アルプススタンドのはしの方

 7月24日(金)公開 シネマカリテほか全国順次公開

舞台劇を映画化した青春群像劇

 夏の高校野球全国大会。埼玉県立東入間高校は念願の甲子園出場を果たし、教員や在校生有志がバスで応援席に送り込まれていた。その中には、野球のルールがよくわからないままやってきた演劇部の生徒や、野球を諦めた元野球部員、ガリ勉タイプでスポーツと縁のなさそうな女子生徒なども混じっている。試合はピッチャーの好投もあって接戦だが、相手チームが甲子園常連の優勝候補とあって一瞬も気が抜けない。そんな試合を冷ややかに見ていた元野球部員の藤野は、自分が野球を辞めた理由を演劇部の安田に話す。その安田も、打ち込んできた演劇部での活動を引退するにあたって、胸の中に大きなわだかまりを抱えていた。試合は相手チームが先制。炎天下の甲子園球場応援席で、高校生活最後の夏が、悔いを残したま終わろうとしている。そんな中、試合では味方チームが相手に食い下がり、得点差を少しずつ詰め始める。そして9回。試合は一打逆転のチャンスを迎えた。

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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

6月12日(金)公開 全国ロードショー

名作「若草物語」の最新映画版

 ニューヨークで作家修業中のジョーは、マーチ家四人姉妹の次女だ。長女のメグは既に結婚して二児の母。三女のベスは身体が弱くて、実家で母と暮らしている。四女のエイミーは資産家の伯母に連れられて、パリで絵の勉強をしている。必死の売り込みでようやく作家としての入口に立ったジョーは、まだ姉妹が実家で一緒に暮らしていた頃のことを思い出す。

 北軍の従軍牧師として出征し、長く家を留守にしている父。不在の父にかわって、一家の大黒柱となっている母。隣人ローレンス氏の思いやり。ローレンス氏の孫、ローリーとの友情。そんな中で、ベスが猩紅熱にかかったのは家族にとって大きな事件だった。しかし家族の必死の看護もあって、ベスは一命を取り留める。他人が見れば何でもない出来事も、姉妹たちにとってはかけがえのない日々だった。しかしそれから7年たった。四姉妹の少女時代は終わったのだ。時の流れは、否応なしに家族の姿を変えていく。

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恋人同士が出した人生の結論は?

 高校生時代に知り合って恋人同士になった井川迅と日比野渚。だが迅の大学卒業を間近にして、渚は突然別れを切り出して離れて行った。それから8年。都会を離れた田舎町で自給自足に近い生活をしている迅のもとに、突然渚が現れる。しかも小さな女の子・空を連れて。彼女は渚の子供なのだという。プロサーファーを目指して海外に渡った渚は、そこで通訳の日本人女性と知り合って結婚。娘が生まれたが、今は離婚に向けて別居中なのだという。「どうして今さら戻ってくるんだよ。やっと忘れられそうだったのに」「俺にとって、やっぱり迅は特別なんだ」。ぎこちなく、離れ離れだった時間を取り戻していく二人。そこに渚の妻・玲奈がやってきて、強引に空を連れ去ってしまう。渚と玲奈は、離婚後の空の親権を争っているのだ。社交的な渚と同居することで、迅の生活も少しずつ変わっていく。地域の人たちと触れあう機会も増えた。渚も新しい仕事を見つけて働きだす。

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ウエスト・サイド物語

11月29日(金)公開 午前十時の映画祭10FINAL

見出し(1行)

 ニューヨーク、ウエスト・サイド。ポーランド系アメリカ人の不良グループ「ジェット団」のメンバーは、最近になって衝突が絶えないプエルトリコ系の不良グループ「シャーク団」にいら立っていた。ジェット団のリーダーであるリフは、相手との決闘で決着を付けることに決める。そうなれば、ジェット団の創設メンバーであり、リフにとっての親友、兄貴分でもあるトニーに加勢を頼みたい。リフはトニーを説き伏せて、その晩決闘を申し込むパーティ会場にだけは来てくれるよう約束を取り付けた。だが約束通り会場に現れたトニーは、その場にいた一人の少女に恋をする。それはシャーク団のリーダー、ベルナルドの妹マリアだった。マリアも一目でトニーに心引かれ、ふたりはその後、翌日の再開を約束して別れた。そして翌日、ジェット団とシャーク団がその夜決闘すると知ったマリアは、トニーにそれを止めてくれるよう頼む。これが大きな悲劇につながるとも知らずに。

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ファイティング・ファミリー

11月29日(金)公開 全国ロードショー

実話ベースの家族の愛のドラマ

 ナイト一家はイギリス東部のノリッジを拠点に、WAWという小さなプロレス団体を主催している。父リッキーと母ジュリアもプロレスラー。長男のロイと次男のザックも子供時代からリングに立っていたが、娘のサラヤも13歳でプロレスデビューした。家族の夢は、子供たちが世界一のプロレス団体WWEのレスラーとして、世界の檜舞台に立つことだ。だが長男のロイはトライアウトで選に漏れて脱落。一家の夢を背負って、新たなトライアウトにザックとサラヤが挑む。ザックは今やWAWを支える花形レスラーに育っている。だが、WWEに選ばれたのはサラヤだった。自分は兄の夢を奪ってしまったのではないかと悩むサラヤ。だがアメリカの訓練施設で彼女を待っていたのは、子供時代から鍛えてきた彼女ですら音を上げそうになる苛酷なトレーニングだった。心身共に打ちひしがれたサラヤは、休暇の一時帰省中、兄のザックにWWEを辞めたいと打ち明けたのだが……。

