THE BATMAN ザ・バットマン

2022年3月11日(金)公開 全国ロードショー

大人のための映像版グラフィックノベル

ザ・バットマン

■あらすじ

 犯罪と汚職が蔓延する巨大都市ゴッサムシティ。闇の中に跳梁跋扈する犯罪者たちを震え上がらせるのは、残念ながら警察ではない。犯罪者たちが恐れているのは、闇の中から現れる全身黒ずくめの男だった。その名はバットマン。2年ほど前から都市伝説のように語られている謎の存在だが、だがその彼とてすべての犯罪を防げるわけではない。

 ゴッサムシティの新しい市長を選ぶ選挙を目前にして、現役市長のドン・ミッチェルが殺害された。ゴードン警部補のはからいで現場に招かれたバットマンは、そこで犯人の残したメッセージを見つける。これは「なぞなぞ」で警察と社会を翻弄する犯人(リドラー)による、連続殺人事件のはじまりだった。

 バットマンの正体は、大富豪のブルース・ウェインだ。彼は残されたメッセージをたどって、殺されたミッチェルと犯罪組織のつながりを知る。ゴッサムシティの闇は深い。リドラーは、その秘密を暴こうとしていた。

■感想・レビュー

 ロバート・パティンソン主演の新シリーズ第一弾だが、この映画には毎度おなじみの「バットマン誕生の経緯」が描かれていない。

 大富豪だったブルースの両親が殺されたことや、両親から莫大な遺産を相続した彼がバットマンになったこと、地下の洞窟にあるバットマンの秘密基地、ブルース/バットマンの秘密をただ一人知る執事のアルフレッド、警察内部からバットマンに協力するジェームズ・ゴードン警部補などについては、「この映画を観る人なら先刻ご存じですよね?」というわけだ。

 これは「バットマン」に限らず、アメコミヒーローの通常モードでもある。どのヒーローにも「誕生の秘密」はあるが、各エピソードではいちいちそれに触れることなく物語が進むのだ。

 本作はバットマンに付いて回る「毎度おなじみの物語」を思い切って省略することで、観客をあっと言う間にゴッサムシティの闇の中へと引き込んでいく。段取りなし。説明なし。観客の前には既にバットマンが一定の認知を得ている世界が、忽然と立ち上がってくる。この感覚はちょっと新鮮だ。

 この映画の重要なモチーフは「視線」だ。闇の中から、光の中でうごめく者たちを見つめる視線。その視線の主は、ある時はリドラーであり、ある時はバットマンでもある。この視線によって、バットマンとリドラーは強く結ばれる。

 リドラーは「なぞなぞ」で警察とバットマンを翻弄するが、彼が問うた最大の謎は「バットマンとリドラーはどう違うのか?」だろう。どちらも正体不明の匿名の存在であり、どちらも自分の信じる「正義」のために法を超越した暴力を行使する。

 この映画から黒澤明の『天国と地獄』を連想する人は多いだろう。警察での面会シーンは、どうしたって黒澤映画を連想させる。だがこの映画が黒澤っぽい最大の理由は、これが黒澤の好んで取り上げたドッペルゲンガー(または双子)のモチーフを繰り返しているからだ。

(原題:THE BATMAN)

109シネマズ木場にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2022年|2時間56分|アメリカ|カラー|2.39 : 1 
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/thebatman-movie/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt1877830/

ザ・バットマン (輸入盤 数量限定通常CDプレス盤)

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