ゴジラ×コング 新たなる帝国

4月26日(金)公開 全国ロードショー

キングコングは暴虐の王を倒す!

■あらすじ

 ゴジラとコングの死闘から数年後。コングは地下世界へと移り住み、ゴジラはローマのコロッセオをねぐらにしつつ、時折現れる怪獣と戦っていた。両雄並び立たず。ゴジラとコングは別々の場所で暮らすことで、世界を破滅させかねない決定的衝突を避けていた。

 そんな平和な世界に警告を発するように、地下世界から特異な電波信号が発信された。地下世界を監視するため未確認生物特務機関「モナーク」が設営した基地は、何者かに破壊されてしまう。様子を探るには、地上から探査チームを派遣するしかない。アイリーンは養女になったジア、旧知のバーニーやトラッパーと共に地下に向かう。

 地下世界では、コングが自分と同じグレイト・エイプの群れに出会った。だがその群れは、暴君スカーキングに支配されている。太古の昔、スカーキングは世界支配を目論んで地上を目指したが、ゴジラに撃退されて地下世界に閉じ込められた。スカーキングは再び地上を目指す。

■感想・レビュー

 2021年の『ゴジラvsコング』に続く、モンスター・ヴァース・シリーズの第5作目。地上の支配を狙う地下世界の覇者スカーキングの野望を、キングコングとゴジラが協力して打ち砕くという物語だ。

 コングはともかく、ゴジラは「自分の立場を脅かしそうな強敵が現れれば、とにかくぶっ倒す!」という闘争本能だけで生きている。この暴力の化身のようなモンスターを、いかにしてコングとのタッグマッチに持っていくべきか。海を越え山を越え、ひたすらコングに向かってくるゴジラの姿は、その先に戦いがあるとはいえ、まるで別れた恋人との再会に向けてひた走る乙女のような健気さがある。

 というわけで映画クライマックスの死闘までは大変盛り上がるのだが、実際に戦いが始まってしまうと「あれ? こんなはずじゃなかったんだけどな」という気持ちになってしまった。巨大モンスターであるはずのスカーキングが、なぜかあまり大きく見えないのだ。

 スカーキングとコングが戦うと、それは単に、ゴリラとオランウータンが取っ組み合いのケンカをしているようにしか見えない。モンスター同士の戦いをどの視点から画面に捉えるかというカメラワークの問題もありそうだが、見慣れた姿のものをただ風景の中にはめ込んでも、それだけでは大きく見えないのかもしれない。

 物語としては、コングとジアの境遇を重ね合わせながら、コングとグレイト・エイプ族との合流、ジアとイーウィス族との合流が描かれる。コングは仲間と共に地下世界で暮らすことになる。ジアは地下世界で暮らす同族たちのもとで暮らすかどうかで葛藤する。

 ただしジアのエピソードは、物語全体の中ではスパイス程度の役目しか果たしていない。今回中心になるストーリーは、孤高の英雄キングコングが、暴君スカーキングの圧政に苦しむ仲間たちを開放する「革命」のドラマなのだ。

 僕が本作に期待していたのは、もっと圧倒的な暴力なんだけどな……。

(原題:Godzilla x Kong: The New Empire)

TOHOシネマズ日比谷(スクリーン5)にて 
配給:東宝 
2024年|1時間57分|アメリカ|カラー|サイズ 
公式HP:https://godzilla-movie.jp/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt14539740/

Godzilla x Kong: The New Empire (Original Soundtrack) [Analog]

Holkenborg, Tom / Di Lorio, Antonio(アーティスト)

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