ザ・ファブル 殺さない殺し屋

6月18日(金)公開 全国ロードショー

堤真一が演じた悪役の奇妙な魅力

■あらすじ

 ボスの命令でとある売春組織のメンバーを次々に始末していく、凄腕の殺し屋ファブル。彼はターゲットを始末した際に現場にいた少女を助けたが、彼女はこの出来事が原因で下半身不随となってしまう。

 それから数年後。殺しの仕事を離れて「普通の生活」をしているファブルこと佐藤明は、公園で下半身麻痺のリハビリをしている佐羽ヒナコに出会う。彼女はかつてファブルの殺しの現場に出くわして少女だった。ヒナコは小さなNPO団体の職員だが、代表の宇津帆という男はNPOや興信所を隠れ蓑にして悪どい仕事を重ねる裏社会の人間だ。

 宇津帆は自分のグループの新しいメンバーとして、元真黒組の井崎という男を引き入れる。彼はヒナコが出会った佐藤が真黒組の社員向け施設に暮らしていることを知り、宇津帆は佐藤が伝説の殺し屋ファブルであることを確信する。

 宇津帆にとって、ファブルは自分の売春組織を壊滅させ弟を殺した仇だった……。

■感想・レビュー

 南勝久の同名コミックを原作にしたアクション映画『ザ・ファブル』(2019)の続編。主演の岡田准一は勿論のこと、木村文乃、山本美月、佐藤二朗などのメンバーは前作から引き続き登板。佐藤浩市や安田顕もワンポイントで再登場し、佐藤と同じデザイン会社の同僚・貝沼役の好井まさおも、ちゃんと前作から引き続き出演している。江口カン監督も続投。脚本は渡辺雄介が降板して、山浦雅大と江口カン監督にバトンタッチした。

 映画は導入部でファブルの華麗な暗殺テクニックを見せた後、すぐに立体駐車場でのカーアクションになる。この滑り出しは上々で、これだけでも映画に払った入場料の半分ぐらいの価値はあると思う。映画にはこの後、古びたアパートでファブルを追い詰める殺し屋軍団との戦いがあるが、それ以外にも細かなアクションシーンが散りばめられていて飽きることがない。現在日本で作られているアクション映画の中では、トップレベルの水準の作品だと思う。

 今回の敵役は堤真一が演じる宇津帆という男なのだが、この男のキャラクターがちょっと面白いと思った。彼は一方で売春や誘拐、脅迫、殺人などの凶悪犯罪を行いながら、もう一方では子供の命を守るNPO活動をしている。このNPOは悪事の隠れ蓑も兼ねているのだが、それだけで講演会や現地視察、役所への陳情といった活動を続けることができるものだろうか?

 NPO活動のように周囲と社会的な接点が多い仕事は、悪事の隠れ蓑にはまったく向かない。たぶん宇津帆はそれなりの使命感や覚悟を持って、NPO活動をしているはず。このあたりは映画終盤で見せる彼の行動とも深く関わる、宇津帆という男が心の奥に秘めた謎の部分だと思う。それは映画の中では永遠の謎になってしまうのだが、その謎も含めて宇津帆という男の奇妙な魅力を形成することになる。

 原作はまだあるので続編に期待。三部作完結ならバランスも良さげだ。

《関連作品》ザ・ファブル

TOHOシネマズ錦糸町オリナス(スクリーン7)にて 
配給:松竹 
2021年|2時間11分|日本|カラー 
公式HP: https://the-fable-movie.jp/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt13017204/

ザ・ファブル [DVD]

ザ・ファブル [DVD]

posted with AmaQuick at 2021.07.20岡田准一(出演), 木村文乃(出演), 山本美月(出演), 福士蒼汰(出演), 柳楽優弥(出演), 向井理(出演), 佐藤二朗(出演), 光石研(出演), 安田顕(出演), 佐藤浩市(出演), 江口カン(監督)
松竹 (2019-12-25T00:00:01Z)
5つ星のうち4.1
¥3,630 (中古品)Amazon.co.jpで詳細を見る

ザ・ファブル 殺さない殺し屋」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 錦糸町で鯉口シャツを買ってくる | 新佃島・映画ジャーナル

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