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失くした体

11月22日(金)公開 全国ロードショー

体は消えても触れた手の記憶は残る

 冷蔵庫の中に保管されている、切断された人間の右手首。それは1人の青年の体から切り離されたものだった。手首は冷蔵庫を脱出すると、自分の身体を探す長い長い旅に出る。そこで思い出されるのは、青年の過ごしたこれまでの人生だ。そこにはいつも、右手首が一緒だった。両親と共に過ごした、幼い頃の幸せな暮らし。家族で出かけた海水浴。家族で出かけたドライブ。だがその幸せな暮らしは、交通事故で一変してしまう。天涯孤独の身の上になった少年は、やがて青年になる。そんな彼の暮らしを変えたのは、バイト先で出会った一人の女性への恋心。彼は彼女と親しくなるため仕事を変える。口下手だった青年は、この恋をきっかけにして積極的になるのだ。だが一体なぜ、手首は切断されてしまったのだろう。手首を失った青年の体はどこにあるのだろう。手首は青年の元に無事たどり着くことができるのだろうか。やがて物語は、思いがけない結末を迎えることになる。

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CLIMAX クライマックス

11月1日(金)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開

こうしてパーティ会場は地獄に変貌した!

 オーディションで集められた若いダンサーたちが、海外公演に向けた合宿練習の打ち上げパーティを始める。合宿所の広いダンスフロアがパーティ会場になり、この日は少し羽目をはずしてもおとがめなし。だがダンサーたちの様子が少しずつおかしくなる。誰しも感情と行動に歯止めがきかなくなり、ささくれ立った言葉と暴力が交錯する事態に。誰かが飲み物にドラッグを入れたらしい。でも誰が、何のために? ドラッグで抑制が効かなくなった若者たちは、ヒステリックな声上げながら飲み物に手を出さなかった仲間が怪しいと決めつける。だがそれで問題が解決するわけではない。アルコールとドラッグで酩酊状態になった若者たちが生み出すカオス。その中で女性マネージャーの連れて来た幼い子供が、ドラッグ入りの飲み物に口を付けてしまう。母親は子供を安全な場所に隔離するため配電室に閉じ込めるが、これがさらなる事態の悪化を招くことになってしまうのだ……。

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楽園

10月18日(金)公開 全国ロードショー

これが田舎暮らしのリアルだ

 田園風景の中で、高齢化と人口減少が続く地方の小さな町。そこから1人の少女が消えた。小学校の帰り道にY字路で友人と別れた後、そのまま行方不明になったのだ。町中総出の捜索が行われるが、見つかったのは置き去りにされたランドセルだけだった……。それから12年後。消えた少女と最後に一緒にいた紡は、中古品の移動販売をしている豪士と親しくなる。豪士は子供の頃、母親と一緒に難民として日本にやって来た。友人も少なく、周囲からは孤立している。紡は豪士の孤独に、自分自身の孤独を重ね合わせたのだ。だが村祭りの夜、再び村で少女が行方不明になる。村人たちから「あいつが怪しい。12年前の事件もあいつが」と名指しされたのは豪士だった。人々は豪士が暮らす家に殺到し、帰ってきた豪士を追いかけ回す。そこにあるのは明確な殺意だった。豪士はあわてて近くの店に飛び込み、片言の言葉で助けを求めるが通じない。そして、凄惨な事件が起きる。

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惡の華

9月27日(金)公開 全国ロードショー

お前はド変態のクソムシ野郎だ!

 中学2年生の春日高男は、自分を取り囲む環境にうんざりしていた。ボードレールの詩集「惡の華」の世界に耽溺しながら、自分以外にそんなものを理解する人は誰もいない。友人たちが興味津々にセックスの話ばかりしているのもくだらない。だがそんな春日にも、気になる女子生徒がいる。それは他の男子生徒も憧れている佐伯奈々子。ある日教室に忘れ物を取りに戻った春日は、棚から落ちている彼女の体操着をふと拾い上げ、そのまま家に持ち帰ってしまった。翌日そっと返そうと思ったが、既に「体操着が盗まれた」と大騒ぎでそれどころではない。何もできないまま家路につく春日に、クラスの中でも嫌われ者の女子生徒・仲村佐和が声をかける。彼女は春日が体操着を盗んだことを知っていた。仲村は春日の弱みに付け込んで、強引にひとつの契約を交わす。それは春日が仲村の言うことを、何でも聞かねばならないというもの。仲村の要求は、過激で変態的なものだった。

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時計じかけのオレンジ

10月4日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

辛辣すぎて観客を凍り付かせるブラックコメディ

 高校生のアレックスは暴力に夢中になっている。夜な夜な仲間たちとミルクバー(麻薬入りのミルクを飲ませる店)に集まり、高揚した気分で街に獲物を探しに行く。彼らは薄汚いホームレスを袋叩きにしてウォーミングアップしたあと、他のギャンググループと乱闘して汗を流し、最後はお高くとまったインテリの家を襲撃して鼻歌まじりに女をレイプし、夫を叩きのめすのだ。仮病を使って学校を休み、レコード店で二人組の女の子をナンパして3Pセックスにふける。アレックスの強権体制に反抗的な仲間を暴力で屈服させたまではよかったが、強盗に入った家で女を殺したのはまずかった。仲間はさっさとアレックスを見捨てて逃げ出し、彼はひとり刑務所に入ることになった……。14年の刑を受けたアレックスは、牧師お気に入りの従順な模範囚を演じることで脱出の機会を狙っている。唯一のチャンスは、心理学の理論を応用した最新の矯正プログラムを受けることだった。

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