スガラムルディの魔女

男たちは魔女の晩餐会のメインディッシュだった!

11月22日(土)公開予定
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

スガラムルディの魔女

 人通りの多いマドリード繁華街のど真ん中で、白昼堂々起きた貴金属店襲撃事件。それはバツイチのダメ男ホセが、人生の一発逆転を賭けて挑んだ大博打だった。もくろみ通り数万個の金の指輪を奪うことに成功したホセは、息子のセルジオや仲間のアントニオと近くを通りかかったタクシーを乗っ取って逃走。だが警察から知らせを受けたホセの元妻シルビアは、息子の携帯電波を手掛かりにホセたちを追跡し、強盗犯を追う刑事も彼女を追った。ホセたちの乗るタクシーはやがて、フランスとの国境に近いスガラムルディ村へ。そこはおぞましい魔女伝説の残る村だった。村の入口にある不気味な居酒屋と、そこに集う奇妙な人々。国境への道を急ぐホセたちは夜道でひとりの老婆をはねてしまい、直後に出会った彼女の家族だという中年女性に誘われるまま、彼らは村はずれの古い屋敷に招かれる。だがそれは現代に生き残る本物の魔女たちが、獲物を待ち構えるための罠だった。

 映画全編が女性に対する恐怖と憎悪で塗りつぶされているかのような、スラップスティック・ホラー・コメディ映画。物語の大まかな構造は、ヒッチコックの『サイコ』(1960)に似ている。『サイコ』は女性事務員の現金横領というサスペンスからモーテルで起きる連続殺人を描くサイコホラーになるが、本作は貴金属店への武装強盗というクライム・サスペンスから、魔女が登場するスーパーナチュラル・ホラーに移行するのだ。しかしそんな映画の中で一貫したモチーフになっているのは、やはり女性に対する恨み辛み。だがもう一方で、この映画では女たちによる男性に対する憎悪も描かれる。映画のクライマックスは大地の「母」を崇める女たちの大集会。その様子はロックコンサートかフェミニスト集会みたいなノリだ。男は女を敵視し、女も男を敵視する世界。しかしその中で、男と女は出会って恋をし、愛し合い、取って付けたようなハッピーエンドがやって来る。

 監督・脚本のアレックス・デ・ラ・イグレシアは、知る人ぞ知るスペインの大物監督。日本でも監督作のほとんどが紹介されているところをみると、映画業界内でも彼の作品が好きな人が多いのだろう。僕も『ビースト 獣の日』(1995)、『ペルディータ』(1996)、『どつかれてアンダルシア(仮)』(1999)、『みんなのしあわせ』(2000)など初期の作品を観て面白いと思った。『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)以降は日本で劇場公開になる作品がなかったが(DVDなどは出ている)、今回久々に彼の作品が劇場公開されるのは結構な話だ。イグレシア監督作の特徴は、物語が過剰なエスカレーションを遂げること。映画冒頭で怪しげな魔女がインチキくさい予言をしていた時点で、この映画のクライマックスを予見できる人はおそらく誰もいないだろう。あまりのことに、開いた口がふさがらない。これぞイグレシア作品の魅力だ!

(原題:Las brujas de Zugarramurdi)

松竹試写室にて
配給:松竹メディア事業部 宣伝:ブラウニー
2013年|1時間54分|スペイン|カラー|2.35:1|Dolby Atmos
公式HP:http://www.shochiku.co.jp/iglesia/
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt2404738/

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