キング

10月25日(金)公開 アップリンク渋谷・吉祥寺にて公開

シェイクスピアの世界を大胆に翻案

 15世紀初頭のイギリス。イングランド王ヘンリー4世の嫡男ハル王子は父親と対立して宮廷を離れ、放蕩無頼の生活に身を落としていた。病身の父王は王子を廃嫡し、弟トマスに王位を継がせると宣言。しかしトマスはウェールズとの戦いで命を落とし、ハル王子は宮廷に呼び戻されて、父王の死後ヘンリー5世として即位する。だが宮廷内にはこれを好ましく思わない者たちも多い。新王に対する暗殺計画は未然に防ぐことができたが、フランスも暗殺者を送り込んで王位を脅かす。ヘンリーはフランス出兵を決めたが、信頼できる側近がいないのは大きな弱味。彼は放蕩時代の仲間だったフォルスタッフを宮廷に召し出して要職に就けたものの、こうした人事を好ましく思わない者たちの心はむしろ離れて行く。フランスに攻め込んだイングランド軍は上陸地点に近い城を落とすと、さらに内陸へと進軍。しかしその行く手には、フランス王太子ルイが率いる大軍が待ち構えていた。

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帰ってきたムッソリーニ

9月20日(金)公開 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開

徹底した二番煎じが清々しい

 第二次大戦中のイタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニ。イタリアが1943年に降伏した後もイタリア社会共和国の指導者として戦争を指揮したが、1945年4月にパルチザンに身柄を拘束されて処刑される。享年61歳。ところがその男が、突然現代に蘇る。「ムッソリーニのそっくりさん」である彼を発見したのは、テレビ局の売れない下っ端職員カナレッティだ。彼は手始めにムッソリーニを連れてイタリア中を歩き、各地で人々の暮らしや政治に対する不満の声を拾って動画サイトにアップする。ムッソリーニはあっという間に動画サイトの人気者。となれば次は、地上波テレビだ。テレビ局はムッソリーニを、毒舌のスタンダップコメディアンとして売り出す。ムッソリーニは持ち前の弁舌の才能で、あっという間に視聴者の心をわしづかみにしてしまった。だがカナレッティは自分の拾ってきた男がムッソリーニに似た芸人ではなく、本人であることに気付いてしまう。

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ピータールー マンチェスターの悲劇

8月9日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国公開

人間の姿は200年たっても変わらない

 1815年。ウォータールーの戦いでナポレオンが敗れた。連合軍を率いたウェリントン公爵は、救国の英雄として讃えられる。だが戦闘に参加した末端兵士たちは、何の恩賞もないまま貧しい生活に戻って行くしかない。マンチェスターの我が家に戻ったジョシュアも、そんな貧しい兵士のひとりだった。当時のマンチェスターは繊維産業が盛んで、彼の家族も織物工場で働いている。だが戦後の不景気で労働者の賃金は削られ、生活はますます貧しくなっていく。しかも当時のイギリス議会には、こうした貧しい労働者の声が届かなかった。労働者階級には選挙権がなく、普通選挙を求める者は革命を求めるに等しい過激派だと思われていたからだ。それでもマンチェスターの労働者たちは普通選挙を求め、有名な演説家のハントを招いて大規模な集会を開催しようとする。ハントは政治家や軍に妨害の口実を与えぬよう、市民は非武装で集会に参加するよう指示したのだが……。

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KESARI ケサリ 21人の勇者たち

8月16日(金)公開 新宿ピカデリーほか順次公開

サラガリ砦の攻防はインド版アラモの戦いだ

 19世紀末。イギリス統治下のインド北部。現在はパキスタン領になっている山岳地帯の警備を任されているのは、少数のイギリス仕官とシク教徒の兵士たちだった。シク教徒のイシャル・シン軍曹は、上官の命令に逆らってパシュトゥーン人女性を救出したことから、辺境のサラガリ砦に左遷される。サラガリ砦は小さな通信中継地で、隊長になったイシャルの部下は訓練の行き届かない20人のシク兵のみ。イシャルは大急ぎで彼らを兵士として鍛え直す。だが同じ頃、パシュトゥーン部族たちはイギリス軍への大規模な叛乱を企てていた。これまでは個別にイギリス軍と戦ったため、あっという間に蹴散らされてしまった。部族同士で連合軍を作り、周辺の砦を一つずつ攻撃すれば、圧倒的な数で優るパシュトゥーン人たちの勝利だ。最初の攻撃目標は、警備兵の数が少ないサラガリ砦。1897年9月。1万人のパシュトゥーン人たちが、イシャルたちの守る砦を取り囲んだ。

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COLD WAR あの歌、2つの心

6月28日(金)公開 ヒューマントラストシネマ有楽町

愛すればこそ苦しむ恋人たち

 第二次大戦直後のポーランド。国内各地の民族音楽を収集しながら、若い歌い手や踊り手を捜し求める人々がいた。彼らは国立音楽舞踊団のメンバーを集めているのだ。スカウト活動に参加していた音楽家のヴィクトルは、オーディションに参加したズーラという歌い手に目を引かれる。彼の推薦で入団したズーラはたちまち花形歌手として脚光を浴びるようになり、ヴィクトルとの間に恋愛関係も芽生えた。だが政府の監視を受けるようになっていたヴィクトルは、舞踏団の東ベルリン公演を機会に西側に脱出。彼はもともとズーラと一緒に亡命するつもりだったが、彼女はなぜか待ち合わせ場所に現れなかった。数年後。パリでジャズピアニストとして活動していたヴィクトルは、公演でパリにやって来たズーラと再会する。その後何度かのすれ違いを経て、ふたりはようやくパリで一緒に暮らすようになった。だが気性の激しいズーラは、頑固なヴィクトルとの衝突も多かった。

