グレート・インディアン・キッチン

1月21日(金)公開 新宿ピカデリーほか全国順次公開

男たちは女性蔑視や女性差別に気付かない

グレート・インディアン・キッチン

■あらすじ

 結婚したばかりの若いカップル。夫は女学校の社会科教師で、生徒に対して家庭の大切さを語る好青年。妻は高等教育を受けて外国育ちのダンス教師。インド式の伝統的な結婚式が盛大に行われ、二人には幸せな未来が約束されていた。

 妻は夫の家族と同居することになる。家族は新妻を優しい笑顔で迎え、妻も家族の期待に応えようとする。妻の仕事の第一は家事だ。義母を手伝いながら、少しずつ家の仕事を憶えていく妻。戸惑うことも多いが、嫁したからには婚家の流儀を覚えるのも妻のつとめだ。

 そんな中で、義妹の出産を手伝うため、義母がしばらく家を空けることになった。家に残った妻に、一切の家事が重くのしかかる。男たちは家事にノータッチ。義父や夫の家事に対する細かなダメ出しがあるが、それに応えることが妻のつとめ。日々の家事仕事で疲れ切った妻の顔からは、嫁いできたばかりの頃に見せていた明るい笑顔が少しずつ消えて行くのだった。

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犬部!

7月22日(木・海の日)公開予定 全国ロードショー

主人公たちの戦っている相手が見えない

■あらすじ

 秋田の獣医大学に通う花井颯太は、人並み外れた犬好き。親しい友人たちは彼を「犬バカ」と呼ぶ。ある日、彼は迷い犬を一匹保護する。張り紙を作って飼い主を探したところ、それはすぐに見つかった。犬は大学の安室教授が管理していたのだ。ということは……。

 教授は外科実習の担当だ。愛護センターから殺処分予定の犬をもらい受け、生体を使った解剖実習を行っている。保護した犬はその実習教材。この犬を教授に返せば、実習で殺されてしまうことになる。颯太は一度は犬を教授に引き渡したのだが、しばらくすると犬はまた逃げて颯太のもとに戻って来てしまう。もう犬は渡せない。颯太の思いつめた様子を見て、教授は犬を颯太に引き渡すことにした。

 この出来事をきっかけに、大学に「犬部」が誕生する。メンバーは愛護センターから犬や猫を引き取って、新しい飼い主を探すのだ。

 それから16年。颯太は東京都内で自分の動物病院を開いていた。

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新聞記者

6月28日(金)公開 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

政権批判の話題作だが映画としては落第点

 東都新聞の女性記者・吉岡のもとに、1通の匿名FAXが送られてくる。それは国が進めている大学新設計画に関する資料だった。重大な内部告発だが、情報発信元がわからないのでは情報の裏取りが出来ない。情報の信憑性について検証すると共に、吉村は情報提供者の正体を探り続ける。同じ頃、外務省から内閣情報調査室(内調)に出向中の若手官僚・杉原は、新人時代の上司だった神崎に呼び出される。現在杉崎は内調の上司に命じられるまま、政府のためのネット情報工作に従事していた。そこでは情報の隠蔽や秘匿、敵対陣営へのネガティブ情報の流布、虚偽情報の捏造など、やりたい放題だ。かつて自分に国民のために働く官僚の心構えを説いてくれた神崎を前に、恥ずかしげに現在の自分の境遇をぼやいてみせる杉原。だがそんなかつての部下に、「皮肉なものだ。かつての自分に叱られるとは」と悲しげな笑みを浮かべる神崎。彼はその直後に、自殺してしまった。

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フロム・ノーウェア

公開未定

アメリカの不法移民問題を高校生の視点から描く

フロム・ノーウェア

 ブロンクスの高校で卒業間近のクラスを受け持っているジャッキーには、特に気にかけている3人の生徒がいる。真面目で勉強熱心なムーサ、いつも不機嫌な顔をしているソフィー、学校で一番の優等生アリッサだ。じつは彼らは、ギニア、ドミニカ、ペルーから、子供の頃にアメリカに不法移民してきている。アメリカの国籍も市民権もないため進学に支障が出るのはもちろん、警察に捕まれば「祖国」に強制送還されかねない不安定な身の上なのだ。ジャッキーから彼らを紹介された弁護士は、難民申請するためには祖国に戻れない客観的な根拠が必要だという。祖国が危険な場所である根拠はあるのか。家族や親戚が迫害や拷問を受けた証拠はあるのか。だが幼い頃にアメリカにやって来た彼らには、祖国についての記憶も、必要な書類も存在しないのだ。中でもムーサとソフィーは家庭内にそれぞれ大きな問題を抱えており、市民権獲得は彼らの人生にとって喫緊の課題だった。

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モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ

第28回 東京国際映画祭 コンペティション

病気の夫を持つ妻が見た医療制度の闇

Un Monstruo de mil cabezas

 その夜、痛みの発作に悲鳴を上げる夫の声でソニアは目を覚ました。彼女の夫はガンなのだ。駆けつけた緊急医は入院を勧めるが、夫の治療を病院が許可しないため長く自宅で待機させられている。だがこうなったら、もう待つことはできない。ソニアは書類をまとめて、病院の担当医に掛け合いに行く。だが懸命に交渉する彼女を置き去りに、担当医師は帰宅してしまうのだ。あわてて病院を出たソニアは、彼を追って自宅を直撃。相手がのらりくらりと言い訳することに業を煮やして、彼女はいきなり銃を突きつけた。知らされたのは、何ともひどい病院の実態。目の前の担当医師は保険会社からリベートを受け取り、患者の治療を拒否するのが仕事なのだ。彼には治療を拒否する権限はあっても、それを許可する権限はない。「誰なら許可できるの?」「保険会社のCEOなら」。ソニアはCEOがいるスポーツクラブで彼に銃を突きつけるが、そこに突然銃声が鳴り響いた……。

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怒れ!憤れ! ステファン・エセルの遺言

怒れ!憤れ! ステファン・エセルの遺言

ステファン・エセルの著書をガトリフ流に自由に翻案

 仕事とより豊かな生活を求め、アフリカからヨーロッパに密航してきた少女。だが上陸したギリシャは貧しく、首都アテネでは街のあちこちに若いホームレスがあふれている。行くあてもないまま、少女は街頭で警察に身柄を取り押さえられて強制送還。だが彼女はあきらめない。再度の密航。今度の行き先はパリだ。しかしそこにも貧しい若者たちがあふれ、少女は風のように街をさまよう。警察による身柄拘束。指紋からギリシャでの逮捕歴が発覚し、彼女はアテネへと送還。貧しい不法移民を束ねて街頭でミネラルウォーターを売らせるグループに声をかけられるが、1本1ユーロの水売りではただ生きているだけの暮らしだ。彼女は再度密航する。次の行く先はスペイン。そこでは若者たちの大規模なデモが行われていた。2011年の夏。ヨーロッパ中の若者たちの怒りが熱く燃え上がっていた。傍観者だった少女も、やがて怒れる若者たちの群れの中に身を投じるのだった。

(原題:Indignados)

3月1日(土)公開予定 新宿K’s cinema
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