ・アイヒマンについての情報だった。

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本能寺ホテル

1月14日(土)公開 TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー

このアイデアならもっと面白くなるでしょ?

本能寺ホテル

 婚約者の両親に会うため京都を訪れた倉本繭子は、ホテルの予約ミスから、町外れの「本能寺ホテル」に泊まることになった。アールデコ風のレトロなホテル。繭子がエレベーターに乗って自分の部屋に向かうと、降りたところは天正10年6月1日の本能寺だった。有名な「本能寺の変」は明日に迫っている。繭子は事情がよくわからないまま現代と過去を何度が往復し、織田信長本人とも直接言葉を交わすようになる。「脅かすようにして他人から宝物を取り上げるのはよくありません」「あなたの周囲にいる人たちは怯えるばかりで少しも幸せそうには見えません」など、天下人の信長に対してズケズケとものを言う繭子。だが信長と親しくなったからには、あのことを本人に告げるべきではないのか? それは明智光秀の謀反によって、間もなく信長の命運がつきるということだ。しかしそれを本人に告げれば、歴史が大きく変わってしまう。繭子はどうすればいいのだろうか。

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海賊とよばれた男

12月10日(土)公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

『永遠の0』の原作・監督・主演チームが再結集

海賊とよばれた男

 終戦から間もない昭和20年8月。国岡商店の本社に集められた社員たちに向けて、店主(社長)の国岡鐵造はこう宣言する。「日本は石油を求めてはじめた戦争に敗れた。だが荒廃した国家の復興に必要なのもまた石油である。国岡商店は石油の商いで、日本の復興に尽力する!」。売るべき石油がない中で、従業員の整理はしないという決意は無謀にも思えたが、ここから戦後大発展を遂げる国岡商店が新たにスタートしたのだ。鐵造はこの再始動の日に、石油の商売をはじめた若き日のことを思い出していた。これからは石油の時代だと信じて独立したものの、当時は石炭全盛時代。機械油などの小さな市場に多くの競合がひしめき合い、国岡商店は苦戦を強いられていた。準備していた資金を使い果たして廃業も覚悟した時、鐵造はとんでもない商売を思いつく。小型船向けの燃料を安く仕入れ、船に積み込んで海上で売るのだ。人々は鐵造を「海賊」と揶揄するようになった。

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