椿三十郎

7月6日(金)公開 午前十時の映画祭9

これが黒澤時代劇の中ではナンパーワン!(個人の意見です)

 とある城下町。藩主が江戸出府中の城内で、次席家老黒藤や竹林による汚職が行われていた。これを知った若い侍たちは、城代家老に意見書を突きつけるが相手にされない。彼等は大目付の菊井に不正を訴えたが、じつは菊井こそがこの悪事の黒幕だった。菊井は若侍たちを騙して一網打尽にするよう配下に命じ、同時に不正の秘密を知る城代家老を捕らえた。そんな中、たまたま若侍たちと出会った凄腕の浪人がひとり。彼は機転を利かせて菊井の手下から若侍たちを救い、屋敷に軟禁された城代家老の奥方と娘を救出することに成功する。あとはどうやって城代を救い出すかだ。菊井の配下にいる室戸という男は、巧みな頭脳プレイで見えざる城代派の動きを牽制する。一方で自ら「椿三十郎」と名乗る浪人も知恵を巡らし、若侍たちと共に城代奪還に向けて動きまわる。だがことあるごとに若侍たちに悪態を付き、傍若無人に振る舞う浪人に対し、若侍たちの一部は反発を強める。

 黒澤映画のファンの中では、三船敏郎扮が凄腕の浪人・三十郎を演じた『用心棒』(1961)と『椿三十郎』のうち、どちらが面白く、どちらが優れた映画なのかが時折議論になる。『用心棒』を推す人も多いが、僕は断然この『椿三十郎』を高く評価する。『椿三十郎』のどこがいいかと言えば、一番は上映時間が短いことだ。1時間36分しかない。『七人の侍』(1954)3時間27分の半分以下だ。黒澤明にはこれより短い映画もあるが、アクション、サスペンス、ユーモアなど、『椿三十郎』には娯楽映画の諸要素がたっぷり盛り込まれている。最後の決闘場面がとにかく話題になる映画ではあるのだが、改めて観ると途中にある他の立ち回りも見事。路上であっという間に3人を斬り倒したかと思えば、捕らえられた若侍たちを救出するためすぐさま30人以上を切り伏せる。ここまで主人公を大暴れさせておきながら、クライマックスでは主人公を動かさない面白さ。

 例によって豪華キャストなのだが、大目付の菊井を演じた清水将夫は全部で9本出演している黒澤映画の中で、これが一番大きな役だったのではないだろうか。加山雄三はこの後『赤ひげ』(1965)にも主役級で出演するが、本作では田中邦衛とのやりとりなどもあって、そこだけは「若大将シリーズ」(1961〜1981)の雰囲気だ。これは黒澤監督も狙ってのキャスティングや演出だろう。「社長シリーズ」(1956〜1970)の小林桂樹が、お人好しで正直者のサラリーマン侍を演じているのも同様の演出だと思う。若侍のひとりを演じた平田昭彦は『ゴジラ』シリーズなど東宝怪獣映画の常連だし、この映画には当時の東宝映画のエッセンスが詰まっている。あと足りないのは何だ? クレイジーキャッツぐらいか? あ、キャッツは出ていないが、奥方役は化け猫女優の入江たか子ではないか……。個人的には、ワンシーンにだけ登場の腰元こいそがお気に入り。

ミッドランドスクエアシネマ(スクリーン7)にて
配給:東宝
1962年|1時間36分|日本|カラー|東宝スコープ|ステレオ
公式HP: http://asa10.eiga.com
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0056443/

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