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日本のいちばん長い日

6月28日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

戦争をやめられない日本人たち

 1945年7月26日。アメリカ、イギリス、中国の連名で、日本に対する降伏要求の最終宣言(ポツダム宣言)が発表された。ソ連を仲介に終戦交渉を模索していた日本は、この宣言にソ連の署名がないことから受諾を保留。だがずるずると日を経るうちに、8月6日には広島に原爆投下、9日には中立国だったはずのソ連が日本に宣戦を布告。さらに同日、長崎に2発目の原爆も投下される。軍部はそれでもなおポツダム宣言受諾に強硬に反対していたが、10日未明の御前会議で聖断がくだって宣言受諾の政府方針が確定する。しかしこの後も天皇の地位(国体)を巡って政府内で細かな調整に決着が付かず、14日に再度の御前会議でようやく宣言受諾が確定した。翌日正午から、天皇自らが国民に向けて終戦を宣告する放送が行われることも決まった。だが天皇が読み上げる終戦の詔書の文言確定と録音は14日深夜に及んだが、これはその後の事件の序章に過ぎなかった。

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八甲田山

6月14日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

主人公たちの関係はBLである

 明治34年秋。ロシアとの戦争が目前に迫る中、寒冷地での行軍を想定した八甲田山踏破演習が計画される。参加するのは青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊。二隊から同時期に演習に出発し、八甲田山の中で両者がすれ違うという想定だ。弘前連隊側の指揮を任された徳島大尉は、八甲田山を大きく迂回して東南方面から山に入る10泊200キロを超えの計画を立てる。青森連隊の指揮を任された神田大尉も小規模編成の演習を想定したが、大隊本部の山田少佐が弘前隊への対抗意識から大規模編成の演習を提案。山田少佐以下10数名が、大隊からの随行員として演習に参加することになった。翌年1月下旬。一足先に演習を開始した弘前隊は、計画ルートの要所では必ず現地案内人を雇って先に進んでいく。後発の青森隊も事前に案内人の手配をしていたが、同行した山田少佐が独断でこれを追い返し、地図とコンパスだけを頼りに雪の八甲田山に入って行くのだった。

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パドマーワト 女神の誕生

6月7日(金)公開 全国順次ロードショー

豪華絢爛なインドの王朝叙事詩

 13世紀末の西インド。若き王ラタン・シンに見初められ、パドマーワティは故郷シンガール王国からメーワール王国へと嫁いだ。だが同じ頃、北インドで勢力を伸ばしていたハルジー族のアラーウッディーンは、スルタンに即位していた叔父を暗殺して自らがスルタンの座を奪い取ると、強大な軍事力で周辺国を次々支配下に置いていく。世界中の宝物を手に入れた彼が次に願ったのが、絶世の美女パドマーワティを手に入れることだった。アラーウッディーンはメーワールに進軍し、大軍勢で城壁を取り囲む。だがメーワールの堅固な守りは、おいそれとは敵を近づけない。籠城戦を戦う大軍の維持にはコストがかかる。兵士たちの食料も尽きかけた頃、アラーウッディーンはメーワールに使者を立てて和睦を申し入れる。だがこれは、豪胆だが計算高い彼の用意周到な策略だった。アラーウッディーンと会談したラタン・シン王は、ハルジー朝の都デリーに連れ去られてしまう。

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風と共に去りぬ

5月31日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

80年たっても色褪せぬ古典的ロマンス

 南北戦争前夜の南部ジョージア州。広大な農場を持つ名門オハラ家の長女スカーレットは、幼なじみでもあるウィルクス家の長男アシュレーに恋い焦がれ、彼が別の女性と結婚するとの噂を聞きつけて彼を奪い取ろうとする。近隣の人々が集まる盛大なバーベキューパーティーの日、アシュレーは婚約者のメラニーを人々に紹介し、スカーレットの求愛をはねのけた。これを偶然目撃したのが、チャールストンから来たレッド・バトラーだった。「盗み聞きなんて紳士のやることじゃないわ!」「そういう君も淑女とは言えんね」。だがその場に届いたのは、ついに戦争が始まったという知らせ。スカーレットはアシュレーへの当てつけのように、自分に熱を上げるメラニーの兄チャールズと、愛のないまま電撃的に結婚してしまう。意気揚々と戦場に向かう男たちだったが、チャールズは出生直後に戦病死。彼女はあっという間に未亡人になってしまう。そこに再びレッドが現れる。

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芳華 Youth

4月12日(金)公開 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

1970年代が舞台の中国版『四十二番街』

 1970年代の中国。人民解放軍で兵士たちの慰問などを行う芸能部門「文工団」の地方部隊に、17歳の少女・小萍(シャオピン)が入隊する。ダンスの才能を見込まれて異例の時期の入隊だったが、地方出身で野暮ったい彼女は団員たちの笑いもの。他の寮生の軍服を無断で借りて写真館で写真を取ったことがばれると、「泥棒」「嘘つき」と同僚たちのいじめのターゲットになってしまう。そんな彼女に分け隔てなく親身になってくれるのは、文工団の模範生・劉峰(リウ・フォン)だけだった。だが彼は団の歌姫・丁丁(ディンディン)に密かに思いを寄せている。ある日とうとう自分の思いを彼女に打ち明けた劉峰は、その現場を他の団員に目撃され、丁丁の不正確な証言もあって実戦部隊に転属させられてしまった。ひっそりと文工団を去る劉峰を見送ったのは、小萍だけだった。間もなく小萍も退団。しかし1979年に勃発した中越戦争が、二人の運命を狂わせていく。

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